THE ALFEE、武道館を“独り占め”にしたキャリア初の無観客ライブ ファンへ熱と思い届けた圧巻のステージ

THE ALFEE『俺たちの武道館2020』レポ

 THE ALFEEが3月27日、『Come on! ALFEE!! Special 俺たちの武道館2020』を配信した。

 1987年から毎年クリスマスイブに日本武道館公演を行ってきたTHE ALFEE。改装を経て、2020年12月23日に2年ぶりの日本武道館公演を開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大によって中止に。今回配信されたのは、ライブが行われるはずだった12月23日の当日に武道館で収録された無観客フルサイズコンサートの映像だ。

 冒頭は、メンバー3人のトーク。まずは高見沢俊彦が「これまでの武道館とは趣が違います。無観客で、誰もいない(会場の)真ん中でやったからね。音も照明もぜんぜん違うから、ぜひそこを楽しんでもらえれば」と今回の配信ライブについて説明。

 さらに、

坂崎幸之助「(初めての武道館ライブは)83年8月24日。前の年に高見沢が『来年のデビュー記念日に何かやります』って言っちゃったんだよね」

桜井賢「ビックリしたよね。武道館に行けるなんて思ってなかったから」

坂崎「まだヒット曲もないのに」

高見沢「その翌年からクリスマスの時期にやりはじめて、24日になったのは87年からですね」

桜井「ずっとクリスマスシーズンだから、武道館は寒いというイメージなんだよね(笑)」

 と“武道館トーク”を繰り広げた後、ついにライブがスタート。ストリングスとシンセが融合した壮大なSEと幻想的なライティングのなか、武道館のど真ん中に立った3人の姿が映し出される。オープニングは「星空のディスタンス」。ヘビィメタル直系のバンドサウンド、歌謡曲的なメロディライン、美しいコーラスワークが一つになった代表曲によって、一気にTHE ALFEEの音楽世界に引き込まれた。

THE ALFEE 高見沢俊彦
高見沢俊彦

 さらに高見沢がメインボーカルをつとめる壮大かつロマンティックなロックチューン「誓いの明日」(アウトロにおける、高見沢の超絶ギターソロも圧巻!)、3人が主旋律を歌い継ぎ、ボーカルグループとしての魅力を存分に発揮したアッパーチューン「Orionからの招待状」を披露。デビューから45年を超え、なおも進化を続ける3人の“現在”を冒頭からダイレクトに見せつけた。

 ここで最初のMC。

坂崎「長年に渡って休まず続けてきた武道館ライブですが、今回は配信ライブでお届けします。が、しかし! デビュー46年目にして“俺たちの武道館”と銘打ってアルフィーが武道館を独り占めにしてしまいました!」

桜井「画面の向こうのみんな、俺の武道館へようこそ!」

坂崎「ちょっと待て、“俺たちの”だろ。“俺の”だと、武道館の支払いとか全部桜井だよ(笑)」

 という普段通りの(?)ユーモアに溢れたやり取り、そして、高見沢の「この贅沢な空間を、画面を通して感じてもらえたら最高です」という言葉の後は、3人のボーカリストの個性を体感できるコーナーへ。

 まず武道館では初めて演奏された初期の名曲「雨」。アコースティックギターを持った高見沢が離れてしまった大切な人への思いを歌い上げ、叙情的なムードを生み出す。過去の思い出を胸に未来に向かう姿を描いた「From The Past To The Future」では坂崎が繊細な美声を響かせ、「黄昏に瞳を閉じて」では桜井が、哀愁と粋を感じさせるボーカルによって、若き日の恋愛の思い出を描き出していく。三者三様の歌がこのグループの核なのだと、改めて感じられる場面だった。

THE ALFEE 坂崎幸之助
坂崎幸之助

 アコースティックスタイルで披露されたCS&Nの「青い瞳のジュディ」では3人のハーモニーをじっくりと聴かせ、フォークロック系のナンバー「シュプレヒコールに耳を塞いで」では坂崎、高見沢がアコギのフレーズをぶつけ合う。また“ライブハウス時代”(アマチュア時代)のレパートリーである「まもなく2番線に…」では桜井が、1970年代の東京の風景のなかで失ってしまった恋人への感情を切々と描き出し、高見沢のドラマティックなソロ演奏が楽曲の世界観を際立たせる。すべての曲に明確な聴きどころがあり、ライブが進むにつれて、多彩な音楽世界が広がっていく。ルーツミュージックに裏打ちされた音楽性、高い技術と個性を共存させた3人のボーカルを含め、本当に奥深い魅力を備えたグループである。

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