香取慎吾やHey! Say! JUMPも……人気アーティストの匿名での楽曲発表なぜ増加? 3つのメリットから考える

背景には新しい価値観を持ったリスナーの存在

 主に以上の理由から匿名での楽曲の公開がされているのだと思われる。そしてその背景には、近頃変容している音楽シーンで培われたリスナーたちの新たな価値観も大きいように思う。

 昨今インターネットの普及とストリーミングサービスの定着によって、あらゆる音楽にアクセスしやすい環境が整ってきた。今までなら一般のリスナーがわざわざ対価を支払ってまで聴かなかったような無名の新人の音源であっても、時間さえあれば誰でも簡単にチェックできるような状況になっている。さらにそうした環境が一般的になったことで、どんなものでも分け隔てなく評価するリスナーが増えてきている印象だ。新しいものに敏感で、どんなアーティストの作品でも良い作品は良い。こうした価値観を持つリスナーの存在が新しい才能の発掘を促している。そしてこのような時代の変化が背景にあるからこそ、“謎のアーティストの作品”が増えてきているのではないか。

 急速に変化する現在の音楽業界。そんな中で今後どんな面白い試みが生まれるのか注目していきたい。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。Twitter(@az_ogi)

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