TWICE サナ×コブクロによる「卒業」も話題 メンバー9人の歌声を改めて分析
3月、TWICEのサナとコブクロによるコラボレーション曲「卒業」が配信リリースされた。同楽曲は2月にサナによるカバーも配信された、“大人が振り返る卒業”をテーマとしたバラードナンバーで、コブクロの二人が織り成す繊細なコーラスとともに聴こえるサナの美しい歌声が話題を呼んでいる。
この他にも、2月にはダヒョンとチェヨンが、TWICEがデビュー当時から行っているカバー歌唱企画『Melody Project』の一環としてデュエットソング「나로 바꾸자(Switch to me)」(原曲歌手はRAIN(ピ)とJ.Y. Park)をオリジナルMVとともに公開し、またナヨンがOfficial髭男dism「I LOVE...」をソロ歌唱した音源を披露するなど、TWICEメンバーのボーカルに注目が集まる機会は多い。
グループとしても多岐にわたる楽曲ジャンルを開拓し続けている彼女たち。本稿では9人がそれぞれに持つ歌声の魅力に焦点を当てていきたい。
まずTWICEにおけるボーカルの“顔”となるのは、リードボーカルを務めるナヨンだ。デビュー当時から現在までサビパートのみならず歌い出しも担うことが多い彼女は、高音域・低音域問わず華やかな拡がりを感じさせる歌声により、第一声からリスナーの心を開く重要な役割を果たしている。また感情表現が多彩なその歌唱は、先述の「I LOVE...」におけるソロ歌唱においてもいかんなく発揮されている。
音楽ジャンルのみならず、幅広いテーマを扱うTWICE楽曲の歌詞世界に奥行きをもたらすのは、メインボーカル・ジヒョによる力強くも深みのあるボーカル。筆者は以前、「彼女たちが歌う楽曲は、一見すれば恋愛だけをモチーフとしていると捉えられるものであっても、普遍的な愛の響きを帯びて聴こえる気がしてならない」と綴ったのだが(※1)、ジヒョのソウルフルな歌声がもたらす壮大な説得力こそ、この印象の大きな拠り所となっている。
ナヨン、ジヒョとともにグループのボーカル面を牽引するのが、ジョンヨン。彼女の歌声は、TWICEのデビューメンバーを選抜したオーディション番組『SIXTEEN』においてプロデューサーのJ.Y. Parkからも「歌うときに余計な力が入っておらず、ナチュラルで伸びやか」と称賛の声が上がっていた。パワフルでありながら耳に心地よく響くボーカルにより、「ONE IN A MILLION」や「STUCK」などではラストスパートへ繋ぐ聴かせどころを見事なまでに歌い上げている。
また、ファンからの人気も根強い「LIKEY」や「What is Love?」などのヒット曲が持つオリジナリティは、サナのボーカルなしに成立しないだろう。彼女が持つ唯一無二のキャラクター性が映し出されるその歌声は、特に「SWEET TALKER」冒頭に大きく表れている。また、そんな親しみやすくキュートなボーカルの印象が強いサナだからこそ、先述の「卒業」におけるしっとりとした歌唱や、「BETTER」における気高さに満ちたサビがより印象的に聴こえるのではないだろうか。