JAM Projectが語る、20年の歩みと現在 「アニソンシーンの明るい未来を強く感じる」

JAM Projectが語る、20年の歩み

 影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹、5名それぞれがヒットソングを生み出し、アニソン界を代表するユニットとして活動を続けているJAM Project。彼らの結成20周年を記念した初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』が、2月26日から3月11日まで2週間限定公開される。

 460日に渡り密着取材した映像で構成される本作には、新型コロナウイルスの影響により予定されていたライブツアーが次々と中止になっていった当時のメンバーの姿も捉えられている。今回のインタビューでは、今なお大きな打撃を受けているコロナ禍での音楽活動について、また、アニメの盛り上がりと共に発展するアニソンシーンの現在についてメンバー5人に語ってもらった。(編集部)

コロナ禍をきっかけにどこか初心に帰ったところがあった

――JAM Project初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』をご覧になってみての感想から聞かせてください。

影山ヒロノブ(以下、影山):僕らは映画を2回観たんですけど、やっぱり自分たちで自分たちの映像を観るのは、どこかちょっと恥ずかしいところがありますよね(笑)。そこはファンの人たちやお客さんが観てくれるのとはまた違った感覚だとは思うんですけど。

きただにひろし(以下、きただに):まあそうですよね。確かに恥ずかしさはありました。

影山:ただ、今の自分たちが考えていることが明確に伝わる映画になったっていうのは間違いないところで。例えばファンの人だったら、これを観れば僕らがすごく苦しんでいたこととかも含めて、いろんなことを理解してくれるはず。そういう意味では全編通して退屈しない映画にはなっていると思います。

きただに:最後まであっという間でしたからね。個人的にはもっと観たいなってちょっと思ったりもして(笑)。

――結成20年を迎えたJAMが辿ってきた輝かしい軌跡を追体験することができる内容でもありますよね。

影山:僕らが音楽シーンの中をグッと駆け上がっていく様を時系列に沿って見せてくれていますよね。コンサートのキャパシティを上げながら、横浜アリーナまで辿り着く流れは自分たちで観ていてもすごく圧巻だと思う。映画というエンターテインメントとしても楽しめるものですし。ただ、予定されていた20周年コンサートツアーの前あたりから、メンバー全員にちょっとしんどさみたいなものが見え始めて。同時に、これはまったく予想もしていなかった、コロナ禍に突入していくっていう。

影山ヒロノブ

――20周年を祝うはずだった「JAM Project LIVE 2020 20th Anniversary Tour『The Age of Dragon Knights』」は結果的にすべて中止になってしまいましたよね。

影山:そう。最初は延期することで様子を見ていたんだけど、最終的にはオールキャンセルになってしまった。そんな中、頼もしい仲間たちが協力してくれたことで『JAM FES.』を開催することだけはできた。それが2020年のJAM Projectだったわけですが、映画ではそこから「じゃあこの先のJAMはどうしていくんだ?」っていうことを、メンバーたちそれぞれのソロインタビューで描き出していくわけです。

――そこが映画のクライマックスであり、もっとも重要なパートだと思います。

影山:あそこはみんなバラバラに撮ったから、他のメンバーがどんなことをしゃべっているかはまったくわからなかった。でも、劇中で観たみんなの顔にはものすごくポジティブな表情が浮かんでいたんです。それを見たときに僕はすがすがしい気持ちになったし、ファンの方々にはそここそを見て欲しいなって思った。年齢的に言えばね、俺なんかはもう還暦を迎えちゃったわけですけど(笑)、それでも自分たちにはまだ叶っていない夢があって、そこを目指そうという思いをしっかり持ち続けているんです。そういう部分を通して、「JAM Projectとしての旅はここからもまだまだ続いていく」っていうことをみなさんにも感じてもらえたらすごくうれしいなって思いますね。

遠藤正明

――様々な困難があった中でもなおポジティブに未来を見続けていられたのはどうしてだと思いますか?

遠藤正明(以下、遠藤):ひとつの理由はコロナ禍にあったと思います。僕は20年くらい、影山さんなんかはもう40年以上になるわけですけど、全員が短くはない時間をシンガーとして活動してきた。そんな中で去年ほど歌えない状況になったのは初めてだったんです。メンバー全員、歌うことが好きだし、音楽が好きなので、それを取り上げられてしまったときにどこか初心に帰ったところがあったんだと思うんですよね。歌いたい、音楽をやりたいっていう欲望がみんなの心の中に強く湧き上がってきたからこそ、しっかり前を向くことができたんだろうなって。

――どこか皮肉ではありますけど、コロナがJAMの背中を押してくれたところがあったのかもしれないですね。

遠藤:きっかけになったかなって今は思います。正直、映画を観てもらえばわかるけど僕らにはいろいろ迷ってるところがあったわけだから、もし去年、コロナ禍になっていなかったらどうなってたんだろうなって思いますからね。

福山芳樹

――それくらいの危機感があったと。

遠藤:うん。20周年を終えたとき、「さて次は何しようか?」って考えても今ほどは前向きになれていなかったかもしれないから。

福山芳樹(以下、福山):この20年、大きな会場でのライブも経験できたし、海外にもたくさん行けた。1人のシンガーとして思いもよらなかった景色を見せてもらえたのは、間違いなくこの5人だったからこそだと思います。でも、コロナ禍になっていなかったとしたら、この映画自体、20周年を無事終えることができましたーっていう、ただそれだけの内容になっていたと思うんですよ。

影山:あははは。そうかもしれないね。

福山:もちろん各自、いろんな苦悩はあったけど、それも乗り越えて「良かったね」っていう雰囲気で終わったはず。でも、出来上がった映画はコロナ禍も含め、まだ全然乗り越えていないタイミングで終わってるわけです。「The END」でもなく「Fin」でもなく、「To be continued」なんだよって感じてもらえる仕上がりになったところが一番よかったんじゃないかなって思います。

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