シングル『ありがとうって気づいていてね』インタビュー
海蔵亮太が語る、大竹しのぶとのデュエットで紡いだ“夫婦の絆”「長年連れ添ったパートナーのような感覚に」
歌で勇気を届けようと思った
ーー次にカップリングの「Everyday Heroes」は、海蔵さんには珍しいEDMのサウンドですね。
海蔵:こういうサウンドは好きなんですけど、歌う機会はなかなかなくて。今回歌うことが出来て、良い刺激になりました。
ーーコロナ禍の医療従事者への感謝の気持ちが込められている曲ですね。
海蔵:はい。僕のデビュー曲「愛のカタチ」は認知症がテーマだったので、その曲を通してたくさんの医療関係者や介護関係者の方とお会いする機会が増えました。今のコロナ禍で危険な第一線で頑張っていらっしゃる姿に触れて、僕自身何か出来ないだろうかと思い、歌で勇気を届けようと思ってこの曲を制作しました。
今は緊急事態宣言の時ほどの厳しい状況ではないと思いますが、曲を制作していたころは、もし自分が感染していたら家族にうつしてしまう可能性があって、医療関係の方は家に帰ることも出来なくて。そうやって自分の生活を犠牲にして、みんなのために戦ってくださっていました。だから本当に「ありがとうございます」という気持ちですし、自分自身もより意識して生活していかないといけないという気持ちになりました。
ーー海蔵さんだからこそ、より説得力が感じられる歌になりましたね。
海蔵:そうですね。コロナ前は毎月のように、いろいろな介護施設におじゃまして歌わせていただいていたのですが、コロナ以降はオンラインで、いろんな介護施設を繋いで歌わせていただいています。でも以前は1月に1カ所しかいけなかったのが、オンラインだと30〜40施設を一度に繋ぐことができるので、オンラインならではの良さも感じましたね。
ーーこの曲ももう歌っているんですか?
海蔵:はい。みなさんすごくよろこんでくださっています。みなさんそれぞれが主役なんだということを、この曲を通して伝えたいと思っているので、CDを聴いてくださったみなさんも「よしっ、頑張るか!」と思ってもらったらうれしいです。
ーーこの曲はEDMでしたけど、これからもいろいろな楽曲にチャレンジして。
海蔵:正直僕は、あまりジャンルって関係ないと思っていて。R&Bもヒップホップもポップスも、全部ひっくるめて音楽で良いじゃんって。僕は音楽が好きだから、ジャンルとか関係なく、自分が歌いたいと思った曲を歌いたいです。もし知らないジャンルの曲だったら、チャレンジしたいですし。
韓国のプロデューサー・Siwooと海蔵亮太は“チング”
ーーそして3曲目には、前回のシングル表題曲のセルフカバー「素敵な人よ - chingu version - 海蔵亮太 feat. Siwoo」を収録。韓国のプロデューサーとのコラボで、大竹しのぶさんとはまた違ったデュエットになりましたね。
海蔵:Siwooさんも、共通の知り合いを通じて仲良くさせていただくようになりました。Siwooさんは韓国の方ですけど、日本がすごく大好きで、日本人アーティストの楽曲もたくさん手がけていらっしゃるんです。日本語が好きで、「日本語しか勝たん」みたいな(笑)。それでSiwooさんと仲良くなって、6月にリリースした「素敵な人よ」を作っていただいたのですが、せっかく仲良くなったので「いっしょに歌いませんか?」とお誘いした流れです。まさかの作曲したご本人がいっしょに歌ってくださって、実はめちゃめちゃ歌が上手かったという。
ーーヴァイオリンとピアノのみのオケというのも秀逸ですね。
海蔵:毎回思うんですけど、僕ってシンプルなもので戦うことが多いなって。でも逆に、シンプルだからこそやりがいを感じるし、基本的にそういうものが好きですね。自分の身ひとつで勝負するみたいな。それで今回は、6月に出した「素敵な人よ」とはまた違う形を求めた結果、ヴァイオリンとピアノ、そしてSiwooさんといっしょに歌うという形になりました。
ーー素敵さが増しましたね。
海蔵:そうですね。Siwooさんは韓国語で歌っているので、メロディが少し変わった部分もあるんですけど、言語が違うだけで伝わり方や響き方が、こんなに変わるんだなと発見が出来ました。
ーー「chingu version」というのはどういう意味ですか?
海蔵:「チングバージョン」と読むんですけど、「チング」はハングル語で「親友」という意味です。でもニュアンス的には、親友よりももっと濃い関係を表すみたいで、本当にすごく親しい間柄で使われるそうなんです。最初は「日韓バージョン」と付けられていたんですけど、ちょっと違うなって。それでSiwooさんに相談したら、「チング」という言葉を提案してくださったんです。Siwooさんから、そういう言葉を言っていただけたのは、すごくうれしかったですね。僕はSiwooさんのことが大好きで、勝手に親友以上だと思っていたけど、Siwooさんはどう思ってくれているかわからなかったから。でも「君はとても濃い親友だよ」と遠回しに言っていただいたみたいな感じがして、より思い入れの深い曲になりました。