神宿、楽曲&ビジュアルイメージの刷新で飛躍遂げた2020年 個々人の活躍や個性も際立つターニングポイントに

神宿が2020年に遂げた飛躍

 神宿にとっての2020年は“進化”の1年だったのと同時に、メンバー一人ひとりの実力や個性を際立たせるための重要な期間だった……年末になり今年を振り返ってみると、そう思わずにはいられないトピックが多いことに気づかされる。筆者自身、今年1月にリリースされたアルバム『kamiyado complete best 2018-2019』、および塩見きらの新録パートを加えリメイク&リパッケージしたベストアルバム『kamiyado complete best 2014-2015』『kamiyado complete best 2016-2017』のタイミングから神宿に深く触れるようになったが、この3作は結成からの5年を総括するだけでなく、次のステップに向けた布石にもなっていたように思う。その“布石”となったのが「ボクハプラチナ」であり、この曲がのちの「在ルモノシラズ」へと続いていく(参考:神宿、“楽曲視点”で振り返る5年間の成長 デビュー曲「KMYD」から新曲「在ルモノシラズ」に至る音楽性の拡大)。

神宿「ボクハプラチナ」MV

 神宿が音楽面で迎えた大きな変化は、トピックとしては3つ挙げられるのではないだろうか。ひとつはサウンド/楽曲面での変化。それまでの王道アイドルポップス的側面から一気に飛躍し、「在ルモノシラズ」ではシリアスな表情を見せつつ、よりディープで大人びたダンスミュージックへとシフト。歌をしっかり聴かせダンスでも魅せ、それに合わせた表情で楽曲の世界観を作り上げるという傾向は続く「Erasor」でさらに強まる。一方で、「SISTERS」や「Brush!!」のような楽曲では“「ボクハプラチナ」以前”とは異なる質感でポップさを極め続け、これら2つの軸をさらにブラッシュアップさせたのが最新アルバム『THE LIFE OF IDOL』だったと断言できる。このアルバムを初めて聴いたとき、「『ボクハプラチナ』からたった1年でここまで到達したか」と驚かされたことを、今でもよく覚えている。

「Erasor」

 音楽面での大きな変化、2つめは塩見が作詞家として楽曲制作に加わるようになったこと。「在ルモノシラズ」からコライトという形で作詞に携わり始めた彼女だが、その言葉のチョイスや独特のセンス、彼女だからこそ書くことができるメンバーの一面なども大きく作用し、小山ひなも「塩見が作詞すると歌割りとかも決めて送ってくれるんですけど、私を普段から見て私のことを理解してくれているうえでこの歌割りにしているんだったら、私は私らしく歌えばいいと思って。信用しているのもあるし、謎の安心感はありますね」とコメントしているようにメンバーからの信頼も厚い(参考:神宿 小山ひなが語る、劣等感や自己否定から生まれる強さ「自信を持って自分に満足しちゃうことも怖い」)。また、アルバム『THE LIFE OF IDOL』には塩見のみならず、「Intro:Attitude」では羽島めい、「MAD GIRL」には一ノ瀬みか、「SISTERS」には羽島めい&羽島みき姉妹も作詞に参加。結果として、『THE LIFE OF IDOL』収録曲すべての作詞にメンバーが携わり、コロナ禍でなかなか神宿と会うこともままならないタイミングだけにより歌詞/言葉に込められた思いが強まっているように感じられた。

神宿 KAMIYADO「Intro:Attitude 」MV

 音楽面での大きな変化、3つめは小編成ユニット/ソロによる歌唱だ。先に挙げた「Erasor」では一ノ瀬、小山、塩見が、「SISTERS」ではめい&みきがそれぞれユニットを組み、5人でパフォーマンスする際とは異なる世界観を各楽曲で表現。歌とセリフで場の空気を掌握するような「Erasor」と姉妹ならではの和やかさを前面に打ち出した「SISTERS」、タイプは真逆ながらもそれぞれの個性が存分に生かされており、今後さらに異なる編成のユニットを組むことでまた違ったカラーを提示してくれるのではないかと、個人的にも期待している。さらに、めいは「Intro:Attitude」でソロラップを披露したほか(参考:神宿 羽島めいに聞く、アイドルとして貫く“変化を恐れない姿勢” 「大切なものを捨てられる勇気も必要」)、塩見も自身の作詞・作曲によるソロ楽曲「Twenty」を発表。12月24日にはみきもソロ楽曲「トキメキ☆チュウ」を配信したばかりで、ユニット同様にさまざまなメンバーのソロ楽曲に今後も期待したいところだ。

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