カラオケからも広がるボカロの名曲たち バルーン「シャルル」ロングヒットから読む

 JOYSOUNDが発表した2019年上半期ランキングの1位は米津玄師「Lemon」、次いで2位があいみょん「マリーゴールド」、そして3位はバルーン「シャルル」であった。その後に中島みゆき「糸」やMONGOL800「小さな恋のうた」といった曲が続いていく。カラオケの定番曲に最近のヒットソングや今旬のアーティストの楽曲が入り込む形の結果だ。

 一方で、2019年発売曲で総合30位までにランクインしたのがback number「HAPPY BIRTHDAY」のみだったというのは少々物足りない気はするが、カラオケランキングはその特性上、遅れて結果に表れる(すでに世間的に認知されている作品が選曲されやすい)ため、新曲のランクインは下半期に期待しよう。

 ちなみに、ここで少し下半期の予想をしておくと、今現在サブスクリプションサービス上でチャートを席巻しているOfficial髭男dism「Pretender」は今後伸びてくるだろう。King Gnu「白日」やあいみょん「ハルノヒ」といった楽曲も確実に上位に食い込むはず。また、サカナクション「忘れられないの」も充分なポテンシャルを持っている。

 アーティストランキングに目を向けると、1位の米津からあいみょん、back number、Mr.Children、嵐、RADWIMPS、中島みゆき、サザンオールスターズ、星野源、西野カナ……の順でランキングが構成されている。こちらも同様に、J-POPを代表とする歌手たちを抑えて現在人気の米津やあいみょんが強さを発揮している。

 ただ、この中でひときわ目を引くのがバルーンの健闘である。昨年の総合ランキングでも14位であった「シャルル」は、今回3位まで上昇し、時が経つに連れてその存在感をより一層強めている(「シャルル」は2016年発表)。アーティストランキングでも上記の面々に続いて11位と見事な成績を収めている。

シャルル/バルーン(self cover)

カラオケからも広がるボカロ楽曲

バルーン『Corridor』

 バルーンは2013年より活動開始したボカロP。今年の1月に須田景凪名義でもメジャーデビューしている注目のアーティストだ。独特の世界観を持った歌詞や緻密なアニメーションの施されたMVが人気を博し、自身が歌った「シャルル」のYouTube上での再生回数は3,000万回を超える。キャッチーで歌いやすいメロディも人気のひとつだ。他にも総合ランキングには、みきとP feat.鏡音リン「ロキ」がランクイン。ボカロPによる楽曲が総合的な指標でも強さを示していることがうかがえる。

 そもそも米津玄師もハチ名義でボカロ作品を投稿していたことを考えれば、ボカロPとして活動を始めたクリエイターが日本中で歌われる名曲を生み出すアーティストへと成長していく流れはもはや珍しいことではないだろう。「シャルル」については、”歌ってみた”動画が大量にアップされるなど、若者の間でブームを巻き起こした楽曲だ。

 ”歌ってみた”と”カラオケ体験”の共通性は言うまでもないが、昨今のカラオケでは実際のMV(本人映像)を流しながら歌うことができるのも大きい。Honeyworksなどを筆頭にイラストレーターも重要となるネット時代、そしてYouTube〜ニコ動以降の”映像ありき”の音楽の世界において、同じ趣味を持った者同士が同じ空間で映像を見ながら歌える、というカラオケのサービス形態はボカロシーン、ひいては現代のネット音楽シーンとの親和性が非常に高いと言えるだろう。

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