「12 Sweet Stories」第2弾リリース「Our Love Story」インタビュー
FUKIが語る、「Our Love Story」で得たものと「12 Sweet Stories」の充実
恋愛にまつわる記念日を毎月ピックアップし、そこに寄り添ったラブソングを12カ月連続で配信リリースしていくという、女性アーティスト初となるプロジェクト「12 Sweet Stories」を展開中のFUKI。第2弾として配信リリースされたのは、6月12日の“恋人の日”にインスパイアされて生まれた「Our Love Story」だ。カントリーを取り入れた耳馴染みのいいサウンドとナチュラルに響く歌声は、恋人たちの幸せな日常を彩る大切なBGMとなるはず。果たして彼女はどんな思いで本作を作り上げたのか? そこに込めた思いをじっくりと聞いていく。(もりひでゆき)
理想の恋愛像を書いていった
ーー5月からスタートした12カ月連続ラブソングリリースプロジェクト『12 Sweet Stories』。SNSを見ているとファンから大きな反響が届いているようですね。
FUKI:「毎月、FUKIちゃんから届くプレゼントが楽しみ!」「1カ月が待ち遠しい!」というメッセージをたくさんいただけているので、このプロジェクトをスタートさせて良かったなっていう気持ちになっています。ファンのみなさんと今まで以上に、より密に繋がれている感じもしますし。
ーーFUKIさんからの発信も増えていますからね。
FUKI:そうそう。のんびりな性格だからけっこう忙しいんですけど(笑)、でも楽しんでやってます。Twitterでは前作「KISS.」の感想もたくさんもらえてるんですよ。私が曲に込めた思いがちゃんと伝わってて、それもすごく嬉しかったです。
ーー楽曲にインスパイアされたスイーツをパティシエが手がけるコラボレーションもスタートし、これもまた話題を呼んでいます。
FUKI:「KISS.」ではJACK松岡さんというパティシエの方が大きな円盤のようなケーキを作ってくださって。第1弾にしてこんなにすごいスイーツを作っていただいちゃって大丈夫なのかなって思うくらい、めちゃくちゃ“映え”でしたね。
ーーどんな味でしたか?
FUKI:メインはラズベリーなんですけど、グレープフルーツの隠し味が入ってるんですよ。それによって、恋心の甘酸っぱさも表現してくださっていて。ケーキの上に乗っていた飾りも全部食べられちゃうし、食べ終わった後に見えてくる台紙には「KISS.」のリリックが書いてあったりもして、本当に大満足でしたね。JACK松岡さんからの楽曲への愛を感じることができて、すごく嬉しかったです。
ーーそして、早くも第2弾となる「Our Love Story」の配信がスタートしましたね。今回は6月12日“恋人の日”をモチーフとした楽曲です。
FUKI:ブラジルでは6月12日に、恋人同士が相手の写真をフォトフレームに入れて交換し合う風習があって。それが由来となって“恋人の日”が生まれたそうです。そういった風習は日本にはまだあまり浸透してないけど、“恋人の日”自体はTwitterで日本のトレンドに入ったりもするし、私の作る楽曲的にもぴったりなテーマだと思ったのでコラボしようということになりました。
ーー楽曲のイメージはすぐに膨らみましたか?
FUKI:“恋人の日”だから明るい雰囲気がいいなっていう漠然としたイメージはありましたね。ただ、いざ制作をスタートさせてみたらなかなか形にすることができなかったんですよ。サウンドプロデューサーのEIGOさんとギターの乾(修一郎)さんと私の3人で、いろいろアイデアを出し合って3曲くらい作ってみたんだけど、どれも「ちょっと違うよね」っていうことになり。かなり煮詰まって、3人とも疲れ切っちゃったっていう(笑)。でも、そんなときにふとスタジオ内にテイラー・スウィフトの曲が流れてきて、それにスーッと導かれたんですよ。「あ、今回はこういう雰囲気でやってみよう」って。
ーー今回の曲はテイラー・スウィフトの初期のニュアンスに近い、カントリーな雰囲気を持ってますよね。
FUKI:そうそう。私は今のテイラー・スウィフトも好きだけど、初期のアルバム『Speak Now』が大好きなんですよ。カントリーも元々好きだし。だから今回は心地良くライトな感覚で聴けて、日常の中で邪魔にならないようなカントリーポップを作ろうという方向性になっていったんですよね。アレンジ面ではギターを中心としながら、今まで使ったことのなかったマンダリンとかバンジョーの音も多めに使ってもらったりして。それによって、ちょっと風が吹いているような涼やかさが出たんじゃないかなって思います。リリース時期としても、まだ真夏ではないのでちょうどいいなって。
ーー作詞作業はいかがでしたか?
FUKI:私は曲を作るときにけっこう思い詰めるし、内容的にも重くなりがちなタイプなんですよ。なので、今回はサウンドの方向性に合わせて、歌詞に関しても「ライトに、ライトに」っていうことを意識しながら、自分が素敵だと思える理想の恋愛像を書いていった感じでしたね。“気づいたらこんなに長く一緒にいたね”みたいな雰囲気で。
ーーささいな日常の中で感じる相手への思いが、日常に寄り添った言葉たちで綴られている印象ですよね。
FUKI:普段は歌詞をじっくり読んでほしいなと思いながら書くことが多いんだけど、今回はサウンドと共に、ほんとにさらっと聴けるようにしたかったんです。だからさらさらーっと書き進めていって、結果的にいつもより言葉数も多くなったんですよね。
ーー出てくる言葉を勢いよく歌詞に落とし込んで。
FUKI:そう。いつもは出てきた言葉を吟味して、削って削って仕上げていく感じですからね。それこそ一筆入魂、みたいな感じで(笑)。でも今回は思いつくことをぶわっと書いていった。そこが大きく違うところだったと思います。ただ、恋人に対しての特別感みたいなものは絶対入れたいなっていう強い思いはあって。
ーー特別感?
FUKI:前作の「KISS.」でも意識したところではあるんですけど、“君は私にとっての特別な存在なんだよ”っていうことをしっかり表現したかったんです。具体的に言うと、1コーラス目のAメロに出てくる〈三度目の映画も大好きに変わってく〉のところなんですけど。これって普通だったらけっこう耐えられないじゃないですか。“三回も同じ映画観るの?”っていう(笑)。
ーー確かにもうストーリーも結末も知ってるわけですからね。作品によっては苦痛に感じることもあるかもしれない。
FUKI:でも君とだったら何度でも観られるよっていう。そういう具体的な情景描写を入れることで、特別感を表現してみたりして。特別な恋人とは何でも楽しくなるものですからね(笑)。
ーー〈ねぇ〉というワードをリフレインしているのもいいですよね。相手との親密な距離感が伝わってくる気がしました。
FUKI:私は歌詞を書くときに、Aメロの頭に〈ねぇ〉をつけるのがけっこうクセなんですよ。過去の曲にもいくつかあったりするし。それはきっと、対象に向けた手紙を書くような気持ちで歌詞を書いているからだとは思うんですけど。
ーーなるほど。それは言い換えると、FUKIさんの曲は思いを向ける対象が明確であることの表れでもありますよね。
FUKI:そうですね、うん。そうしないとうまく書けないというか。思いを向けるべき人物像をちゃんと固めて、しっかり想像しながら書かないと、言葉があっちこっちいろんな方向に行ってしまいますからね。で、その人物を明確にすると、つい〈ねぇ〉と話しかけてしまうっていう(笑)。曲によっては〈ねぇ〉をボツにすることもあるんだけど、今回の曲では上手くハマった気がします。