TWICE「Kura Kura」で表現された、J.Y. Parkが考える“愛” NiziU「Take a picture」にも通ずるテーマ
“初心を忘れずにいたい”との思いは、『Nizi Project』やNiziUの成功でさらに強くなったようだ。彼が歌手を選ぶ基準は「心から一緒に仕事をしたいと思える人物かどうか」。これは昔も今も変わってはいない。だからこそ『Nizi Project』での温かくも厳しい指導や的確な選考が可能だったのだ。
同プロジェクトの大きな反響、NiziUの大ブレイク。日本でも自身の持ち味で成功を収めたJ.Y. Parkの次の展開はどうなるのか。あくまでも予測ではあるものの、筆者は子供のときから探し続けた理想のブラックミュージックを日本でも普及させることだと見ている。
かつて彼は日本のメディアの取材に対して次のように答えている。
「韓国ではブラックミュージックの音だけ持ってきてもだめなんです。私はダンサー出身ですから、その音にダンスを取り入れました」(エイチ・シー・ピー刊『K-POPバイブル2005』より)
このような美学を詰め込んだソロベスト盤を昨年10月に日本でリリースしたのは、野望への第一歩。本人としては早く次の手を打ちたいところだが、コロナ禍で思うように進めないのは仕方がない。「ならば所属アーティストを通じてメッセージだけは伝えたい」と制作したのが、「Kura Kura」なのだろう。
今年4月上旬にリリースしたNiziUの「Take a picture」も、作詞の欄にJ.Y. Parkの名前がある(作曲も参加)。同曲で歌われているのは「特別な愛」。「Kura Kura」と同じテーマだ。本格的なソロ活動が日本で十分にできない間、こうしたアピールがどれだけの効果を生むのかはまだわからない。だが、個人的には来年あたりに大きな動きが起こるのではないかと期待している。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。2021年5月16日に著書『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』を発売予定。