Newspeakが投じた「Pyramid Shakes」の意味 バンドの変遷から4カ月連続リリースの背景までを探る
そして彼らの活動は今回のコロナ禍における4カ月連続シングルリリースに至るわけだが、「自分たちにできることは?」と自問自答した結果だという公式コメントの奥にはいったいどのような想いがあるのだろうか。それは前作『No Man’s Empire』という言葉に連なるものであると筆者は考える。
同タイトルはどの勢力からも占有されない無人地帯“No Man’s Land”から想像を膨らませた言葉。それは、前述した“圧倒的な牽引力とカタルシス”というNewspeakらしさそのものであり、それに触れる前と後では景色が違って見えるという、優れた表現の本質に向かってひた走りオーディエンスとともに新しい世界を手に入れることへの宣言だとも受け取ることができる。そして今、ウイルスに侵略され現存する人類の誰もが未体験の打撃を受けるなか、自らを強く見つめ直し何がアウトプットできるか考えた結果なのだろう。
その第1弾である「Pyramid Shakes」は、ウイルスが人々の価値観を揺さぶったことで、良心を再考する良いきっけかができた部分もあれば、心無い言葉が飛び交い胸を痛めることもあるが、いずれにせよエクストリームな異常事態のなかで、何を感じ何を選択すべきなのか、疑問を投げかけているかのような歌詞に、感覚を研ぎ澄ませと言わんばかりのスリリングでダンサブルなサウンドが印象的。この先の3曲に繋がる起承転結の“起”をダイレクトに表現したと考えられる、掴みに相応しいキラーチューンに仕上がっている。
今回のコロナ禍で、人と人とが直接会うことにある種の壁ができてしまった。しかしその壁とは人を思いやる心でもあり、我々は人と人との繋がりの大切さをあらためて強く実感し、新たなアクションを起こすべきフェーズに立っている。そんななか、それぞれの在宅時間が長くなったことにテクノロジーの発達も重なって、個人がデスクトップから発信できる表現の利便性やスピード感、リアルな温度感の追求がますます激化すると言われている。しかし一方で、“お前じゃなきゃいけないんだ”というプリミティブな一蓮托生のバンド物語がどんなムーブメントを起こすのか、Newspeakがこの4カ月を通してどんな世界を描いてくれるのか、それもまた楽しみで仕方がない。
■リリース情報
「Pyramid Shakes」
6月12日(金)より配信リリース
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