海蔵亮太が語る、自粛期間で向き合った音楽と慰問ライブへの思い「医学的根拠がないからこそ信じられて価値を見いだせる」

海蔵亮太が語る、音楽と慰問ライブへの思い

 認知症をテーマにした『愛のカタチ』でデビュー、昨年末『第61回輝く!日本レコード大賞』で新人賞を受賞。カラオケ世界大会グランプリ受賞経験を持つシンガー=海蔵亮太が、待望の2ndシングル『素敵な人よ』をリリース。

海蔵亮太「素敵な人よ」リリックビデオ(完全版)

 1人の男が結末を迎えた恋と向き合いながら乗り越えていく姿を切なく歌った表題曲のほか、海蔵いわく「J-POPの王道」と話す「紫陽花」、さらにbutaji、コブクロのカバーを収録。インタビューでは楽曲制作の話と、自粛期間中に感じたこと、計画中のリモート慰問ライブに寄せる想いなどについて語ってもらった。そこから浮かび上がってきたのは、歌に対する真摯な姿勢とチャレンジ精神、年月を経ても色褪せることのない歌に対する衝動。そして、信じてやまない“歌のチカラ”だった。(榑林史章)

失恋ソングだけどポジティブに受け止めてくれたらうれしい

海蔵亮太

ーーオリジナル曲でシングルは初めてですね。

海蔵:僕のなかでは、カバー曲でもオリジナル曲でも違いはないんですけど、応援してくださるみなさんから「オリジナル曲を聴きたい」という声をたくさんいただいていたので、少し時間がかかりましたけど、こういう形でお届けできたのは良かったと思います。

ーー「素敵な人よ」は、どういう風に作っていったのですか?

海蔵:何曲か候補をいただいて、そのなかから選ばせていただきました。僕がこの曲を選んだ理由としては、良い意味で違和感がある楽曲だと思ったからです。作曲家が韓国のクリエイターチームで、「彼らにはJ-POPってこういう風に聴こえるんだ」という発見があって、それを逆輸入ではないけど感じることができて。ちょっと歌ってみたいなという気持ちで決まりました。

ーーその違和感というのは具体的に言うと?

海蔵:ここがこうだからと上手く説明できないんですけど、J-POPの王道の流れを汲みつつ、サウンドとしては少し違う世界観があると思いました。なおかつ曲の後半になるに従って段々盛り上がっていく構成だったので、最初のほうは気持ちを抑えて、後半のサビが連続するところに向けて高めていくような感じで歌いました。

ーー失恋の歌ですが、歌詞には海蔵さんの実体験も入っているそうで。

海蔵:最初に上がった第一案の歌詞は、男らしい言葉のチョイスだったんです。でも実際に歌う僕自身は、そんなに男らしさ溢れるタイプではないから、もう少し女々しいところや後悔している感じも入れて欲しいと、作詞家の方にお話をさせていただいて。それで僕が使いそうな言葉を提案して入れていただきました。

ーー歌詞の〈ねぇどこへ 行くの?〉には、海蔵さんが提案した女々しさが感じられますね。

海蔵:そこは、歌であって歌ではないような印象で、自分の心の葛藤だと思って。それをどう歌として表現すればいいのか少し悩みました。感情を100%そのまま口に出すだけでは、歌でなくなってしまうので、気持ちも出しつつ、聴いてくださるみなさんにどう伝えるかというところでバランスを悩みました。

ーー歌詞のほかに歌の表現でも、女々しさを意識されたということで。でも男って、得てして女々しいものですよ。

海蔵:ですよね。僕はそんなにすぐ切り替えられるほうじゃないし、時間が経てばその記憶が完全になくなるというわけでもなくて、薄れはするけど確実に心には残り続けるから。それを女々しいと言われても仕方のないことですけど、そういう自分らしい面を表現できるのもオリジナル曲ならではの良さだなと思います。

ーー聴いた人には、最終的にはどんな気持ちになってほしいですか?

海蔵:失恋の歌で、暗くて女々しいみたいな話をしましたけど、最終的にはそういう経験を通して新しい一歩を踏み出したときに、そんな自分を肯定できる曲になったと思っていて。聴いてくださるみなさんには、もちろん大切な人を思ったり自分にとって素敵な人に対しての感謝を伝えつつ、自分自身が前を向いていけるような、そういうポジティブなものとして、受け止めてくれたらうれしいです。

ーーちなみに海蔵さんが素敵だなと思う人は?

海蔵:楽しいときに感情を共有できる人はたくさんいても、自分が辛いとか悲しいとかマイナスの感情を抱いているときに、一緒にその感情を共有できる人はあまりいないと思うので、それが自然にできる人はすごく素敵だなって思います。今のところ周りにはいないんですけど(笑)。だって今の時代、なかなか出会いがないじゃないですか。

ーー飲み会はおろか外出も躊躇する時代ですから。

海蔵:コロナ離婚なんていうのも聞きますけど、そういう人たちの離婚理由が、一緒にいる時間が増えたことで相手の嫌なところが見えてしまったからというものだそうです。僕の考える素敵な人は、たとえ相手の嫌なところが見えたとしても、それを一緒に分かち合えるような人なんじゃないかと思います。コロナ離婚危機を迎えている方には、思いとどまるきっかけになるかもしれないので、そういう方にもぜひ聴いてほしいですね。でも当事者にしてみれば、「何も知らないくせに勝手なことを言うなよ」と思われるんでしょうけど、理想を言うだけならタダなので(笑)。

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