Nulbarich、“繋がりと開放感”を演出した初のオンラインライブ 初披露の新曲「TOKYO」は真骨頂を更新する1曲に

Nulbarich、“繋がりと開放感”見せた配信ライブ

 そして、本日の大きな“見せ場”である「ASH」へ。イントロのカッティングが鳴り始め、JQが「これを待ってたんだろ?」と問いかけると、「Yeah~」と満面の笑みでVaundyが登場。先ほど登場したBASIが「JQと仲のいい先輩」だとすれば、Vaundyは「気にかけたくなるかわいい後輩」といったところか。ステージ全景を映し出し、この日もっともダイナミックになったカメラワークもよかった。ちょっと緊張気味のVaundyをJQがほぐす光景もこの日ならではで、跳ねるビートと流麗なピアノのアンサンブルもボーカルを盛り立てる。ジャンルの垣根なくソングライティングするNulbarichのセンスは、エレクトロともファンクともロックとも形容しがたい不思議な魅力溢れる「ASH」で、また一つ開花していると言えよう。また、緩やかなコラボレーションで外へと広がるNulbarichの新たな姿を、こうしてライブで見れたのはとても嬉しいことだ。コロナ禍で内にこもりがちだがらこそ、大切なのは「繋がり」。人と人とを無条件でつなぎとめる音楽本来の美しさを体現する存在に、ますますNulbarichは近づいてきている。

 「Twilight」以降は終盤に向けて怒涛のラッシュ。すっかり定番曲となった「Super Sonic」は、配信で聴いても最高にライブ映えする楽曲だ。「悔いのないように楽しもうぜ」と一声かけると、今年7月に配信リリースされた「LUCK」へ。2020年のポップミュージックのトレンドの一つである、80'sテイストなディスコサウンドを中心に据えた大胆な楽曲である。だが、こうして聴いてみてもNulbarichとして違和感がないのは、キャリアに裏打ちされたスキルと揺るがぬ音楽愛、そして「このメンバーなら最高のグルーブが生み出せる」という確信が音に乗っているからだろう。ラストを飾ったのは、3rdアルバム『Blank Envelope』から「Sweet and Sour」。2020年はどうしてもつらい出来事が目立つ1年だったが、決してそれだけが人生のすべてじゃない。コロナ禍など関係なく、世界が目まぐるしく変わっていくように思う今日この頃、自分にとって本当に大切なものと向き合うことで、真の意味で“酸いも甘いもある人生”を楽しむことができる。Nulbarichらしいメッセージが存分に感じられたところで、ライブは終幕を迎えた。

 だが、本当のラストはその先にあった。画面が明るくなってステージが俯瞰で映し出されると、エンドロールとともに新曲「TOKYO」が流れ始める。とても美しい楽曲に身も心も癒されたが、なかでも神秘的で幽玄なストリングスの調べが印象的だ。まるで地平線からゆっくり太陽が昇っていくように、じんわりと響くサビに言いようもない安心感を覚えた。ノスタルジーを感化するメロディと、現代的なサウンドプロダクション、そして天に祈るような歌。Nulbarichの真骨頂をまたしても更新してみせた素晴らしい1曲で、2021年1月27日には晴れて配信リリースされる。2020年は2度の配信リリースを行った彼らだが、そこで触れた“新しいNulbarich”というのは、まだ一面的なものに過ぎないのかもしれない。ここからもっとワクワクするような景色が待っているはず、その時は少しでも世界がよくなっていると信じたい......そんな願いを込めたところで、Nulbarich初の配信ライブは幕を閉じた。

■セットリスト
2020年12月22日(火)
『Nulbarich Live Streaming 2020 (null)』
1. Long Session
2. On and On
3. Get Ready
4. Zero Gravity
5. It's Who We Are
6. Spread Butter On My Bread
7. Together feat. BASI
8. NEW ERA
9. VOICE
10. ASH feat. Vaundy
11. Twilight
12. Super Sonic
13. LUCK
14. Sweet and Sour
15. TOKYO

Nulbarich 公式HP

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