円神、デビューステージに向けて“MU3E”への思い語る 「みなさんに何か繋がったと感じてほしい」

円神、ゲネプロ公演で語った“MU3E”への思い

孤独を感じる時代に繋がっている作品

 ゲネプロ後に行われた囲み取材には、満身創痍の表情で現れたメンバーたち。稽古スタート時の不安そうな雰囲気はどこへやら、今の彼らは「オーディエンスの気持ちを動かせる」と自信に満ち溢れていた。

 本公演の意気込みを尋ねられると、宮里は「観に来てくださった方の人生に少しでも影響を与えられたら。今の自分たちが持っている全力のパフォーマンスをぶつけられたら」と真っ赤なやる気をにじませる。普段は穏やかに笑っているイメージの強い中谷も「オーディション番組で挫折や悔しさを経験した9人だから伝えられるものがある。今日この場所から再出発できたら」と、実は静かに燃えている心中を吐露していた。

 印象的だったのは、メンバーが何度も“MU3E”と口にしていたことだ。A.rikが「初めてMU3Eのみなさんに会える」と嬉しそうな笑みを浮かべると、熊澤も「メンバーカラーやステージテーマも、MU3Eの方々と決めたもの。形になった集大成をようやくお見せできる」と期待に胸を躍らせる。

 「作中の円陣を組むシーンでは、メンバーの意見も反映されているのか」と質問が飛ぶと、瀧澤が「脚本家のマンボウやしろさんが、僕たちの意見をまとめてくれました。自分たちの円神にかける想いや将来について決めたことをセリフにしてくれたので、僕たちとしても気持ちが入りやすいシーンです」と100点の回答をする。

 見どころがトークテーマに上がると、それぞれがアピールポイントを説明。山田が「いろんなペアや新しい絡みを見て欲しい」と告げると、中林は「僕たちやストーリーにあった歌詞になっている」と素晴らしい楽曲たちをレコメンド。「申しわけないんですけど、見どころは全部です!」と元気に語ったのは中本だ。そして、その言葉にはこう続いた。「現地やオンラインで観てくださった、MU3Eのみなさんに何か繋がったと感じてほしい。そうしたら僕たちも、やっててよかったなって感じれると思うから」。

 本作の“円陣”は物理的に組む円陣という意味はもちろんのこと、「心理的に円陣を組んでいきたい」という思いも強く含まれている。密がよくないとされる時代だからこそ、心の密を感じられる作品に仕上がった『nonagon(ノナゴン)~始まりの音~』。「結末を知ったら、もう1回観たくなる舞台だと思うので(2回目を)ご検討ください」なんて語る草地の言葉に、乗りたくなる人が頻出する予感だ。

■坂井彩花
ライター/キュレーター。1991年生まれ。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。Rolling Stone Japan Web、EMTGマガジン、ferrerなどで執筆。

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