[Alexandros]、go!go!vanillas、Base Ball Bear……リモートセッションによって生まれた過去曲の新たな表情
春から夏にかけて行う予定だったワンマンツアー全公演が中止となったBase Ball Bearが「ライブ現場以外でのライブ表現」を提示するために始動させたのが、毎週木曜0時にYouTube上で公開中の『LIVE IN LIVE~IN YOUR HOME~』だ。仮想ライブとしてセットリストの流れを追体験できるように、リモートで収録された演奏動画が公開されていく企画である。
2016年から3ピースバンドとなったBase Ball Bearだが、現在ライブでは4ピース時代の楽曲も3人用に編曲してプレイしており、この企画でも新たに生まれ変わった過去曲を堪能することができる。原曲では清廉なエレピが彩る「すべては君のせいで」は3人だけの演奏でソリッドなロックナンバーに化け、「転校生」では小出祐介(Vo/Gt)が原曲よりも長尺のギターソロを披露し、現場での熱狂が目に浮かぶ仕上がりへと辿り着いている。
メジャーデビュー曲であり人気曲の1つ「GIRL FRIEND」など、定着したナンバーも今のモード、今の美学でアレンジすることで楽曲の耐久性を高め、バンドの歩みと共振させているよう。もとよりベースとドラムがグルーヴを牽引する「どうしよう」は、そのテイストを継承しつつ、小出のギターもしなやかに絡みつき、3人が出す音の輪郭がくっきりと分かる。また、これらの演奏をじっくりと目に焼き付けられる映像編集を施してあるのもこの企画の魅力である。様々なアングルで、メンバーそれぞれのプレイを観察できる貴重な映像だ。
アイデアを持ち寄り、この状況ならではの創造性を発揮したバンドはこの3組のほかにも多くいた。6月に入りスタジオワークも解禁され始め、徐々に通常のレコーディングも開始されるはず。このコロナ禍でより強まったはずのバンドの連帯性が、素晴らしい作品を生み出してくれることに期待が膨らむ。
■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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