声優 平川大輔、『鬼滅の刃』などで見せる演技という名の表現術 経験によって培われた確かな実力を紐解く
さらに平川の人気や知名度を支えているのは、ドラマCD・シチュエーションCDへの出演数の多さはもちろん、『DIABOLIK LOVERS』(TOKYO MXほか)の逆巻ライトや『ネオアンジェリーク Abyss』(テレビ東京系)のベルナールなど、主に女性をターゲットとした作品にも比較的多く参加し続けてきたことだろう。
平川の声の特徴といえば、クセのない声色で、柔和で優しげな印象を与えてくれるものだ。語気を強めた声の出し方や、逆により柔らかく出してみたり、そこに加えて感情に様々な起伏をつけていくことで、様々な役どころをこなしていく。
『スターダストクルセイダース』での花京院、3シリーズに渡って演じた『Free!』での竜ヶ崎、大ヒットした『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では魘夢(下弦の壱)を、そして配信中のマーベルドラマ『ロキ』(Disney+)でも主人公のロキ(トム・ヒドルストン)の声を演じているが、柔らかな声色はそのままに、それぞれ別々の性格・パーソナリティを持つ役を演じている。
特に魘夢は、柔らかな声色のなかに狂気や変態性が混ざり合った質感を持たせる、魘夢の悪性だけでなくパーソナリティをも想像できそうなほどに魅力的な存在へと引き上げているのだ。
大きく声色を変え、様々な声を出せるということが声優の特権性のように見られることもある。だが、持ち前の柔和な声色をコアにし、様々なシチュエーションと役柄を演じてきた平川大輔の演技は、自身の持つ声色と様々なキャラクターのパーソナリティとを混ぜ合わせながら生まれる表現術ではないだろうか。
■草野虹
福島、いわき、ロックの育ち。『Belong Media』『MEETIA』や音楽ブログなど、様々な音楽サイトに書き手/投稿者として参加、現在はインディーミュージックサイトのindiegrabにインタビュアーとして参画中。
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