Attractionsが考える、メジャー1stアルバム『POST PULP』で打ち出した“新たなロック”の意味

 Attractionsが、メジャー1stアルバムとなる『POST PULP』を、8月26日にビクターエンタテインメント内<Getting Better Records>よりリリースする。

 ロック、ファンク、ヒップホップ、ソウル、パンクなどの要素をクロスオー
バーさせたハイブリッドなサウンドと、ボーカルのTaroによる独特の世界観を湛えた歌が魅力のAttractions。『POST PULP』は、メンバーらが生まれた1990年代という多様な音楽が溢れていた時代へのリスペクトと、これから先のバンドの進化を表現する意味が込められており、メジャーデビュー作にして一つの“集大成”だと言い切れる渾身の作品となっている。

 今回のインタビューでは、中村佳穂バンドやレミ街のキーボーディスト、コンポーザーとして活躍する荒木正比呂氏を共同プロデューサーに迎えて行われた本作の制作過程や、コロナ禍におけるライブとの距離、本作で打ち立てた“新たなロック”の意味をTARO(Vo)、TAKE(Gt)の2人に改めて考えてもらった。(編集部)

「Attractionsってどういうジャンルなのか」と悩んだりもした

左から)JUN(Ba)、AKIRA(Dr)、TAKE(Gt)、TARO(Vo)

ーー2020年がスタートした頃には想像もしていなかったような新型コロナウイルスの流行が起こってしまって、こういう状況の最中にメジャーデビューアルバムを出すことになりました。

TARO:そもそも、コロナが深刻になってきた時点でライブがなくなるということが一番個人的には凹みました。このアルバムを引っさげてのライブに全身全霊をかけるつもりだったので、急にそれができなくなってポカンと一個なくなってしまった感じでしたね。でも、このご時世だからこそ、ちゃんとアルバム単位で聴いてくれるような環境にもなったのかなと思ったりもしていて。

TAKE:本当だったらこれからフェスの時期に入ってきて、アルバムを引っさげてこれまでのAttractionsよりもさらにレベルアップしたツアーを想像していたんですけど、なってしまったものはしかたないとも思うし。でも、今の時期は音源をリリースすることが大事かなと思います。アルバム単位でじっくり聴いてもらえる時間ができているというのは、それぞれの状況によりけりだとは思いますが、純粋に音楽をリリースする僕らの活動の一つをブレずにできているんじゃないかなと思っています。

ーーアルバムを作る時は、ツアーやフェスの出演を含めてライブでのアップデートがあることを前提に音源を作っていたと思うんですけど、ライブができない状況だと、Attractionsが伝えようとしていることが十分に伝わらないかもしれない。そのあたりはどう感じましたか?

TARO:そうですね……。以前みたいに(ライブが)できたとしても元の環境には戻らないだろうし、これから僕らアーティストは新たなフィールドを作らなきゃいけない状況ではあると思います。4月に行われたトラヴィス・スコットと『フォートナイト』のバーチャルコンサート(Travis Scott × フォートナイト『Astronomical』、仮想空間から生まれる”体験”の意味を考察)は、新しいと思いましたね。バーチャルをはじめ、新しいことを試みている人はたくさんいるので、僕らなりにできることを探っているところです。「Blood Pressure」のインストアライブの収録をYouTubeにあげたりしましたが、それだけじゃ物足りないというのは自分たちでもわかっているんです。だからこそ、今はアルバムにどういう気持ちを込めているかというのを真摯に聴いてくれる方に伝えられるように頑張りたいです。

Attractions / Blood Pressure (Acoustic Session)

ーー以前のように狭いライブハウスにお客さんが入って汗だくで盛り上がる、みたいなことはおそらく当分は訪れないですよね。そうなるとAttractionsがやろうとしている音楽が変わってくることもあるんでしょうか。

TAKE:どうなんだろう……。どういう形で(ライブが)再開するのかわからないので、そこに関してはやっぱりやってみないとわからないです。

TARO:やっぱり新しい形を作らないといけないですよね。東京のバンドを見ていて羨ましく思うのは、設備も整っていて、配信に携わるスタッフさんもたくさんいらっしゃるところです。地方にもスタッフさんはいるんですけど、やっぱりこういう状況だしみんながみんな繋がってるわけじゃないので。とりあえず、今は本当にDIYでやっている感じなので、クオリティは東京の皆さんには負けてしまうかもしれないけど、負けないようにクオリティの高いものを出したいとは思っています。

ーーいろんな制約がある分、工夫の余地もある。

TAKE:そうですね。音楽ってライブだけじゃないですもんね。この間、TENDREさんが行なっていた『360° VR STREAMING LIVE』を見ましたが、映像や視覚も大事な要素だなと思います。視覚的にも楽しめて、普段見えない角度からアーティストのことを見られたりする付加価値が必要になってきますよね。

ーーアルバムの話に戻ります。制作の時期はいつごろでしたか。

TAKE:2019年の4月あたりからレコーディングを少しずつ、今年の2月か3月くらいに最後の曲(のレコーディング)が終わりました。それからミックスとマスタリングはちょうど自粛期間中と重なりましたが、福岡で作った曲を東京のエンジニアさんに送って相談しながら仕上げていきました。(自粛で)時間ができたので、その分時間をかけて作業ができましたね。

ーーじゃあ楽曲そのものには今回のコロナのことは何も関係してない。

TAKE:楽曲自体は関係していないですね。

ーーそもそものアルバムの構想はどういうものだったんですか?

 TAKE:どんなものにしようかというコンセプトは、特に決めずに制作に入りました。今自分たちに何ができるのかを追求したんですけど……というのも、結構バンドで話し合ったんですよ。次はコンセプチュアルなアルバムにするのかどうかとか、どういう雰囲気のものにするか、って。考えた挙句、すごく悩んでしまって。根本的な「Attractionsってどういうジャンルなのか」とか、そういうところを含めて悩んだりもしました。でも最終的には、そういうところには捉われずに、 “自由に、そしてより強固な作品をつくる”というところを主軸に制作に入りました。

TARO:昨年の最初のシングル『Satisfaction』(2019年7月)の時点で、めちゃくちゃ悩んで作り上げたので、個人的には一つ大きな基準を自分たちで作ってしまったなという思いがあったんです。

ーー基準というと?

TARO:「Satisfaction」は、これからAttractionsとして作る曲をこの曲以下のクオリティに下げちゃいけないっていう基準になってしまったという感覚ですね。

Attractions / Satisfaction (Music Video)

ーーそれだけ「Satisfaction」には手応えがあった。

TARO:そうです。「Satisfaction」や「Man on the Moon」が帯びてる空気感や世界観はずらしたくないなと思っていて。それぞれの曲の個性は一個一個違うけど、この二つの基準から外れていたら自分的に違うというか。

ーーその「空気感」「世界観」というのは言葉で説明するとどんなものですか。

TAKE:「Satisfaction」は“マッドチェスター”の雰囲気に似てるというのはかなり言われますね。もちろんそういう音楽は好きだし、クラブでバンドがライブをしてお客さんが踊っているようなノリを大事にしています。やっぱり、ロックバンドでありつつもお客さんをそういう場所でもノせられるようにしたいというのがなんとなく頭にあるので。例えば、昼よりは夜だったり、クールだけど熱かったり、そんなイメージはバンドの中で統一できてるのかなと思います。その空気が「Satisfaction」にもあるので、やっぱりそこが基準になってるのかな。

TARO:だから今作『POST PULP』の1曲1曲に「Satisfaction」と同じくらい力を入れています。僕たちは、曲を量産するようなバンドじゃなく、1曲に対して何回も聴いて作り直して歌も録り直して、解体と再構築をしていきたいと思っています。特に、TAKEくんが完璧主義者なので。

TAKE:凝り性なだけで、そんなことはないですけど(笑)。でもフタを開けると結構ダンサブルな曲が多いなとは思いました。結局そこがAttractionsのブレないところなのかな、と。

ーーダンサブルになったのは意識的ではなく自然にそうなったということですか。

TAKE:『DISTANCE』(1stアルバム/2018年12月発売)をリリースしてからフェスに呼ばれる機会も増えてきて、よりライブを意識した曲作りになっていったかなと思います。もっとお客さんにノってもらえるような曲を作りたいし、ライブでの見せ方も意識し始めて。なので、ダンサブルな雰囲気やロック色が少し強い部分が曲に表れている気がしますね。

TARO:そうなんですよね。なので、今回はどの曲もライブを意識した曲作りだったなと思います。

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