山下大輝、卓越したハイトーンボイスを武器にアーティストデビュー 豊かな表現力で魅せる“実力派シンガーとしての姿”

山下大輝、卓越したハイトーンボイス

 声優の山下大輝が、自身の音楽活動をスタートする1st EP『hear me?』を6月9日に発表した。

 デビュー以降、アニメ『僕のヒーローアカデミア』の緑谷出久役や『弱虫ペダル』の小野田坂道役、ゲーム作品では『あんさんぶるスターズ!』朔間凛月役や『うたの☆プリンスさまっ♪』天草シオン役を演じ、キャラクターソングを通して歌声を披露してきた山下大輝。flumpoolやTHE ORAL CIGARETTESが所属するA-Sketch内の<Astro Voice>より、逢田梨香子、高橋李依に次いで、山下大輝が初の男性アーティストとしてついにデビューを果たす。

 「僕が東京に出てきたときは、音楽の専門学校に通うためでした。やりたいことがたくさんあって、そのひとつが歌でした」(※1)と過去に語るように、静岡県出身の彼が上京したきっかけは音楽であり、ミュージカルであったことを明かしている。その後、専門学校卒業と同時に日本ナレーション演技研究所へと入所、数年に渡るレッスンを経て、声優としてのキャリアを歩みはじめたのだ。

 声優としてデビューして10年近く、本人にとっても「満を持して」の意気込みが強いであろう。こういった経緯を知るファンはもとより、彼を知らない声優ファンにも、今作は山下大輝の芯のある声色や繊細なボーカルセンスが随所に感じ取れる作品になっている。

山下大輝 1st EP「hear me?」Trailer

 デビューEPの最初を飾るのは「列偶像」。タムのリズミカルなドラミングと、シンプルだが中毒性の高い鍵盤のフレーズが混ざり、明るい声が突き抜けるように響いてくる。IZ*ONEや天月-あまつき-、けやき坂46(現:日向坂46)まで手がける渡辺翔による作詞作曲、緑黄色社会やBLUE ENCOUNTといったバンドから、ずっと真夜中でいいのに。や神はサイコロを振らないといった次世代アーティストまで手がけるNaoki Itaiの編曲による気持ちいいくらいに爽快感あるポップスは、新しいスタートを切るにふさわしい1曲だろう。

 TVアニメ『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』のエンディング主題歌にも起用された「Tail」は、作・編曲にはSixTONESやKing & Princeなどのジャニーズ楽曲をはじめ、水樹奈々や水瀬いのりなどの声優楽曲を数多く手がける南田健吾が担当しており、伸びやかなハイトーンボイスが映える1曲に仕上がっている。

山下大輝「Tail」Music Video(Short Ver.)

 山下本人とも交流のある佐伯ユウスケが作詞・作曲・編曲をこなした「Hello」は、ブラスサウンドとウラノリのグルーブが映えるヒップホップライクな楽曲で、韻を踏みつつ、ポジティブなムードを湛えた1曲となっている。

 4曲目に収録された「I’m in love」は、ストリングスのフレーズと軽快なリズムを活かしたホップな楽曲で、作曲・編曲を務めた白戸佑輔の真骨頂ともいえようナンバーだ。K-POPユニットやジャニーズグループを筆頭に活躍する作詞家 Kanata Okajimaによる本作唯一のラブソングだ。

 この2曲とも、サビなどの高いところで2つか3つ分、音程がハネ上がる部分がある。メロディラインの高低によって、普通なら喉を締めた窮屈そうな歌い方になってしまいがちだが、山下はそういった窮屈さは感じさせず、余裕をもって歌えているようにも感じられる。もしかすればもっと高いキーまで声が出せる可能性もあり、跳躍の多いメロディラインを歌いこなせる実力派のシンガーになっていく姿が垣間見える。

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