ラストアイドル 長月翠、グループ卒業発表に寄せて 多くの人を惹きつけてきた自分の信じる道を突き進む姿
ラストアイドルの長月翠がグループを卒業する。
長月は2017年8月にスタートしたオーディション番組『ラストアイドル』(テレビ朝日系)自体を最も盛り上げたメンバーの一人であり、グループの支柱としてありつづけた。その存在感はファンにとってもメンバーにとっても大きく、ラストアイドルが長月を失うことの影響力を痛感する。
長月はラストアイドル内ユニット・LaLuceとシュークリームロケッツを兼任する唯一のメンバーであった。初期暫定メンバーとして挑戦者に敗北した長月だったが、その挑戦相手が活動を辞退したことにより、敗者復活戦を経て再び暫定メンバーに復帰。特異なケースによって生まれた2グループ兼任は、結果、長月にとって多忙を極めるものとなった。まだ各ユニット毎での楽曲が中心だった初期のコンサートでは、長月はほぼ出ずっぱり状態。SNSでの炎上が、ある種ラストアイドルの名を広めることになった因縁の相手・吉田豪との名物の絡みもあり、特に1年目のラストアイドルでは「長月一強」とも呼べる人気を誇っていたのは間違いない。
2期生が加入し番組企画が「歩く芸術」や「最高難度ダンス」など、ラストアイドル全体での挑戦にシフトしていくと、ユニットとしての活動は徐々に少なくなっていく。そこで忘れられないのがデビュー曲「バンドワゴン」を巡る、清原伸彦監督との衝突だ。メンバー52人(当時)でラストアイドルのデビュー曲「バンドワゴン」を歌うという演目に異議を唱え、「バンドワゴン」はラストアイドル初期メンバーが大切に歌ってきた楽曲のため、「踊っちゃいけない」と反論したのだった。長月はファミリーただ一人の兼任メンバーであると同時に、敗者復活戦で再びオーディションバトルの椅子を奪い返したメンバー。だからこそ、長月はラストアイドルとしてのプライドを、「バンドワゴン」を歌う重みを人一倍理解している一人だった。結果、「バンドワゴン」をメンバー全員で歌うことは取りやめに。放送を受け、SNSでも長月派と清原派に分かれての議論が巻き起こり、再び「バンドワゴン」というワードが盛り上がりを見せる結果となった。捉え方は人それぞれにあるが、大きな流れの中で自分が信じるものを声を上げて意見することができる。それが長月の強さであり、人を惹きつける魅力の一つである。