平手友梨奈、ソロ曲「ダンスの理由」の衝撃 『FNS歌謡祭』で見せた飽くなき姿勢と意思表明
驚いた。そして、久しぶりに歌番組を見て興奮してしまった。12月9日夜『2020 FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)にてサプライズ披露された平手友梨奈「ダンスの理由」は、我々の想像を遥かに超えてくるものだった。
この日はちょうど櫻坂46のデビュー日でもあった。平手の脱退後、ほどなくして欅坂46から発表された改名という決断。過去を捨て去るようにして生まれ変わった櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』もきっちり決まり、再スタートは順風満帆。いよいよこれから新しい活動がはじまる! ……そんな櫻坂46のメンバーたちが“真っ白”な衣装を身に纏っているものだから、きっと“黒い羊”を経てグループを去っていった彼女は、さぞかし肩身の狭い思いをしているのではないかと、そう思っていた。
だから、そんな雰囲気の中で披露されるのは、あるとすれば在籍中のソロ曲「夜明けの孤独」や「角を曲がる」のような繊細な曲調、あるいは平井堅とのコラボで話題になった「ノンフィクション」のような切実なバラードで、“タンポポ”のように舞い踊るパフォーマンスなのではと予想していた(だって宣材写真がそんな感じじゃん!)。だが実際は、その予想を裏切る、いや、嬉しいくらいに裏切ってくれるものだった。
制作に一から携わったという初のオリジナル曲「ダンスの理由」。作詞は秋元康で、作曲には彼女自身の名前もクレジット。しかも欅坂46が最後に配信限定でリリースした「誰がその鐘を鳴らすのか?」と同じ辻村有記と伊藤賢も関わっている。そういう“仕掛け”もうまい。
サウンドは激しくリズムは重厚。タンポポどころか戦車のような、いかめしい戦闘の歌だ。ダンスは圧巻の迫力で、大所帯でも目を引くその存在感はまったく衰えておらず、グループ在籍時に絶対的センターと言われてきた所以を再認識させられる。サビ前の振り返る仕草、足で全力で蹴る振り、そこから元に戻る姿勢、ターン後のバランスの取り方、体重移動、体幹の強さ、眼力、すべてに見惚れてしまう。それどころか冒頭の奥から前方へ歩いてくる姿だけでもオーラが違った。