Little Black Dressの音楽にある“懐かしさと新しさ” 成田昭次とのコラボでも注目

注目のシンガー、Little Black Dressとは?

 歌謡曲の持つ「幸せに隠れている“翳り”」をテーマに、独自の歌謡ロックを展開しているシンガーソングライター・Little Black Dressが、3月31日に5thデジタルシングル「哀愁のメランコリー feat.成田昭次」をリリース。昨年約10年ぶりに音楽活動を再開した元・男闘呼組の成田昭次のゲスト参加という話題性も手伝って、リリース当日は「Amazon売れ筋ランキング」のJ-POP部門とアルバム部門で1位を獲得するなど、今注目が集まっている。懐かしくて新しいLittle Black Dressの音楽の魅力とは?

キャッチー、無骨さ、言葉のインパクト……三つ巴で迫ってくる音楽性

 Little Black Dressは、1998年生まれ、岡山県出身。幼少期から家族の影響で歌謡曲に心酔し、高校1年生の時から地元のライブハウスや路上ライブで歌うようになり、高校3年生の時に単身上京して本格的に音楽活動をスタートさせた。2018年に奈良県・春日大社で開催されたMISIAのライブ『MISIA CANDLE NIGHT』のオープニングアクトで圧倒的な存在感を発揮。偶然訪れていたクリエイティブディレクターの信藤三雄氏と出会い、「Little Black Dress」と名付けられソロプロジェクトが始動し、2019年に1stデジタルシングル『双六/優しさが刺となる前に』でインディーズデビューした。

 Little Black Dressが放つ音楽は、歌謡曲のキャッチーさ、ロックの無骨さ、インパクトを与える言葉が、三つ巴になって迫ってくる。例えば「双六」は、人生をすごろくゲームになぞらえながら、人は何度でも新しいスタートを切ることができると歌った。まるで言葉を吐き捨てるように表現したボーカルがワイルドで、それを彩るバンドサウンドは、一切の装飾を取り払ったむき出しのままといった潔さ。信藤三雄が手がけたMVも、モノクロの色調とミニマムな演出で、彼女が歌い描く「人間の心の内」を見事に映像化している。

Little Black Dresss 「双六 Music Video」(FULL MOVIE)

 「双六」とは対照的に、ゴージャスなホーンセクションを携えた2ndデジタルシングル「野良ニンゲン」は、スカのリズムとサウンドが爽快だ。歌詞では〈オリジナリティを取り戻せ〉と飽くなき自由への渇望を歌い、MVでは女子高生風のダンサーが渋谷の街中でコンテンポラリーダンスを繰り広げる。「野良ニンゲン」とは、さまざまな悩みや葛藤を抱えて生きる、今の人が求める人間の理想像なのかもしれないと思わせる。

Little Black Dresss 「野良ニンゲン」Music Video(Full Size)

 黒のスリムスーツに10センチ以上あるピンヒールを合わせ、横に垂らしたウェット感のあるヘアスタイルなど、ジェンダーレスでスタイリッシュなLittle Black Dressの出で立ちは、「かっこいい」の一言。3rdデジタルシングル「だるま落とし」のMVでは、世界的ファッションデザイナー山本寛斎のコレクションを次々と着こなし、ド派手でゴージャスなファッションにも負けない存在感の強さを実感させてくれる。

Little Black Dress「だるま落とし」Music Video

 また4thデジタルシングル「Mirror」では、それまでの楽曲とは雰囲気が異なり、きらびやかな夜の情景が目の前に広がる。美しいファルセットで歌い上げるハイトーンのサビ、ホーンが軽やかにメロディを紡ぐ間奏は、R&Bやソウルミュージックのテイストで、ここからはLittle Black Dressの懐の深さと可能性を感じさせる。

Little Black Dress「Mirror」Special Movie

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