絢香×三浦大知、コラボ曲「ねがいぼし」に込めたメッセージ 『FNS歌謡祭』テレビ初披露を機に考察

 8月26日に放送される『2020 FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)にて、絢香×三浦大知が先月リリースした「ねがいぼし」をテレビ初披露する。

絢香×三浦大知『ねがいぼし』

 2017年にKREVAが主催するフェス『908 FESTIVAL 2017』で初共演を果たして以降、ともに1987年生まれのアーティストということもあり、親交を重ねてきた絢香と三浦大知。フェスの翌年には、小林武史がプロデュースを担当したシングル曲「ハートアップ」で初コラボを果たす。互いの音楽をリスペクトし、ファンのみならず同業者をも唸らせる実力派アーティストの二人によるコラボは大きな注目を浴びた。

 あれから2年。絢香と三浦の伸びやかな歌声が最も発揮されるライブという活躍の場が、今年未知のウイルスによって奪われた。絢香は政府によるイベントの自粛要請を受け、5月〜6月にかけて開催予定だったライブツアー『遊音倶楽部~2nd grade~』の開催を中止。三浦も無期限延期となっていた『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2020 COLORLESS』の目処が立たないことから、振替公演の開催を断念せざるを得なくなった。音楽を愛する二人にとって、並大抵の決断ではなかっただろう。それでも、絢香は「音楽を通してできること、今しかできないことがあるのではないか」という想いを胸に、楽曲制作を決意。自ら三浦に連絡を取り、ファンが心待ちにしていた二人の“再共演”が走り出した。最初はそれぞれのInstagramにて、メロディだけのアカペラ動画を4月上旬に投稿し、みんなの願いや感じることをテーマに、言葉や写真、動画など表現方法を問わず、「#ねがいぼし」のハッシュタグを使って広く募集。絢香と三浦、そして二人の想いに賛同したミュージシャンが自宅で演奏を重ね、今回の楽曲が完成した。

絢香×三浦大知 / 「ねがいぼし」Music Video

 そして、5月31日に自宅で撮影した絢香、三浦の映像と集まった写真で構成された「ねがいぼし」のミュージックビデオが完成。こちらを見つめながら〈夢なら 覚めてと 遠く 染まる あの日々〉と優しく歌う絢香のフレーズで始まる映像には、“ソーシャルディスタンス”という言葉も存在しなかった日常が映し出される。桜の下や海辺で手と手を重ね、大切な人たちと過ごす瞬間を切り取った写真。誰とも分からない人たちだが、不思議とその裏側にあるストーリーが浮かんでくる。それは一つひとつの言葉が丁寧に紡がれているからだろう。歌詞に込められた願いを取りこぼさないように、ゆっくりと楽曲が進んでいく。本当に遠く感じられる日常を振り返ると、どうしても切なさが溢れる。しかし、サビで交差する絢香と三浦のあまりにも美しい歌声にはっとさせられるのだ。〈繋ぐ 愛する 未来〉という強いフレーズに、私たちは気づく。何もできないまま止まっているかのように思える今も、自分と誰かの命を繋ぎながら、ちゃんと未来へと向かっているのだと。

 そのまま2番では、三浦が絢香からバトンをつなぎ、〈幾つも 生まれる 希望 紡いで 明日へ〉〈あなたを想い 生きる〉と決意を新たに。聴く人の心に寄り添う澄んだ歌声だが、そこには「今できることを」という絢香の想いに立ち上がった三浦の力強さが感じられる。そして、二人の歌声にファンのコーラスが重なるラスト。夜空に瞬く流れ星のように画面上で流れる何百枚もの写真が、暗く沈んでいた心に明かりを灯してくれる。

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