海蔵亮太が語る、大竹しのぶとのデュエットで紡いだ“夫婦の絆”「長年連れ添ったパートナーのような感覚に」

海蔵亮太、大竹しのぶと紡いだ“夫婦の絆”

 海蔵亮太が11月4日にシングル『ありがとうって気づいていてね』をリリース。表題曲は女優・大竹しのぶとのデュエットソングで、長年連れ添った夫婦の絆をテーマに、息の合ったデュエットを繰り広げ、身も心もあたためてくれる楽曲に仕上がった。カップリングには医療関係者への感謝を込めた「Everyday Heroes」、前作「素敵な人よ」を作曲した韓国のプロデューサー・Siwooとコラボした「素敵な人よ - chingu version -」を収録。タイプの違う曲ながら、どれも人と人の繋がりの尊さや、海蔵亮太の人を惹きつける魅力と歌声が詰まったものになった。今作の制作エピソードに加え、ファンの間で物議となっている「Make you happy」のカバー動画の経緯など話を聞いた。(榑林史章)

大竹しのぶさんは年齢を感じさせないチャーミングさがある

海蔵亮太 with 大竹しのぶ「ありがとうって気づいていてね」MUSIC VIDEO

ーー大竹しのぶさんとデュエットすることになった経緯を教えてください。

海蔵亮太(以下、海蔵):ある知人のパーティーに参加させていただいた時に、初めてご挨拶させていただいて。そのパーティーを盛り上げるために、大竹さんがシャンソンの「愛の賛歌」を歌っていらっしゃったんですけど、それを聴いた時に「うわっ!すごい!」と思って、震えるほど感動したんです。それから、いつか機会があったらごいっしょしてみたいなと思っていました。それで、NHK『ラジオ深夜便』のテーマソングのオファーをいただいた時に、大竹さんが以前その番組のコーナーでパーソナリティをやっていらしたことをうかがって。これはご縁だなと思ったので、思い切ってお願いしたら快く引き受けてくださったという流れになります。

ーー楽曲は、大竹さんとデュエットすることを前提に作ってもらったと。

海蔵:そうです。それに『ラジオ深夜便』を聴いてくださっているリスナーのみなさんは、ご年配の方も多くいらっしゃって。そういう方にも親しんでもらえる曲ということで、長年連れ添った夫婦をテーマに制作しました。

ーー深夜でもご年配の方が聴いているんですね。

海蔵:けっこう多いそうですよ。僕もリアルタイムで聴いたことがありますけど、パーソナリティの方の口調がとてもやさしく丁寧で、終始やさしい番組だなという印象でしたね。

ーー「ありがとうって気づいていてね」は、夫婦愛がテーマということですが。

海蔵:長年連れ添ったご夫婦って、あうんの呼吸みたいなものがあって、直接「ごめん」とか「ありがとう」はなかなか言えないけど、気持ちは通じている部分があって。そういう長年連れ添ったご夫婦ならではの、愛情の表現みたいなものが伝わるものになれば良いなと思って作りました。

ーー大人になると、年々言えなくなっていきますよね。

海蔵:そうなんですよね。子どものころは、「ありがとう」とか「ごめんなさい」とか「好き」とか、そういうシンプルな言葉を気軽に言うことが出来たけど、大人になって社会にモミモミされる中で、シンプルだけど強い言葉は表現しづらくなっていくと感じていて、僕自身も年齢を重ねるごとに実感しています。きっとラジオのリスナーであるご年配の方は、とくにそういうことを感じていらっしゃると思いますね。長く一緒にいるパートナーは自分の弱いところも知っているわけで、そういう相手ほどなかなか言えない気持ちは、僕自身もわからなくもないなって。

ーー言わなくてもわかるとか、今さら言うことじゃないとか、そういう感覚もあるでしょうね。

海蔵:そうですね。僕は最近30代になったんですけど、僕は「言えばいいじゃん」って、正直言って思いますけどね(笑)。

ーー海蔵さんのご両親はどうでしたか?

海蔵:ああ、でも確かに父親が母親に対して、ありがとうとか面と向かって言っているところは、あまり見たことがないですね。それに僕が母親の立場で、急に言われたら「急にどうしたの?」って思うかもしれないですし。それくらい言いづらくて、言うのが恥ずかしい言葉なんだと思います。でも、たまに言うのも良いだろうし、そういう心の動きもこの曲を通して伝わったら良いなと思いますね。

海蔵亮太
海蔵亮太

ーー大竹さんとは夫婦みたいな感じで歌われていますが、実際にレコーディングの時はどうでしたか?

海蔵:僕は大竹さんのご年齢を聞いて驚いたんですけど、年齢を感じさせないピュアさがあるステキな方でした。レコーディングは同じ日だったんですけど、こういうご時世なので別々に録って。録り終えてから、大竹さんから「せっかくだから最後に一緒に歌いましょう」と言っていただいて。そこでいちばん感じたのは、年齢は離れているのですが、いっしょに歌っていると本当に夫婦のような、長年連れ添ったパートナーのような感覚になりました。それくらいにとてもチャーミングな方でした。

ーー曲について、大竹しのぶさんはどんなことを話していましたか?

海蔵:最初に言っていたのは、僕と同じように「やっぱり言うべきだよね」って(笑)。でも僕の両親の話をしたら「そういう人もいるのね」っていう感じでしたけど、〈ごめんねって 言いたくて〉という歌詞に対して「言いなよ」って突っ込んでいました。

ーー夫婦で会話をするような構成の曲ですけど、海蔵さんのほうからこう歌って欲しいとか話をされたんですか?

海蔵:僕のほうからは何も言いませんでした。実際に大竹しのぶさんと歌いながら、お互いの良さや個性が出していければ良いなと思っていたので、何も言わず感じたままで歌っていただきました。事前の打ち合わせでもそういう話はせず、世間話くらいにして。そういう何気ない会話の中で、お互いどういう人間なのかとか、感じ取るものがあれば良いなと思って。そこで感じたものを持って、レコーディングに臨むという感じでした。

ーー歌の雰囲気とか空気感が、おふたりですごく似ている感じがあって。それは、意識してそうしたのかなと思ったんですけど。

海蔵:それはきっと、しのぶさんが寄り添ってくださったのだと思います。結果として、そういうものになりました。それこそ実際の夫婦でも、ああしましょう、こうしましょうと何でも決めていったらきりがないじゃないですか。ふだんの何気ない会話の中で何かを感じ取って、お互いを思いやるのが夫婦だと思うので、まさしくそういうレコーディングだったと思います。

ーー夫婦は長年連れ添うと似てくると言いますしね。

海蔵:そうですね。そういうものなんだなって思いました。僕は、しのぶさんとはまだそんなに長い期間ご一緒したことはなかったのに、そうなったということは、それだけ濃い時間を過ごせたのかなと思います。

ーーMVでは目を見合わせるようなシーンもあって。

海蔵:しのぶさんの世界観にスタジオ全部が包まれました。みなさん顔がほころぶと言うか、ふわっとして不思議な、あたたかくなるような現場だったので、ナチュラルな気持ちで撮れましたね。

ーーふたりで歌っているシンプルな映像ですけど、ずっと見ていられますね。

海蔵:あの映像の中で、しのぶさんがちょっと下を向いてからの上目遣いになるシーンがあって、そこは見どころです。何ともアンニュイな感じで、いろいろな感情が読み取れると言うか。「あなたったら」という表現もあれば、「そんなこと思っているのね」という、ちょっとうれしそうにはにかんだような気持ちもあったり。この曲のすべてが、その1〜2秒のシーンに込められていると思いました。

ーーラジオですでに流れていて。ファンの方からは、何か感想をもらいましたか?

海蔵:やっぱり、「すごくやさしい曲ですね」っていうのが多いです。「ふたりの声がすごく合っていて、深夜にほっこりします」など。あと、「早く覚えてパートナーといっしょにカラオケで歌いたいです」と、言ってくださる声もたくさんいただきました。ただ僕のパートのキーがすごく高いので、カラオケで歌う際はぜひ1オクターブ下で歌っていただければと思います。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる