FUKI、“12 Sweet Stories”を経て再確認した音楽への思い 「もっともっと寄り添って生きていきたい」

FUKI、“12 Sweet Stories”で得た経験

自分の変化がすごく顕著に見えた 

――今回のベストアルバムを聴いていると、やはりこの5年間でのFUKIさんの成長をより強く実感したところもあって。そのあたりはご自身でも感じるんじゃないですか?

FUKI:そうですね。こうやってズラッとこれまでの曲を並べて聴くと、自分の変化がすごく顕著に見えてくるので、やっぱり恥ずかしい気持ちにはなりますよね(笑)。でも、その時期ごとの歌の表情の違いを感じながら楽しんでもらえればいいかなとは思うんですけど。

――例えば『LOVE』に収録されている「LOVE SONG」なんかは、今と声が全然違ってますからね。聴いててちょっとビックリしたんですけど。

FUKI:そうそう。すごくかわいい声で歌ってますよね(笑)。今、こうやって歌えって言われても絶対歌えないだろうなって思うくらい違ってる。この曲、すごく好きなんですけど、最近ライブであんまり歌ってないんですよ。だから次に歌うときがきたら、どんな声が出るのかなっていうのが自分でも楽しみではありますね。

――また、各アルバムにはFUKIさんの楽曲をMIXしたボーナストラックも収録されていますね。

FUKI:たくさんの楽曲のいいところだけをギュッと繋いだMIXになっているので、これはこれでまたいろんなシチュエーションで楽しんでもらえると思うんですよね。朝、出勤や登校のときなんかに聴けば、絶対気分が上がるはずですし。このトラックで気になった曲があれば、今度はそれをフルバージョンで聴いてみるとか、FUKIの世界をさらに深堀りしてもらうきっかけにもなるんじゃないかなって期待しております。

――アルバム本編には入っていない曲、バージョンが含まれているのもポイントかなと。

FUKI:そうそう。「キミへ」のストリングスバージョンとか、「TWO the OCEAN feat.SHEN(Aloha Damashii)」とかね。あと「大切なひと」のDJ HASEBEさんリミックスも入ってるし。自分の曲をこういったMIXバージョンにしてリリースしてる人ってあんまりいないと思うので、なかなかおもしろい仕上がりだと思います。

――この2枚のアルバムが証明しているように、デビュー以来、5年に渡って様々な愛を歌い続けてきたFUKIさん。そこで見えてきたことってあります?

FUKI:結局は“ラブ”なんだなってことをあらためて感じるようになりましたよね。The Beatlesじゃないけど、つまりは“All You Need is Love(愛こそはすべて)”だなって。生きているといろんなことがあるじゃないですか。趣味や好きな服、髪形がコロコロ変わったり、私で言えば歌い方が変化したりもする。でも、愛は必要で大事なんだってことは絶対にブレないものだと思うんですよね。いろんな経験をして、いろんなラブソングを歌ってきた中で、愛に対しての視野が広がった部分もあるような気がするんですよ。今までは自分のことや、自分の周りにいる近しい人に対しての愛しか見ることができていなかったけど、今はもっと大きい視点で愛を見られるようになったかなぁ。刹那的なものではなく、ゆっくりと大切に愛を育んでいきたいっていう気持ちが大きくなったところもあるし。そういう変化は歌詞や歌い方にも表れていると思うので、そういう変遷もこのベストアルバムではもしかしたら感じてもらえるかもしれないですね。

――より広く大きな視点で愛を感じられるようになったのは、年齢を重ねたからなんですかね?

FUKI:もちろんそれもあるんだけど、私の場合は歌うことのおかげだと思うんですよ。歌詞を書いたり、歌ったりするときって、そこに込められた意味をものすごく考えるんです。カバー曲であれば、自分を当てはめていろんな想像もするし。そうするとね、自分の気持ちがどんどん整理されていくんですよね。そういうことをこの5年の間、繰り返してきたことで、いろんな変化がもたらされたんじゃないかな。そういう意味でも私はほんとに歌に助けられてここまで歩んでこられたんだと思いますね。

――音楽によって変化がもたらされて、それがまた音楽に還元されていく。アーティストとしてはすごくいい循環ですよね。

FUKI:ほんとにそう思います。変化をもたらしてくれるものって、人それぞれいろいろあるとは思うんですけど、私の場合はいつも身近に存在してくれていた音楽だったってことなんでしょうね。そこに対しては誰よりも正直に接してきたし、常に真正面から向き合ってきたからこそ、たくさんの変化や成長を与えてくれたんだと思います。

――充実した5年間の歩みにおいて、“12 Sweet Stories”を展開したこの1年間は非常に濃密な時間だったと思います。企画をやり遂げた今、どんな気持ちですか?

FUKI:あっという間の1年でしたね。今まで生きてきた中で一番、早かった気がする。当初は、1カ月に1曲だったら比較的余裕をもってできるかもなって思ってたりしたんですよ。アルバムとなれば1カ月で何曲も作ることがあるわけだから。でも実際はめちゃめちゃ大変で。自分のことながら、ほんとに「よく頑張ったなぁ」って思う(笑)。

――毎月お話を伺ってきましたけど、常にご自身の中にあるものを絞り出して歌詞を書いている感じがありましたよね。

FUKI:そうですね。記念日っていうテーマがあったから書きやすいかなと思いつつ、それが逆に縛りになってしまうこともありましたからね。私はけっこう感情をとっかかりにして書くタイプだから、テーマありきで書く難しさをあらためて感じたりもして。

――しかも毎月、違った記念日をモチーフにするとは言え、大枠はラブソングという縛りもあるわけですからね。表現が似通ってしまう恐れもあるという。

FUKI:そうそうそう。書いていると、この表現は来月の記念日に回したほうがいいかなとか、そういうことを考えたりする瞬間もあったりして。とは言え、結局はそんなことも考えず、自分に正直に一生懸命書くだけだった気がします。毎月、そのとき出せるすべてを出し切ろうっていう気持ちで。そうじゃなきゃ1年続けられなかったと思う。あとね、正直に言えば何度もくじけそうになりましたけど(笑)、ファンのみんながいてくれたから頑張れたっていうのも大きくて。SNSを通して、みんなが励ましてくれたり、曲の感想を言ってくれたからくじけずに済んだんだと思います。ほんとに感謝、感謝ですね。

――今後の活動については何か思い描いていることはありますか?

FUKI:まずは、ライフソングというフォーマットでの愛の歌を歌いたい気持ちが強いですね。2ndアルバム(『LIFE DIARY』)で表現したようなテイストを、今のFUKIとして。そこはもしかするとラブソングと向き合い続けてきたこの1年の反動なのかもしれない(笑)。あと、将来的にはいろんな場所を旅しながら歌っていたいなっていう思いも芽生え始めてきたんですよ。ギター1本を持って、行き先も決めない旅の途中で出会った人たちに歌を届けたいというか。まぁ、実際そういうことがすぐできるかっていうと難しいとは思うけど、気持ちとしてはそういう感覚でずっと歌っていたいなって今は思ってるんですよね。

――今まで以上に音楽と寄り添った人生を送りたいということなのかもしれないですね。

FUKI:最近、自分にとっての音楽って何なんだろうってすごく考えてるんですよ。言ってしまえば、音楽って生きるために絶対必要なものではないじゃないですか。でもね、私にはやっぱり必要不可欠なものだし、だからこそもっともっと寄り添って生きていきたいなって思うんですよね。それは“12 Sweet Stories”と、今の大変な状況があらためて気づかせてくれたことだと思います。

――今、そんなFUKIさんが心を込めて生み出してくれる楽曲に救われている人もきっと多いと思います。

FUKI:そうだったらいいな。きっと今は普段よりも音楽を聴く時間が増えている人も多いと思うんでね、その時々の気分にマッチする曲をこのベストから選んで聴いてもらって、少しでも気持ちをすっきりさせてもらえたらほんとにうれしいです。こういうときだからこそ、ほんとに大切なもの、自分のしたいこと、しなきゃいけないことが見えてきますからね。私は今、物事をすごくシンプルな視点でとらえられていると思うので、ここからもそのままの状態で進んでいきたいと思ってます。

――状況が落ち着いたらライブもできたらいいですよね。

FUKI:ね! ほんとにそう思います。最近はライブ配信をしているアーティストも多いですけど、でもやっぱり直接みんなに会いたいですもんね。面と向かって生の歌を届けたいです。この企画もね、全曲ライブで歌わないと終わった気がしないので。いつかそれが実現できるときまで、アルバムをたくさん聴いて待っていてください!

――ちなみに今も曲作りは続けてます? もしかすると、1カ月に1曲作るペースがクセづいたりしたんじゃないかなと思ったんですけど。

FUKI:あー! それは確かにあるかも。1週間、曲を作ってないとなんだか焦ってくるんですよ。「ヤバいじゃないか!?」みたいな(笑)。だから、ほんとに鼻歌で作ってるようなラフなものもあるけど、どんどんストックするようになってます。そのペースは前よりも全然早くなってると思う。それがどう形になるのかはまだわからないけど、“12 Sweet Stories”での経験は、今後の活動に絶対生かされていくんだと思います。それが楽しみですね。

「12 Sweet Stories」インタビュー  

・第1弾「KISS.」
FUKIが語る「KISS.」への思いと12カ月連続リリースへの挑戦「大切なのはやっぱり“今”」
・第2弾「Our Love Story」
FUKIが語る、「Our Love Story」で得たものと「12 Sweet Stories」の充実
・第3弾「Long Distance」
FUKI、“遠距離恋愛”テーマの「Long Distance」で挑戦したこと「頑張る勇気を持ってもらえたら」
・第4弾『COVER FOR LOVERS VOL.1』
FUKI×TEE「12 Sweet Stories」特別対談 二人が語る「ベイビー・アイラブユー 」とラブソング観
・第5弾「オリオン」
FUKIが新曲「オリオン」を通して見つけた、“自分らしい歌”
・第6弾「FIRSTLOVE」
FUKI、“初恋の日”に贈る楽曲「FIRSTLOVE」で描いた“最初で最後の恋”
・第7弾「LOVE and CRY」
FUKI、リアルな恋愛観を表現した“お揃い”の一曲 「LOVE and CRY」インタビュー
・第8弾
FUKI、“クリスマスイブ”に「ラストシーン」を歌う理由 「向き合いたくないラストに目を向けて」
・第9弾
FUKI×SHUが語り合う、制作の中で生まれた信頼関係とカバーに臨む思い「毎回新しい扉が開く感覚がある」
・第10弾
FUKI、「アニバーサリー」に込めた背中を押すメッセージ 「思いを伝えることでその日が記念日になる」
・第11弾
FUKIが語る、“12 Sweet Stories”を通したデビューから5年の感謝の気持ち「今まで歌ってこられたことに対するお返しをしたい」

■リリース情報
『CRY』『LOVE』
配信はこちら

FUKI - CRY (Best Album Teaser)
FUKI - LOVE (Best Album Teaser)

オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる