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『Grape』インタビュー

Base Ball Bearに聞く、バンド力学 スリーピースで立ち返るサウンドの原点とこれから

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 Base Ball Bearに、バンド力学についてのインタビューを行った。今年に入り、自らのレーベル<DGP RECORDS>を立ち上げた彼ら。1月にリリースされたEP『ポラリス』に続き、9月4日には4曲入りの新作EP『Grape』を配信リリース。どちらも、スリーピースとなったことで研ぎ澄まされた彼らのバンドアンサンブルを堪能できる作品となっている。

 バンドは9月15日に日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ『Guitar!Drum!Bass!Tour~日比谷ノンフィクションVIII~』を、9月末から12月にかけて全国ツアー『Guitar!Drum!Bass!Tour』を開催。各公演の会場では『Grape』の会場限定パッケージ盤も発売される。ギター、ドラム、ベースという3つの楽器だけで勝負しようとしているバンドの今とその向かう先について、小出祐介(Vo/Gt)、関根史織(Ba/Cho)、堀之内大介(Dr/Cho)の3人に話を聞いた。(柴那典)

バンド自体の集合生命体としての強さや逞しさ

――今のBase Ball Bear というバンドは、3人編成になって軌道に乗っている感じがするんです。自分たちのレーベルを立ち上げ、そこを拠点にポジティブなメカニズムをまわしている。

小出:はい。

Base Ball Bear – いまは僕の目を見て

――新作EP『Grape』もそういうことが伝わってくる作品だと感じました。改めて<DGP RECORDS>を立ち上げて今年1月のEP『ポラリス』をリリースするまでの流れから振り返ってもらえれば。どういう経緯で今に至っているんでしょうか。

小出:まず2017年に『光源』という3人になって最初のアルバムをリリースしました。「3人でやれることをやろう」という作品ではあったのですが、せっかく4人編成のタガが外れたんだから今まで出来なかった新しいことをやってみようというモードだったんです。初めて打ち込みをいれたり、KIRINJIの弓木(英梨乃)さんをサポートに迎えてツアーをしたり。ですが、結局ギター2本、ドラム、ベースという4人編成の時代とアンサンブルの考え方自体は変わってないことに途中で気付いたんですね。というのも、そのタイミングの日比谷野音(『日比谷ノンフィクションⅥ~光源~』)で、初めて大所帯のライブをやったんです。そのときに当時のチーフマネージャーから「じゃあ、Base Ball Bearは今後何でもやれるバンドでいいってことね」と言われて。そこで初めてハッとしたというか。「いや、違うわ」って。

小出祐介(Vo/Gt)

――Base Ball Bearって、シーンや時代に対して常に批評的な視線を持っているバンドなわけじゃないですか。今の時代、ロックバンドの音にシンセや打ち込みのビートが入るのも当たり前だし、ステージにダンサーがいたりすることもどんどんアリになってますよね。だからBase Ball Bearがそうなるのもアリだったと思うんです。海外も含めたロックバンドの趨勢って明らかにそっちに向かっているわけだし。

小出:それはそれでアリなんですよね。実際『光源』のタイミングではそうだったんです。制作をしていたのはちょうど3年前くらいですけど、海外のバンドが向かってるトレンドがそっちだというのも、その段階で見えてたし。でも、やってみたら「あ、これ別にそこまで好きじゃないわ」ということに気付いた(笑)。作品としては好きでも、自分たちでやるのはそんなに好きじゃないって。そういうこともあって、本質的に3人編成というところに頭が切り替わるのにちょっと時間がかかったんですよね。その一番のきっかけになったのはマテリアルクラブをやったのが大きくて。

――小出さん主宰のプロジェクトとしてマテリアルクラブが始動したのは去年の後半のことですよね。

小出:そうですね。マテリアルクラブでは海外での音楽のトレンドを意識しながら、日本語ラップをやってみたい。それに、バンドではできないアイデアを膨らませたい。そのかわり、バンドはソリッドでポップなものにしたい。そうやって、方向性がハッキリとわけられたんです。だから、『ポラリス』はとにかくスリーピースのサウンドで、余計なダビングも一切しない作り方にしよう、と。

――『ポラリス』を作った段階で『Grape』に至る道筋も見えていたんでしょうか。

小出:『ポラリス』の段階でかなりのアイデアのストックがあったんですよ。あの制作の時は、自分がマテリアルクラブをやっていたのもあって、リズム隊の関根さんと堀之内さんのパートから作ってもらうということをやっていったんですね。関根さんのベースのリフがまずあって、それに堀之内さんがリズムをつける。次は堀之内さんの考えたビートに関根さんがベースラインを乗せる。さらに自分がメロディから考えるものもある。そうやって作っていったら、フォーカスを絞ったことによって考える方向が定まった結果、アイデアが増えていって。

――関根さん、堀之内さんは、どんな風に曲のモチーフを作っていったんでしょう?

関根:『ポラリス』のときは、作品に向けてというより自分が日々録りためて用意しているフレーズのネタ帳みたいものがあって。小出からそういう話があった時に「こんなネタがあります」って、ホリくん(堀之内)に30個くらい一気に聴かせたんです。それを一つずつ一緒にセッションして、「これは面白くなりそうだからこいちゃん(小出)に投げてみよう」と手応えのあったものを選別して、今度は3人でスタジオに入って演奏して作っていきました。もうその頃には3人でライブを始めていたので、3人でステージに立って演奏することを意識してました。

小出:3人で「せーの」で演奏して過不足がない状態というか。ダビングすればするほどライブでの再現性が落ちてくるんですよね。それがいけないというわけじゃないんですけど、「過不足ない状態で演奏で出来てるわ」という体感もすごく大切で。せっかく最小限の編成になったんだから、そういうアレンジの吟味をもっとしていってもいいんじゃないかって。

堀之内:僕発信のは、関根さんが出したフレーズから作ったものが先にあったので、関根さん発信のものにはない雰囲気のものを作りたいと思って出していった感じですね。

関根:そうしたら、明るい、元気のあるフレーズばっかり出てきて。キャラというか、人柄なのかと思いました。

――Base Ball Bearがそういう曲の作り方をしたのって、これまではあまりなかった?

関根:初めてです。

――そのことでBase Ball Bearのバンドの力学はどう変わったと思います?

小出:バンドそのものの捉え方が変わってきたと思います。3人の最小限の編成になったこと、ここ3年くらいの大変だった状況をサバイブしてきたことで、バンド自体の集合生命体としての強さや逞しさみたいなものがついてきた。だったら、グルーヴに言葉とメロディがついていく作り方をしていったほうが、今のバンドに似合うものができるなと思ったので。

――今のバンドに似合うもの、というと?

小出:極端な話、ドラムとベースがよければギターなんかさして弾かなくていいじゃん、みたいな気持ちにもなっていたんですよね。日本のロックって、ギターが弾きすぎてるというのを常々思っていて。それが「邦ロック」っぽさでもあるんだけど、ちょっともううるさいととすら思ったりして。だから、一度手数を減らして、フレーズを吟味しまくってみたら、より歌メロとアンサンブルが立つようになってきた。

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