Base Ball Bear、最新作『C3』で提示するバンドの特別さ/異端さ 『C』シリーズを振り返りながら分析

 Base Ball Bearが2020年1月22日に8thアルバム『C3』をリリースした。本作は通称『C』シリーズと呼ばれる作品群の3作目だ。作品ごとにサウンドの変貌を見せるBase Ball Bearだが、『C』シリーズは活動の節目に届けられることが多い。本稿では『C』『C2』を振り返りながら、最新作『C3』を紐解いていく。

Base Ball Bear『C』

 2001年、同じ高校に通っていた小出祐介(Vo/Gt)、関根史織(Ba/Cho)、堀之内大介(Dr)、湯浅将平(Gt)の4人で始動したBase Ball Bear。下北沢・渋谷を中心にライブを重ね、何枚かのインディーズ作品を経て、2006年にメジャー1stアルバム『C』が完成した。

 爽快な音像に表情豊かなメロディを乗せ、捻りの効いたコード進行とフレージングを展開する『C』の楽曲たち。キャッチーでトリッキーな“ベボベ印”のギターロック、その創成期の集大成たる4ピースサウンドは若々しくもすでに格別なオリジナリティを持つ。活動初期からNUMBER GIRL、SUPERCAR、TRICERATOPSなど、先人たちのエッセンスを咀嚼し取り入れながら、鳴らすべき音を吟味することで獲得できた彼らの基盤と言える。

Base Ball Bear – ELECTRIC SUMMER

 SHE、SEA、死。これら全てタイトル『C』の由来となった歌詞のモチーフだ。情景に妄想を注ぎ、想い人への気持ちを爆発させる。ソングライター・小出祐介による映像的かつ感覚的な言葉選びも、当時のバンドシーンでBase Ball Bearが異彩を放っていた要因だ。瑞々しくもどこか歪なボーイミーツガールを描いた詞世界は、あらゆる世代の放課後のワンシーンに重なる。こうしてBase Ball Bearは一定層の青春像を塗り変える存在として支持されることになった。

Base Ball Bear『C2』

 ポップさを獲得しながら順調にファン層を拡大しつつ、常に自らのギターロックと向き合って検証を続けてきたBase Ball Bear。その度に生じるフラストレーションと格闘し、人生史や表現の苦悩を曝け出した作品群の先で2015年にリリースされた『C2』は、これまでにない”視点”を獲得した作品となった。

Base Ball Bear – 「それって、for 誰?」part.1

 本作の題意は「see」が由来であり、つまり“見る”ことがテーマだ。当然だと看過している出来事に対して、時に角度を変え、時にえぐるようにして新たな見方を提示する切れ味抜群の言葉を次々と投げかけてくる。これまで映画や漫画のように場面を描いてきた小出は、本作で自身の怒りや不満、主義・主張をも俯瞰で捉える筆致に辿り着いた。またサウンド面を見つめ直し、従来のギター主体のアレンジのみならず、リズム重視の音作りへと挑んだのも本作の特徴である。その深くどっしりした聴き心地は歌詞に強い説得力を持たせることにも一役買った。

Base Ball Bear – 不思議な夜

 青春時代を描いた『C』と比べ、社会的な題材が増えた『C2』。それでも「文化祭の夜」「不思議な夜」といった楽曲に青春の匂いは残る。不満だらけの現実の中でも、“青春”的な心の躍動が確かに輝くのだ。そしてそれらは『C』期と異なる音と言葉のアプローチで描かれているのも印象深い。活動初期では拾いきれなかった様々な機微を表現する術を手にし、“二周目”に突入した瞬間が『C2』に記録されている。ここまでが第1章と称される期間だ。

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