嵐の名曲は斬新なダンスとともにあったーーフォーメーションの妙や表現力など、5人の飽くなき“こだわり”
嵐が、9月にリリースした新曲「Whenever You Call」のMVのDance Versionを公式YouTubeチャンネルにて公開した。同楽曲は、ブルーノ・マーズが提供したことで大いに話題を集め、英詞で綴られた愛に溢れるメッセージをロマンチックに伝えていることからも、嵐にとって新鮮なナンバーとなった。公開されたDance VersionのMVは、先に公開された通常のMV同様、美しい夜景をバックにメンバーがパフォーマンスする内容となっており、5人のダンスや動作一つひとつの美しさを堪能できる。
同楽曲のダンスの見どころの一つとして、ゆったりとしたテンポと曲調に合わせ、随所で激しい動きを見せていることが挙げられる。ダンスによって、楽曲に込められた真っすぐな意志がより強固になったように感じる一方、メッセージ性自体の柔らかな思いも繊細に表現されており、その力強さとしなやかさとのコントラストが、同楽曲の神秘的な美しさを生んでいる。グループとしての残り少ない活動期間に対する儚さもありつつ、思いの深さは無限大である、とも感じられる同楽曲からは、日本のエンターテインメントの可能性が、活動休止までの時間が限られている嵐によって開花されていくことが実感できた。
活動休止発表後、ストリーミング配信解禁の節目にリリースされた「Turning Up」のダンスもまた新鮮であった。同楽曲のMVや『NHK紅白歌合戦』では、ダンサーを従えたパフォーマンスが印象的で、そのダンスはTikTokなどでも一時トレンドになっていた。だが、実際よく見てみると、いわゆる大勢の人たちがノリノリになれる楽曲ではあるが、振り付け自体の難易度は高いように感じる。それは、アクティブでスタイリッシュな嵐として、グローバルな視点を持って、日本のエンターテインメントを牽引していくという、進化を遂げるための強い意志のようにも感じられる。何より、メンバー本人たちが楽しそうにパフォーマンスしていたことや、立て続けに新たなことにチャレンジしていくワクワク感が、「Turning Up」により勢いをつけていたように思う。
また、嵐と海外との接点に関しては、2013年にリリースされたアルバム『LOVE』の収録曲である「P・A・R・A・D・O・X」にも触れておきたい。同楽曲は、メンバーがニューヨークで振り付けのレッスンを受けるなど、楽曲に対する異常な気合いを感じさせていた。それまでとは異なるセクシーな嵐をアピールするべく、独特な雰囲気を感じさせる同楽曲は、ファンの間でも人気の曲である。特に、5人がキレのあるダンスを横並びで踊るサビ部分は、ライブでも一つの大きな盛り上がりを作ってきた。
日本のエンターテインメントの中心にて、グローバルな視点で活躍してきた嵐だが、そこにはダンスへのこだわりが不可欠だったように思う。名曲の裏には、常に印象的で、斬新なダンスの存在があったのだ。