[Alexandros]、Crossfaith ……『機動戦士ガンダム』とバンドサウンドの親和性 両者の共通点から紐解く

 不動の人気を誇る『機動戦士ガンダム』シリーズにロックバンドやメタルコアバンドの起用が相次いでいる。一昔前の過去シリーズでは、声優やソロシンガーが主題歌を務めることが多かったが、ここ数年はバンド形態から生み出される音楽性が求められる傾向にあるようだ。本記事では、新たに主題歌の担い手として抜擢された[Alexandros]、Crossfaithに共通する魅力から、『ガンダム』とバンドサウンドの親和性について紐解いていきたい。

[Alexandros]「閃光」
[Alexandros]「閃光」

 まずは、[Alexandros]。近日公開の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』主題歌にあたる「閃光」をリリースした。

 映画の舞台は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれた第二次ネオ・ジオン戦争から12年後。ガンダムの主要キャラクターである連邦軍大佐ブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアを主人公とした物語である。邪悪だと捉えた大きな組織に対して闘いを挑むハサウェイ。数々の困難や絶望に行く手を阻まれながらも、自らの信念を貫いて突き進むストーリーを、[Alexandros]の鋭利なギターリフとスピード感溢れるロックサウンドが盛り立てている。

 バンドの歴史もまた同作品との親和性が高い。仕事と掛け持ちした下積み時代、余儀なくされたバンド名の変更、メンバーの勇退・新加入と、[Alexandros]もまた幾重の試練に見舞われた。3月に発売されたベストアルバム『Where’s My History?』にはロック、ポップ、ジャズ、ダンスなど、幅広いジャンルの楽曲が収められているが、それはいかなる状況でも自分たちの音楽性と真摯に向き合い、追求してきた証。どんなテイストの音楽も[Alexandros]色に染め上げる技量は、結果として揺るぎない個性を打ち立てる礎となった。

[Alexandros] – 閃光 (MV)

 その手腕は、今回の「閃光」でも遺憾無く発揮されている。〈I’m scared to death and it’s so cold all the time〉では、過去に負った大きな傷に震える現状を、〈Gonna take one deep breath And hold it still until I see my enemies inside the scope〉では、今燃やすべき闘志を冷静に見つめる眼差しを。歌詞の中では痛いほどにハサウェイの孤独な闘いを表現しているが、それは[Alexandros]自身とも置き換えられる。ガンダムとバンドそれぞれが持つメッセージ性を見事に楽曲で両立させた形だ。また、サウンド面で見せた新たな個の集約による進化は「これが俺たちの音楽だ」、そう高らかに宣言するような潔さがあった。

 一方、同じくストイックに音楽性を追求しているバンド・Crossfaithも、アーケード・ゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト』へ新曲「RedZone」を書き下ろした。

 同バンドは2020年1月に独立し、主宰レーベル「Species Inc.」を設立した。よりダイレクトに迅速に、自分たちの音楽を届けたい。その想いを切実に叶える場所に選んだのが自主的な活動だった。自由を手にすると同時に求められるのが責任である。何もかもを引き受け、Crossfaithは新たな道へ一歩踏み出した。

 その1年3カ月後に世へ放たれた「RedZone」は、Crossfaithの真髄と変革を感じさせる楽曲だ。戦闘値の高まりを思わせるイントロ。細かく刻んだバスドラム、腹の底に響く低音のデスボイスで構成された主力ライン。沸々とした感情が爆発して突き抜けるかのようなサビの入り口は鮮やかの一言で、続く〈Even if I fall, I will fly up so high I just wanna keep it going on, going on〉はまるでエールにも聴こえる。

『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト』オープニングムービー

 バンダイナムコアミューズメントの公式チャンネルではオープニングムービーを公開しており、実際に映像を目の当たりにすると『ガンダム』と楽曲の高度な融合に驚いてしまう。漆黒かつ無重力の宇宙空間をモビルスーツが俊敏に動き回り、互いを攻撃し合うシーンに重厚なサウンドの「RedZone」がハマっている。確立された世界観と自身の音楽性の両立を目指すには、タフな構成力と技術を要するだろう。同楽曲を収録した両A面シングルのもう一曲が『ONE PIECE』のキャラクター人気投票企画「WT100」とのタイアップ「Dead or Alive」であることからも、業界がCrossfaithへ寄せる信頼の厚さが窺える。

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