ONE OK ROCK、配信ならではの挑戦的なスタジアムライブ [ re: ] projectアーティストも集結した圧巻の一夜を徹底レポート

ワンオク、“挑戦的”なスタジアムワンマン

 10月11日に行われたONE OK ROCK初のオンラインライブ『ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE』は、非常に画期的な内容だった。ZOZOマリンスタジアムから全世界に向けて生配信されたこのライブは、“ライブバンド ONE OK ROCK”としてのらしさを残しつつも、通常のライブとはひと味もふた味も異なるテイストで、Taka(Vo)の言葉を借りるならば「革新的ではないが挑戦的」な公演だったことは間違いない。

 コロナ禍以降、さまざまな形でオンラインライブが行われ、有観客ライブも少しずつ再開されてきている。自宅でPC越しに眺めるオンラインライブに慣れた体で、半年ぶりにライブ会場での生音に触れると、その音圧や観客の熱気に触れて“あの頃”の感覚を思い出し、再びオンラインライブに戻ることが困難になった......そう感じ始めている音楽ファンも少なくないのではないだろうか。また、自宅で体験するオンラインライブは日常生活の中で鑑賞するため、ライブに集中しにくいという方もいるだろう。

 ところが、今回のONE OK ROCKに関して言えば、最初から最後まで集中してライブの世界観に浸ることができ、決して短いとは言い難い時間を心の底から楽しむことができた。これもひとえに「革新的ではないが挑戦的」なステージ演出の数々に惹きつけられたことが大きい。

 配信は、すでにYouTubeで公開済みの「完全在宅Dreamer」撮り下ろし映像からスタート。1コーラス終えたあたりで画面が切り替わり、過去のライブ映像や、コロナ禍と向き合うTakaの姿が映し出される。過去のライブから「そして、改めて言わせてもらいます。俺らは、お前らが大好きなバンド、ONE OK ROCKです!」というTakaのMCに続いて、ZOZOマリンスタジアムで演奏するバンドの姿が映し出される。グラウンド中央に設置されたステージで演奏するToru(Gt)、Ryota(Ba)、Tomoya(Dr)にTakaが合流すると、4人はそのまま「The Beginning」からライブをスタートさせた。練りに練られたカメラワークの数々は、ライブ生中継というよりはライブ映像作品のそれに近いものが感じられた......生配信ながらも完成度の高さが伝わり、バンドの想い、こだわりが伝わってくる。

 冒頭のフレーズを歌い終えると、Takaは高らかに腕を上げ、カメラの向こうにいる観客に向けて無言のメッセージを送る。この瞬間に、不覚にも筆者の涙腺は緩んでしまった......このアクションひとつで、上記のようなバンドの想いや覚悟が瞬時に伝わったからかもしれない。なんとも頼もしいじゃないか。

 開演時間の18時を過ぎたZOZOマリンスタジアム周辺はすでに陽も落ち、照明がなければ真っ暗闇という状況。無人のスタンド席が思ったより見えないことも功を奏してか、あるいはステージの作りや照明のセッティングのせいだろうか、無人スタジアムでのライブというよりも、なんとなく架空の街中で演奏しているかのような錯覚に陥った。「Taking Off」の演奏が始まると、グラウンドやスタンド、ステージ床面に設置された無数ものライトやLEDモニターが光り、暗闇が一瞬にして摩天楼へと激変。このスペシャルな環境も、ONE OK ROCKの挑戦的なステージングに一役買ったことは間違いない。

 TakaはMCにて「やったことないこと、やってきたこと、全部まとめてお前らにぶつけてやる」と口にしたが、この日はモニターの向こうにいる観客を飽きさせない工夫や演出が随所に用意されていた。「Change」で登場したダンスチーム、PLAN CHIMEとのパフォーマンスもその一つ。ビビッドな映像や照明と合わせて、しなやかなダンスを披露するTakaとダンサーたちの姿は、こういう機会だからこそ実現したものだろう。また、「こんなライブ、バンド生活15年で初めてです。でも、俺らにできること、この画面を通してしっかり残していきたいと思います」というメッセージに続いて、「I was King」や「未完成交響曲」「キミシダイ列車」「Clock Strikes」などといった新旧の楽曲を聴かせ、まるで長尺メドレーのような形でミックスさせたアレンジも、観る者を飽きさせないための挑戦と言える。

 ライブ中盤には、このライブへ向けたメンバーの心境が吐露されたインタビュー映像も用意されていた。これもオンラインライブならではの試みのひとつで、英字幕が用意されていたこともあり、世界中の視聴者にこのライブが意味するもの、4人の決意がストレートに伝わったはずだ。

Taka
Toru
Ryota
Tomoya
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