最前線プレイヤーが集うバンド BREIMENとは何者? 業界やアーティストから愛される理由に迫る
今、聴くべきバンドの一枚を紹介するなら間髪入れず、BREIMENの2ndアルバム『Play time isn’t over』を推す。若手トッププレーヤー集団や、ミクスチャーファンクバンドと称される5人組だが、そんな形容を軽々超えてくるポストジャンル的なアレンジ力と発想力、そしてもちろんそれを具現化するスキルが凄まじいのだ。
原型はベース専任だった高木祥太を中心に2014年に結成。初代ボーカルの脱退を受け、高木がボーカルと全曲のソングライティングを担当するようになり、バンドネームも無礼メンから現在のBREIMENに変更。2018年に現在の5人組体制となった。メンバー各人は数多くのアーティストのサポートアクトを務めていることも、ここ2~3年でより知られるようになったが、ジャンルや音楽性の振り幅は他のバンドで類を見ない。高木はアルバム『ゴーストアルバム』にもほぼ全編で参加し、ツアーにも帯同したTempalay、そのメンバーでもあるAAAMYYY、そしてTENDREやMELRAWといったBREIMENとも同時代の仲間感のある面々やCharaのサポートにも参加。ギターのサトウカツシロはNulbarichのメンバーであり、ドラムのkanno soはKan Sanoをトム・ミッシュの韓国公演のオープニングアクト時からサポートしており、サトウとkannoは共に今、注目のシンガーeillもサポートしている。また、サックスのジョージ林はBOYS AND MEN、フィロソフィーのダンスなどをサポート。そしてキーボードのいけだゆうたはサトウと共にMega Shinnosukeをサポートするなど、セッションミュージシャンとしてのスキルを持ち、現在のポップシーンを明らかに支えていると言えるだろう。
前作『TITY』(2020年)リリースのタイミングではテレビバラエティ『関ジャム 完全燃SHOW』の「プロが選んだ“アルバムで聴いて欲しいJ-POPの名盤”」として紹介され、しかもその音楽的濃度を“カレーライス生姜焼きバンド”と称されたことで、SNSで話題になった。この頃、アーティストや著名人の支持も急浮上し、漫画家・尾田栄一郎が『週刊少年ジャンプ』の名物企画であるジャンプ・マイベスト3にBREIMENの「IWBYL」を挙げ、その後、同誌の音楽専門ページでも紹介されるという異例の事態に。また、ギターのサトウとは旧知のOfficial髭男dismの小笹大輔や、kannoと知人であるKing Gnu/millennium paradeの勢喜遊ら同世代はもちろん、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、aiko、Chara、堀込高樹(KIRINJI)、原昌和(the band apart)、そしてのちに高木にサポートを依頼することになるTempalayのメンバー3人も、曲やバンドについて高く評価。また、King Gnu・井口が『オールナイトニッポン0(ZERO)』で BREIMENの楽曲「IWBYL」をオンエアし、SNSでもシェアするなど早耳の音楽ファン以外にもその存在が広がるきっかけが重なった。
さて、今回の2ndアルバムのリリースタイミングで、彼らの幅広い人脈やワークスの理由を知ることができる対談動画「赤裸々SESSIOONe」が公開中だが、メンバー各々のテンションやキャラクター、音楽的なルーツが見事にバラバラで、BREIMENの常軌を逸した音楽性を現実のものにしている謎解きのような楽しさがある。ちなみに対談相手はサトウが小笹大輔(Official髭男dism)、ジョージ林が同じくサックスプレーヤーのMELRAW、kannoはサポートを務めているKan Sano、いけだはMega Shinnosuke(対談というにはあまりにカオスな空間だった)、そして高木は小原綾斗(Tempalay)と、お互いの印象や音楽論から、『Play time isn’t over』の感想などを同業者や友人ならではの視点で語り合う、貴重でユニークな企画だ。