宮本笑里に聞く、クラシック×J-POPの境界線を進み続ける理由 ナオト・インティライミ&春畑道哉から得た“学び”

宮本笑里に聞く、クラシック×J-POPの境界線を進み続ける理由 ナオト・インティライミ&春畑道哉から得た“学び”

 クラシック、J-POPを中心に幅広いフィールドで活動を続けるヴァイオリニスト・宮本笑里。ナオト・インティライミ、ギタリストの春畑道哉(TUBE)が参加した新作『Life』は、彼女自身の自作曲を中心した作品に仕上がった。「私にとってのポピュラーミュージックを追求しました」という本作によって彼女は、音楽家としての表現の幅をさらに広げたようだ。

宮本笑里【全曲試聴】EP「Life」2020.4.8発売

 今回のインタビューでは、『Life』の制作を軸にしながら、クラシックとJ-POPを行き来する活動スタイル、ヴァイオリニストとしてのターニングポイントなどついても語ってもらった。(森朋之)

自分自身の人生を投影した『Life』

ーー新作『Life』は、初の自作オリジナル楽曲を中心としたEPです。

宮本笑里(以下、宮本):これまでのアルバムは、「クラシックの楽曲とオリジナル曲を1曲」という構成が多かったんですね。2018年に発売したアルバム(『classique』)は、初めての全曲クラシック(ヴァイオリン楽曲)の作品だったので、今回はポピュラーミュージックを追求したアルバムを作りたくて。5曲というコンパクトな作品ですが、1曲1曲がシングルのように濃くて、聴きやすいものになったと思いますね。それぞれの楽曲に自分自身のこれまでの人生、これからの人生を投影しているので、“Life”というタイトルを付けました。

ーー作曲に参加した楽曲が中心なので、自ずと宮本さん自身の人生経験も反映されていると。

宮本:はい。自分の経験をもとにすることで、メロディも作りやすいんですよ。自然に自分らしさが出ていると思うし、「こうなっていきたい」という思いも込められていて。さらにナオト・インティライミさん、春畑道哉さんにご協力していただいたことで、自分だけでは作ることの出来ない楽曲になって。私自身もステップアップできましたし、表現の枠を広げていただいて、宮本笑里の新しい形を提示できたと思います。

ーーほとんどの収録曲がAメロ、Bメロ、サビという構成になっていて、まさにポップスのように楽しむことができました。ヴァイオリンの旋律も、まるで歌のメロディのようで。

宮本:そうですね。私自身、ポップスが好きですし、音楽番組やコンサートなどでJ-POPのアーティストのみなさんとコラボレーションする機会も多く、いろいろな刺激を受けてきて。クラシックでは感じられない音の響き、楽曲の作りに気づくこともあったし、その影響は今回の作品にも出ていると思います。歌詞はありませんが、メロディも覚えやすいと思いますし、“歌える”曲じゃないかなって。

春畑さんもギターで歌っているような印象がある

宮本笑里×春畑道哉

ーーでは、収録曲について聞かせてください。まずはナオト・インティライミさんとの共作による「Delight feat.ナオト・インティライミ」。

宮本:ナオトさんは私とは別世界の方と言いますか(笑)、世界中を旅してきたからこそのコミュニケーション能力の高さ、あらゆる音楽を体験してるからこその表現の幅を持った方で。ライブに行かせてもらったときに、そのことをより一層感じたし、お名前の通り、本当に太陽のような方なんですよね。作曲に関して自分のなかで限界を感じていたこともあり、ナオトさんに助言していただいて、どうすればそんなに幅広い曲を作れるのかを教えてもらえたらなと。

ーーなるほど。作曲はどのようなスタイルで進めたのですか?

宮本:ナオトさんのピアノ、私のヴァイオリンでセッションさせてもらったんです。その場のノリや雰囲気で、頭で考えるのではなくて、音を感じながら自由にメロディを弾いて。1時間もかからずに形になったし、まさにその場で生まれた曲ですね。それをもとにアレンジしたのですが、アフリカンの要素なども加わって、いままでにない世界観の曲になったと思います。

ーー他のアーティストとのコラボレーションは今回が初めてですか?

宮本:そうですね。一人で作っていると、どうしても自分の好みだったり、いきがちなメロディラインに寄ってしまうんですけど、「Delight」ではそれを活かしながら、ナオトさんに「こういうラインもあるよ」と導いていただいて。ナオトさんもクラシック的な旋律が新鮮だったみたいだし、お互いのメロディが上手く重なり合った曲になりましたね。レコーディングでは、テンポ、リズムを意識していました。右手の指の反応をよくするためにはどうしたらいいだろう? と考えたり、奏法でも新しいトライがありましたね。太陽の光、“踊りたい”ということも感じられるメロディだし、私のなかにあった新しい表現への喜びも込めて、「Delight」という題名にさせていだきました。

ーー2曲目の「Continue Acoustic Version with 春畑道哉」は、春畑さんが作曲した楽曲を春畑さんのギター、宮本さんのヴァイオリンでリアレンジしたナンバー。

宮本:春畑さんとは2018年の『live image 18 dix-huit』でご一緒させていただいて。演奏中は華麗なテクニックに魅了されますが、お話をさせてもらうと、すごく物静かで、優しくて。あと、春畑さんもギターで歌っているような印象があって。僭越ですが、”楽器で歌う”というスタイルは、私ともリンクするのかなと。

ーー確かに「Continue Acoustic Version with 春畑道哉」も、春畑さんと宮本さんがデュエットしているような雰囲気があって。

宮本:「Continue」は、春畑さんのアルバムの収録曲(アルバム『Continue』収録の「Continue feat.宮本笑里」)で、私も参加させもらって。原曲は壮大なアレンジなんですが、今回はアコースティックで、ギターとヴァイオリンで囁いているような、優しく、温かいイメージになっていると思います。まず春畑さんがレコーディングしてくださったんですが、その音色が美しすぎて。そこにどう絡んでいけばいいのかを考えて、ボリュームやタッチをいろいろと試しながら演奏させていただきました。春畑さんのファンのみなさんにもぜひ聴いていただきたいです。

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