日向坂46、オードリー若林を魅了した“伝説の舞台”『あゆみ』とは? 今もなお語り継がれるグループの原点

 数あるエピソードの中でも、今では佐々木美玲を代表するイメージの一つとなっている劇中クライマックスでのおじいちゃん役、富田鈴花による山登りのシーンでのアドリブ、潮紗理奈の動かない触覚、ドラマ『Re:Mind』(テレビ東京)でも一際異彩を放っていた影山の演技力などが、Huluの配信でも堪能することができる。当時のインタビューによれば、ダブルキャストということで、互いのチームの演技を参考にしたというが、「チームハーモニカ」と「チームカスタネット」を見比べるといった贅沢な見方も出来るだろう。

 そして、今、『あゆみ』を観て感じるのは、メンバーがすでに今の日向坂46に繋がる“ハッピーオーラ”を強く纏っていることだ。自由度が高いからこそ滲み出るメンバーの仲の良さ、ラストを飾るしなやかなコンテンポラリーダンスから、10人が声を揃えて叫ぶ長ゼリフはどこかアルバム『ひなたざか』のCMを彷彿とさせるものがある。佐々木美玲が時折見せる儚げな表情は、「期待していない自分」でセンターを飾る姿とそっくりだ。

 再演の声も多い『あゆみ』だが、多忙な日向坂46が、もう一度メンバー全員で舞台に挑むことは極めて難しいだろう。そういった意味でも、伝説であり、日向座46にとって原点とも言える舞台『あゆみ』は、彼女たちが走り出す始めの一歩であった。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter:https://twitter.com/AKI_W_

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