TWICE「Kura Kura」で表現された、J.Y. Parkが考える“愛” NiziU「Take a picture」にも通ずるテーマ
人気ガールズグループ・TWICEが2021年5月12日、日本で8枚目となるシングル『Kura Kura』をリリースする(先行配信は4月21日)。今回はエレガントなダンスポップで勝負。メンバーのカラーも生かした仕上がりで、より多くのリスナーから歓迎されるだろう。
表題曲に関してはメロディやビジュアル、パフォーマンスといった面よりも注目すべきポイントがある。それは作詞に育ての親であるJ.Y. Parkが参加していることだ。彼がTWICEの日本オリジナルシングル曲の歌詞を書くのは実は初めて。オーディションプロジェクト『Nizi Project』で日本語の実力が上がったというのもあるかもしれないが、安定期に入ろうとするグループの作詞に関わるのは、何か重要なメッセージがあるに違いないと勘ぐってしまう。
「Kura Kura」の歌詞は勢いのある言葉や表現がずらりと並ぶ。〈あきれちゃうほど 無我夢中のpassion〉、〈予測できない揺れ動く my heart〉、〈目と目あった feeling 勘違いじゃない〉といったフレーズは聴くだけで高揚感を味わえる。いずれも特別な存在に出会ったときの気持ちを表しているのだが、J.Y. Parkの半生を知っている人ならば、もっと深い意味を感じ取れるはずだ。
先日、彼が出した日本語訳のエッセイ『J.Y. Park エッセイ 何のために生きるのか?』(早川書房)は、創作する上での美学がわかるエピソードが満載で、なかなかに興味深い。中でも目を引いたのは、「特別な愛」が人生の目標だった点だ。それを追い求める行為は幼い頃から40歳まで続き、「勉強も、音楽も、ビジネスも、僕にとってはいつもこの目標を達成するための手段にすぎない」という(しかしながら、あることを機に考え方が変わってしまうのだが……)。
「愛を通して『完璧な永遠の幸せ』を叶える」(同書より)のが創作活動の原点だったと言い切るJ.Y. Parkの行動はすべてにおいて迷いがない。恋人の存在でファンが離れるのであれば、実力をつければいい。人気はいつまでも続くものではないから、それをリスペクトに変える努力をすべき――。理想へ向かうためのこうした考え方は、自ら立ち上げた芸能事務所・JYPエンターテインメント(JYP)の育成方針にも反映されている。
「Kura Kura」はJ.Y. Parkが考える「愛」を表現した作品だ。同曲を通して彼はTWICEおよび聴き手にJYP設立時の熱気のようなものを伝えたかったのではないかと思う。また、自身も原点に立ち返ることの大切さを実感している時期だからこそ、今回の歌詞を作ったと推測している。