東方神起、一挙フル公開した25作品のMVから辿る歩み ユンホとチャンミンが守り、築き上げてきたものの尊さ

東方神起『FINE COLLECTION ~Begin Again~』
東方神起『FINE COLLECTION ~Begin Again~』

 東方神起が、12月末にYouTubeにて25作品のMVを一挙公開した(未公開及びショートバージョンのみ公開されていたもの※フルバージョンで公開されたものを除く)。コメント欄には「懐かしい!」「この曲がきっかけで東方神起を好きになりました」「K-POPを好きになるきっかけをありがとう」「当時振りを必死で練習した」……など、長年彼らを応援してきたファンたちの声で盛り上がりを見せている。

 また、日本語バージョンの楽曲たちであるにも関わらず、海外ファンからの書き込みも目立ち、なかには楽曲が発表された当時リアルタイムでは知らなかったという新しいファンからの喜びのコメントも。まるで思い出のアルバムを紐解くように公開された再生リスト。今回はその25作品を振り返り、改めて東方神起の進化に迫りたい。

2人の覚悟と強さを印象づけた2011年作品たち

 再生リストの最初を飾るのは、ユンホとチャンミンの2人体制となって初の楽曲「Why? (Keep Your Head Down)」だ。紆余曲折を経て“東方神起“を守りたいと立ち上がった2人の決意と覚悟が、力強いユンホの型とチャンミンの舞いで表現されるオープニング。彼らの動きがどれほどキレがあるものかをスローモーションで飛び散る粉塵が物語り、2人の揺るぎない精神が炎となって燃え盛る。2人が固く手を握り合い閃光が輝くシーンは、新しい道を切り拓いていく姿そのもの。まさに「不滅のアイドル」と呼ばれる伝説の始まりを告げるMVだ。

東方神起 / 「Why? [Keep Your Head Down]」Music Video(Full Version)

 以降、2011年は「Superstar」「B.U.T (BE-AU-TY)」「I Don’t Know」と、これまで2人が鍛錬を重ねて培ってきた強靭な肉体と洗練された美しさを印象づけるダンサブルなMV作品が続く。「Superstar」ではビジューが散りばめられた真っ白なスーツに身を包んだ2人はまさしくスーパースターの風格。ごまかしのきかない衣装ゆえに細かな足さばきが際立ち、黒衣装ではアップの表情が楽しめるというコントラストも見事。〈いっそ脱いでしまえばいい〉の歌詞に合わせてユンホがジャケットを翻し、チャンミンがメガネを外してニッコリと微笑むシーンは反則ものだ。

東方神起 / 「Superstar」Music Video(Full Version)

 「B.U.T (BE-AU-TY)」では荒廃したストリートファイトクラブが舞台。薄暗い中で、2人の光り輝く品の良さがにじみ出る。直線的な振りつけを静と動のメリハリをつけながら踊りこなす2人に改めて体幹の強さ、抜群のリズム感を感じ取ることができる。また、最大の見どころとなっているのが、ユンホの鍛え上げられた身体能力の高さを見せつけるアクションシーン。戦う鋭い表情と見事なハイキックは誰もが惚れずにいられない。

東方神起 / 「B.U.T (BE-AU-TY)」」Music Video(Full Version)

 そして、ダイナミックに動く振り子が印象的な「I Don’t Know」では2次元感のあるヘアメイクを、クリスマスシーズンにピッタリな「Winter Rose」ではゆるふわなヘアスタイルと白ニット姿を披露。「Duet」では息の合ったハーモニーで、バラードをしっとりと歌い上げ、アイドル性のある愛され力とアーティストとしての確かな実力、どちらの側面もバランスよく持ち合わせていることが、この時期のMVから見て取れる。

技術面の飛躍的な伸び、ピュアな想いが感じられる2012〜2013年作品

 2012年の「STILL」では、さらに表現力の部分でも磨きがかかった印象。カフェで物憂げな表情を浮かべたり、雑踏の中で立ちすくんでみたりと、彼ら自身が切ない恋を歌う「STILL」の世界観を表現しているのがわかる。歌詞に込められた想いの部分が眼差しからも伝わってくる。

東方神起 / 「STILL」Music Video(Full Version)

 そして2013年になると、「ANDROID」「Catch Me -If you wanna-」「Humanoids」と、もはや東方神起のダンスは“人間離れ“したとも言える、近未来や異世界を彷彿とさせるセットの中で激しいパフォーマンスが楽しめるMVが続く。特に「Catch Me -If you wanna-」では、ダンサーたちと息の合った腕が伸びたように見える動きが実に見事。また、チャンミンの高音シャウトはより伸びが増し、それこそ人間離れした域に達したと言いたくなるほど。

東方神起 / 「Catch Me -If you wanna-」Music Video(Full Version)

 映画『貞子3D2』の主題歌となった「SCREAM」ではホラーな世界観を表現してみせる。映画のテーマと共鳴したMVの世界観だが、機械のような正確さ、スタミナの切れない動きという意味での“人間離れ“に加えて、この世の物を超えた何かに達しようという彼らの勢いにリンクしているようにも感じる。

東方神起 / 「SCREAM」Music Video(Full Version)

 一方で、「In Our Time」「OCEAN」「Very Merry Xmas」「White」と人間味溢れる温かなMVもみられ、2013年はまさにMV豊作の年だ。独りでは生きられないこと、苦しいときは誰かがきっと手を差し伸べているからと歌う2人の優しい歌声に、少しだけ厳しいこの世界を好きになることができる。ビーチで楽しげにパーティーをして遊ぶ2人を見て、また東方神起のライブではしゃぐことを楽しみに頑張って生きることができる気がする。ファンはもちろん、ダンサーやスタッフたちの幸せをいつも願う、ピュアな東方神起をギュッと詰め込んだようなMVだ。

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