U2が鳴らした新世紀のはじまりーー20年越しに紐解く、傑作『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド』の真実
アルバムのカバーは、パリのシャルル・ド・ゴール空港の出発ターミナル前に佇む4人の姿をアントン・コービンが撮影したもの。つまりこのアルバムからまた新たな旅路につく彼らを表している。
当時『サタデー・ナイト・ライブ』に出演したボノは「オアシスもレディオヘッドもいいけど、奴らはまだ子ども。ぼくらは大人の男さ」と若いバンドたちへのライバル心を剥き出しにしている。つまりU2は大人になったが枯れてなどいない。ある意味で原点に戻ったがレトロスペクティブになどなっていない。まだまだロックの最前線で戦い続けることを宣したのである。
アルバムはグラミー賞で年間最優秀楽曲賞、年間最優秀レコード賞、最優秀ロック・アルバム賞など、2年にわたって計7部門を受賞。フォローアップツアーとなった『エレヴェイション・ツアー』は、巨大スタジアムを回った『ポップマート・ツアー』とは一転して、オールスタンディングで2万人規模のアリーナを回る、シンプルかつコンパクトなツアーとなって、かつてないほど親密で熱狂的な反応を巻き起こした。
21世紀のU2は、ここから始まった。その旅は、今もなお続いている。
■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebook/Twitter
■リリース情報
U2
『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド(20周年記念盤)』
2020年10月30日(金)発売
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5CDスーパー・デラックス ¥19,000+税 [直輸入盤仕様]
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