藤原さくら×澤部渡(スカート)、eill×Kan Sano、みゆな×クボタカイ……実力派シンガーがタッグで開花させた魅力
みゆなは10月28日に3rdミニアルバム『reply』をリリース。ローの効いた歌声を歯切れよく聴かせる歌唱が印象的なシンガーだが、共作や提供曲を通して表現の幅を広げた。例えば「レインレイ」は木村カエラやあいみょんなど名だたるシンガーの作品に参加してきた會田茂一が編曲。ハードで豪快なギターサウンドを展開し、みゆなのロックシンガーとしてのポテンシャルを引き出すことで作品の振れ幅を大きく拡張した。
また、クボタカイとコライトした「あのねこの話」は、ドラマチックかつ蠱惑的な詞世界にマッチした大人びたフロウを展開。「乙女の声は天津風」は注目のニューカマーバンド・yonawoの荒谷翔大(Vo/Key)提供曲であり、甘いメロディをリラックスした声で歌い上げる。どちらも福岡出身ミュージシャンの参加曲だ。他にもこのアルバムには宮崎在住のみゆなと同郷の九州発アーティスト(BOAT、the perfect me)が登用されている。地方からでも先鋭的なプロダクトを発信できるという証明を果たした意義深いコラボレーションだ。
アレンジャーごとのカラーを堪能できるのも昨今のシンガーソングライター作品の面白い点だ。好みのサウンドを手掛けたアレンジャーをたどって別のアーティストに出会うこともきっとあるはず。クレジットの編曲者欄は、音楽の楽しみを広げる可能性に溢れているのだ。
■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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