神宿、“楽曲視点”で振り返る5年間の成長 デビュー曲「KMYD」から新曲「在ルモノシラズ」に至る音楽性の拡大

神宿、楽曲視点で成長を分析

 今年1月15日、神宿がニューアルバム『kamiyado complete best 2018-2019』をリリースした。本作は2018〜19年に発表した楽曲をまとめたベストアルバム的な内容だが、塩見きら加入以前の楽曲を現メンバーで再録したことでグループの“今”を体感できるものとなっている。また、このアルバムと同日には、2017年リリースのアルバム『原宿発!神宿です。』『原宿着!神宿です。』の2作を、塩見の新録パートを加えリメイク&リパッケージしたベストアルバム『kamiyado complete best 2014-2015』および『kamiyado complete best 2016-2017』も同時リリース。3作品を通して聴けば、結成5周年を迎えた神宿の音楽面での変遷を手軽に追体験できるはずだ。

「在ルモノシラズ」ティザー

 2020年最初の新曲となる「在ルモノシラズ」のデジタルリリースを4月16日に迎えたこのタイミングに、改めて神宿の魅力に楽曲面から迫ってみたい。

 まず、グループ結成初期の楽曲をまとめた『kamiyado complete best 2014-2015』の収録曲について。同作には全12曲が収録されており、このうち歌モノはオープニングのインスト「Overture」を除く11曲で、すべてながいたつの作詞・作曲によるもの。「KMYD」や「全開!神宿ワールド」などシンセサウンドが主体でBPM150〜170というハイテンポ、ライブの盛り上げや観客とのコール&レスポンスに最適な王道アイドルソングが中心で、リリース当時メンバー全員が10代半ばから後半という年齢も反映されてか、フレッシュさあふれる楽曲がずらりと並ぶ。しかし、この時点では「これぞ神宿」という突出した個性はまだ感じられず、聴いているだけでこちらまで笑顔が伝染しそうという点において強さを見せるにとどまっている。

 王道アイドルソングの連発である程度の基盤が固まった神宿が次に挑んだのは、楽曲/サウンドの幅を広げることだった。『kamiyado complete best 2016-2017』に収められた楽曲群は、「原宿戦隊!神宿レンジャー」や「Life is やっぱ Beautiful!」をはじめとするハイテンポなアイドルソングに加え、ギターサウンドを前面に打ち出したロック調の「限界突破フィロソフィ」や「カムチャッカ・アドベンチャー」、ディスコやソウルからの影響が見え隠れする「Ultra Cheer」、5人の歌をじっくり聴かせる「ミライノウタ」など非常にバラエティに富んだもの。BPMにおいても114〜140といった比較的抑え気味の楽曲もここで登場し、アレンジに関しても打ち込みのシンセサウンドが中心だったそれ以前から一転、バンドサウンドを主体としたものへとシフトしている。

 また、各メンバーの歌声に個性が芽生え始めていること、そして歌唱力/表現力が少しずつ向上していること、ライブでの見せ方が固まり始めたことも、こうした楽曲の幅の広がりに影響を与えていたはずだ。そういった楽曲群の制作に携わったのがSHUN、利根川貴之、坂和也といった面々。彼らが提供した楽曲の数々が神宿の進化において非常に大きな成果を挙げたことは、間違いない事実だ。

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