SHE’S、『青のSP』主題歌に表れる登場人物たちの“変化の兆し” 「追い風」がドラマと共鳴するポイントを考察

SHE’S、『青のSP』主題歌に表れる登場人物たちの“変化の兆し” 「追い風」がドラマと共鳴するポイントを考察

 2月半ばに入り、2021年冬クールの連続ドラマが佳境を迎えている。そんななか、ドラマのストーリーを彩る主題歌にも改めて注目が集まっているところだろう。

 今回取り上げるのは、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(以下、『青のSP』)の主題歌、SHE’S「追い風」。ドラマ中、ふと流れてくる弾むようなピアノリフに惹きつけられた視聴者もいることだろう。同じ音形のリフはAメロにも引き継がれていて、サビではコーラスによって明るく歌われている。このシンコペーション特有の跳ねたリズムが曲全体の印象を“軽やかな”、“爽やかな”といったものにさせていそうだ。Bメロがハーフタイムフィール的になっていたりと拍感に緩急を持たせつつも、音像はサビに向けて広がりを見せる。ボーカルの音域もサビが最も高く、開放的な響きが気持ちいい。

 しかし単に軽やかで爽やかな曲に思えないのは、〈一度折れた花〉、〈汚れた手〉、〈消せない記憶と罪〉など、後ろめたさを感じさせる言葉が並んでいるからだ。〈もう一度だけ立ち上がってよ〉とあるように、「追い風」は“再起”や“立ち直り”をテーマにした曲。そして、ドラマのプロデューサー・河西秀幸の「「間違いを起こしても、誰だってやり直せる」といった前向きな歌詞の世界観がドラマに凄くマッチすると確信しました」というコメントにもあるように(参照:SHE’S、新曲「追い風」が藤原竜也主演ドラマ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』主題歌に)、これこそが『青のSP』と共鳴するポイントだ。

 『青のSP』の舞台は、学校内に警察官が常駐し、トラブル対応や予防活動を行う「学校内警察(スクールポリス)」制度を試験導入した公立中学校。その学校は一見どこにでもある中学校だったが、スクールポリス・嶋田隆平(藤原竜也)の登場により、薬物、窃盗、いじめ(=暴行、傷害、恐喝)、女性教師に対するマタニティハラスメントなど様々な問題が浮き彫りになる。

 学校は社会の縮図とよく言うが、同時に、教師と生徒しかほぼ立ち入れない箱庭的空間でもある。そこに「校内の出来事であろうと、法に触れたら逮捕します」というスタンスの警察官が介入したらどうなるか――。そういった視点で描かれる物語は、“学園ドラマ×刑事ドラマ”といった趣だ。刑事ドラマ的なアクションシーンもあるが、スリル溢れるエンタメ要素よりも、問題の解決(改善)を経て生徒・教師がどう変わっていくのかというヒューマンドラマに焦点が当てられている。

 そんななか、「追い風」は生徒たちの背中を押す応援歌として存在している。『青のSP』は基本的に1話完結で、「追い風」が流れるのは放送時間の終盤。さらに言うと、嶋田の言葉や他の生徒らの働きかけによって、一人の生徒の心が動き、変化の兆しが見えた場面であのピアノリフが始まる。まるで窓を開けたときに吹き込んでくる春風のように。

 特に印象的なのがサビにある〈君は変われてる 笑えてる〉というフレーズだ。オクターブ違いのコーラスが添えられ、断定形で言い切られた言葉は一際力強く、上昇スケールに乗せて歌うことで光に向かっていく感じが演出されている。問題を起こした本人を吊るし上げ、叩きのめし、ワンアウトで再起不能にする“一発退場社会”に対する明確な問いかけがここにある。嶋田は後輩のこともぶっきらぼうに扱う人物だから、〈君は変われてる 笑えてる〉なんて口にしないかもしれない。しかし、こっそり手を回しておいたり、時にはあえて手を出さかったりしながら、生徒(教師)自身の成長を促す彼のやり方を見ていると、この言葉は生徒たちを見つめる彼の心の声なのでは? と思えてくるものだ。

SHE’S – 追い風【MV】(ドラマ「青のSP(スクールポリス)」主題歌)

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