NMB48、村瀬紗英の偉大な功績物語るステージに 唯一無二の世界観演出した卒業コンサート

NMB48、村瀬紗英卒業コンレポ

 NMB48劇場での卒業発表からおよそ2カ月。村瀬紗英が、12月14日大阪・オリックス劇場にて開催された『NMB48村瀬紗英 卒業コンサート 〜Happy Saepy Ending〜』の9日後に開かれた卒業セレモニーを持って、グループを旅立った。

 NMB48にとって10周年を飾る、2020年最後のコンサートとして開催された村瀬の卒業公演。コロナ禍で満足のいく活動ができなかった春から夏頃を振り返ると、10月の10周年公演と吉田朱里の卒業コンサート2デイズ、そして12月の今回と有観客(入場人数を制限)でライブが開催できていることは奇跡に近い。日々、目まぐるしく変化していく情勢の中で、今後もしばらくは肝煎りのコンサートが続いていくことだろう。

 裏を返せば、この卒業コンサートの開催自体が、NMB48における村瀬の偉大な功績を如実に物語っている。9年前の2011年に2期研究生として加入した村瀬。劇場の初日公演では、後ろの隅っこで踊っていた、言わば中々スポットライトの当たらないメンバーだった。2013年、難波鉄砲隊の選抜メンバー入り。その後、2014年リリースの9枚目シングル『高嶺の林檎』で初選抜入りしたのを機に、グループの中心メンバーとして活躍するようになっていく。そこにあったのは腐らずに自分を強く持ち、挑戦し続ける心。その結果、2018年に村瀬は大きなターニングポイントを迎えることとなる。

 それが、IZ*ONEを生み出した韓国のオーディション番組『PRODUCE 48』への挑戦だった。彼女の端正な容姿から付けられたキャッチコピーは「破壊的美貌」。コンサートの幕開けを飾った村瀬のソロ曲「イミフ」や「美しき者」といった選曲は、まさにオーディションへの参加によってより自分に自信を持つことができた村瀬の象徴。自らプロデュースした真紅の衣装に金の髪飾り、ブラックライトを使用した特殊なメイクと、そのエキゾチックなムードは、アジア圏で圧倒的支持を受ける彼女が放つ、唯一無二の世界観だ。

 吉田朱里、渋谷凪咲、太田夢莉とのユニット・Queentetでのライブでも披露したことのあるダンサブルなナンバー「DearJ」、一緒にオーディションに参加した白間美瑠、加藤夕夏とのパフォーマンス「わかりやすくてごめん」は『PRODUCE 48』での反響を受け、AKB48グループとして村瀬がセンターの一人に抜擢された楽曲である。

 『PRODUCE 48』で女性や韓国のファンを獲得し認知度を広めた村瀬は、2018年にアパレルブランドANDGEEBEEのプロデューサーに就任。元々、小学生の時に読んでいたファッション雑誌のモデルに憧れて芸能界に興味を持った村瀬は、2016年よりファッションコーディネートアプリ「WEAR」で日々自身のコーディネートを投稿していた。今では74万フォロワーを抱えるファッションリーダーは、『PRODUCE 48』以前から“ムラセンス”として注目を浴び、自ら編集長を務めるファッションWEBサイト「Light uP.」を開設と徐々に段階を踏んでいたが、夢の一つでもあったアパレルブランドの立ち上げは、彼女のその爆発的人気を表している。以前、村瀬にインタビューした際、「韓国から日帰りで来てくださった熱狂的なファンの方もいたりして」とその人気の高さを笑顔で話してくれた。もちろん、その人気はグループ内においてもだ。コンサートでは、ANDGEEBEE選抜として日頃からブランド(と村瀬)をこよなく愛する貞野遥香、上西怜が「ハートの独占権」を披露。後輩から慕われる、憧れのファッションリーダーとしての村瀬の姿がそこにはあった。

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