風男塾、愛刃健水が次世代に笑顔で渡したバトン 卒業公演を徹底レポート

風男塾、愛刃健水卒業公演レポ

 今年1月に新メンバーが加わり、愛刃健水、紅竜真咲、神那橙摩、偉舞喜雅、柚希関汰、英城凛空、葉崎アランの7人体制となった風男塾。新たな風が吹き込み、さらにパワーアップした彼らが、3月24日LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、有観客ライブ『風男塾LIVE 2021~Together.Forever...~』の東京公演を開催した。この日は、男装ユニットのパイオニア・風男塾の愛されキャラとして、約10年に渡りグループを牽引してきた、愛刃健水の卒業ライブ。セットリストには、歴代メンバーの想いも背負いながら活動してきた彼らしい楽曲が並び、客席を埋め尽くす水色(メンバーカラー)の光に見守られる中、次世代の風男塾に笑顔でバトンを渡した。

 定刻を少し過ぎた頃、ステージスクリーンに健水のインタビュー映像が映し出された。一緒に夢を追いかけた初期メンバーが全員卒業し、新メンバーが増えてきた2年ほど前から、“新しい風男塾を違う位置から見てみたい”と卒業を考え始めたことを明かす健水。だが、「(卒業ライブで)成長した姿を見せられることが楽しみ」と語る表情は明るい。

〈風男男男男 風男塾!〉

 メンバーの紹介VTRに続いて、スクリーンに7人のシルエットが映し出されると、その奥から力強いユニゾンが溢れ出した。1曲目は健水が風男塾の一員として初めてリリースした「風一揆」。幕が降りたステージには、センターで少し照れくさそうに微笑む健水の姿があった。ステージ後方にはメンバーが取り囲むように並び、舞台映えする黒レザーの衣装で1人ずつ歌い繋ぐ。個性豊かな声が重なり、1つの塊として届けるパワーは、新体制になってから約3カ月とは思えないほど凄まじい。その声に呼応するように、風王(ファン)もペンライトを勇ましく突き上げた。

愛刃健水
愛刃健水

 お馴染みの挨拶から始まったMCでは、健水が率先して新メンバーに話を振る場面もありつつ、真咲の「最後だから、健水くんの自己紹介が聞きたいなぁ」という一言から、改めて自己紹介をすることに。声を出せない観客の代わりに、メンバー達と自己紹介の際の掛け合いを繰り広げると、初めてやった謎のキメポーズに、自ら「このポーズ、ダッサ!」とツッコミを入れる。このノリの良さで、一体どれだけの人の心を潤してきたのだろう。しかも、彼のお笑いのセンスは後輩にもしっかり受け継がれているようで、健水の「(次の曲に)いくよ」という呼びかけに対し、すかさず「くるよ」と返した“ミステリアスキャラ”の新メンバー・アランに一同爆笑。韓国出身のアランの突然の発言に「いくよ・くるよ師匠? 知ってるんや?」と驚きながらも、シングル『風一揆』のカップリング曲「夢幻のプロキオン」に繋いだ。

 健水に続いてマイクをとるのは、新メンバー・関汰。彼の芯の強い歌声がまっすぐに胸を貫く。今年1月に行われた関汰のお披露目ライブでも、関汰を含む5人で披露したこの曲が、7人ならではの歌割りとフォーメーションで生まれ変わった。ムーディーなイントロが特徴的な「野良猫マリア」は、メンバーカラーの羽がついた黒ハットを使ってパフォーマンス。スタイルの良さを活かしたダイナミックなダンスとは対照的に、一生懸命な表情が母性本能をくすぐる凛空。間奏では、健水とメンバー1付き合いの長い真咲による美麗なペアダンスが観客を魅了する。スタイリッシュなダンスとエモーショナルなボーカルで心を奪い去った「Ballad of the Phantom」もまた、最新アルバム『Funfare』のインタビューで「最近、ファンの方にも“お兄ちゃんっぽくなった”って言われるんですよ」(雅)、「これからも“大人橙摩”に期待してください」(橙摩)と話していた2人や、健水卒業後に最年長となる真咲を筆頭に、メンバーの進化と頼もしさを感じられる仕上がりとなっていた。

 2組に分かれてのMCタイム。健水・関汰・凛空・アランチームは、衣装の話で盛り上がる。健水が、長身を活かし、見事に衣装を着こなす凛空・アランを羨ましそうに眺めると、一番背の低い関汰は、凛空の隣に立って「見てください、この差!」とおどける。もはや“いじられキャラ”というより、自らいじられにいくスタイルだが、健水の「関汰、(ステージ後方のセットに)1段乗っときな!」という返しにはタジタジ。アランと凛空も一緒になって関汰に詰め寄るというツッコミ不在なところに、メンバーカラーの衣装に着替えた真咲・橙摩・雅チームが戻ってきて一段落となった。一方、こちらのチームは真咲が進行役となり、「声を出せないライブでも、風王と心を1つにしたい」という想いで、一緒に手拍子を刻む。……はずだったのだが、実際は橙摩と雅が自作のダンスを踊り始め、観客はおいてけぼり状態に。その状況に気づかず、天真爛漫に話を進める後輩達に、真咲が思わずフォローを入れる。自分では末っ子キャラだという真咲の“長男っぷり”が発揮された瞬間だった。

 ここからは“風男塾ブチアゲメドレー”と題して7曲をお届け。コミカルなダンスやセリフが楽しい「草食ライオン」。健水が加入する前から歌い継がれている「勝つんだ!」。続く「人生わははっ!」も、「人を元気にする」をモットーに活動する風男塾らしい応援歌だ。アランが歌い出しを担当した「ミュージック」は、橙摩と雅が加入後初めて歌唱したナンバー。真咲の加入後にアルバムとしては初めてリリースされた『風ァイト!!!!!!』からは、「最高シャウト!」と「新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲~キミがいればオレたちも笑顔∞(無限大)~」が披露された。また、メドレーの最後を飾る「チェンメン天国」では、当時のMVと同じようにベッドが登場。健水がイケボで「ええよ」と繰り返すキラーフレーズが観客をとろけさせる。しかし、カッコいいだけで終わらないのが愛刃健水だ。メンバーがテーブルを運んでくると、雪村涼真のセリフも再現。緑川狂平のように指輪を差し出し、「俺と結婚してください」と畳みかける。出会いと別れを繰り返しながら歩んできた、彼の“青春”の欠片達がキラキラと輝いていた。

 歴代メンバー達からも、健水の卒業を祝うメッセージが届いた。先輩達の愛のある言葉を現メンバーが代読する。そして、“夫婦”と呼ばれるほど仲の良い瀬斗光黄からの手紙が読まれると、2人のユニット“W♠PRINCE”のデビュー曲「もう君以外…」がステージに舞い込んだ。曲中、おもむろに横に移動すると、ステージ上にはもう1つのスポットライトが……。実際には姿が見えずとも、確かに響く光黄の歌声。健水はそこにいる光黄を見つめながら歌い上げると、グッと涙を堪えて深く一礼した。

 「ここからは、メンバーと話をしながら曲をお届けしたいなと思います」。そう告げると、まずは橙摩と雅を呼び込み、2人へのメッセージを伝える健水。「これからも、(普段のにぎやかな一面とパフォーマンス時の)ギャップと芯のある優しさを見せて、みなさんを幸せにしていってください」というメッセージを受け取った橙摩は、「はい! 幸せにします! 絶対に!」と素直に返事。雅には「俺、この笑顔大好き」と言い添え、「お笑いを一緒にやった相方として、これからはコメディアンになってほしい。ピン芸人!」と無茶振りをする。でも、意外にも「やってみたい!」と答える雅のビッグスマイルが眩しい。そんな3人がメンバーカラーに輝くジャケットスタイルで届けるのは、赤園虎次郎・仮屋世来音とのユニット“コンワニ”の楽曲メドレー。「Move」は虎次郎と同じく“道産子”の橙摩と、「Sensation」は雅と、「Fighting Man」では健水の妹である長谷川唯が所属するグループ・xDをバックダンサーに迎え、キレのあるダンスを見せつけた。

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