FUKI、「アニバーサリー」に込めた背中を押すメッセージ 「思いを伝えることでその日が記念日になる」

FUKI「アニバーサリー」で語る記念日観

 恋愛にまつわる記念日を毎月ピックアップし、そこに寄り添ったラブソングを12カ月連続で配信リリースしていくという、女性アーティスト初となるプロジェクト「12 Sweet Stories」を展開中のFUKI。第10弾となる「アニバーサリー」は、“バレンタインデー”をテーマに制作した一曲。今回のインタビューでは、楽曲制作を中心に、歌に対する思いの変化、独自の記念日観、そして「12 Sweet Stories」の集大成的な意味を込めた「アニバーサリー」について聞いた。(編集部)

自分の気持ちに正直に動いてほしい

ーー12カ月連続新曲配信プロジェクト「12 Sweet Stories」、第10弾となる2月はバレンタインデーとのコラボになりますね。

FUKI:バレンタインデーはクリスマスと同じくらい恋愛記念日としては有名ですし、大事なイベントではないかと。私自身、子供の頃からバレンタインデーには好きな人に、それがたとえ片想いであってもチョコをあげてきましたから。時に手作りの場合も、時には買ったものの場合もありましたけど(笑)。

ーー思いを伝えやすい日ではありますよね。

FUKI:うん。バレンタインデー自体に勇気をもらって、勢いで思いを伝えられたりしますからね。ありがたい記念日だと思います。

ーーそんな記念日を元に生まれた楽曲が「アニバーサリー」です。完成に至るまでにはどんな流れがありましたか?

FUKI:バレンタインは大きなイベントだからわかりやすいものではあったけど、曲に落とし込むには果たしてどうすればいいんだろうみたいな迷いはあったんですよね。そんな中、思いを伝えることでその日が記念日になるという意味で“アニバーサリー”という言葉が浮かんで。「あ、今やってるプロジェクトも恋愛記念日をテーマにしたものだし、ちょうどいいかもな」と思えたんです。

ーーバレンタインデーを大枠としつつ、“記念日とはなんぞや?”みたいな部分に向き合ってみるのもいいかもしれないと。

FUKI:ある意味、去年の5月から続いているこのプロジェクトの、ひとつの集大成的な曲にしてみるのもいいかもなって。ここまでの曲たちを振り返ると、それぞれ違った視点で書いてはいるけど、恋愛記念日を大きなテーマにしているからどうしても表現的に似通ってきちゃってた部分があるような気もするんですよ。そこが毎回、悩みどころでもあるし。だったら今回は、その記念日というもの自体について歌ってみるのもいいんじゃないかなって思ったんです。それは結果としてバレンタインデーにもマッチしたものになるだろうから。

ーー“アニバーサリー”というキーワードが出たことによって、歌詞のイメージは膨らませやすかったですか?

FUKI:そうですね。「記念日って一体なんなんだろう?」って、頭の中がごちゃごちゃになって意味がわからなくなっちゃう瞬間もありましたけど(笑)、最終的には歌詞にもある〈Everyday’s Anniversary〉というフレーズにたどり着いて。毎日が大切なんだ、毎日がアニバーサリーなんだっていうメッセージを歌いたいなって思ったんですよね。

ーーFUKIさんが大事にされている“ライフソング”とも言えるアプローチですよね。

FUKI:そうそう。毎日を大切に、愛を持って生きていきたい……そういう思いはすごく当たり前のことだと思うけど、日常の中において忘れがちになってしまうこともあるじゃないですか。なので、この曲ではそれをあらためてビシッと伝えられたらいいなと。

ーー今回の歌詞はものすごくいいですよね。伝えたいメッセージはストレートに描かれているけど、細かな描写の裏にある深い思いがリアルに伝わってくる。これまでの曲たちとはどこか違った手触りを感じる書き方だなぁと。

FUKI:私、自宅でハリネズミちゃんを飼っているんですけど、その子がこの曲の制作の最中に具合が悪くなってしまったんですよ。脳の病気で、急に歩けなくなってしまったから、私はもう悲しくて悲しくて、毎晩泣いていたんです。そのときに、「あぁ、やっぱり当たり前のことってないんだな」「毎日を大切に過ごさなきゃいけないな」って強く思ったんですよね。

ーーなるほど。その体験があったからこそ書けた歌詞でもあると。

FUKI:はい。プリプロのときは違った歌詞を乗せていたんですけど、その出来事があったから書き直したんです。“アニバーサリー”というテーマは決まっていたけど、よりリアルな歌詞を書けたのは、うちのハリネズミちゃんが導いてくれたからだと思います。2番のAメロなんかはまさに実体験をそのまま書いてますからね。ハリネズミは夜行性だから夜、めちゃくちゃうるさいんですよ。「寝れないから静かにして!」っていつも思ってたけど(笑)、今じゃ自分だけでは動けなくなっちゃったから夜でもすごく静か。それがツラくって……。だからね、大切な相手に対しては、手遅れになる前に思いをしっかり伝えていってほしいなって思うんです。それが好きな人であっても、家族であっても、ペットであっても。

ーー後悔しないように、っていうことですよね。

FUKI:そう。カップルの人はね、その幸せな時間が当たり前じゃないってことにも気づいてほしいですよね。「また明日会えるからいいじゃん」とか思わず、常に自分の思いを伝えていってほしい。で、片想いの人は思いを伝えることで、たとえそれが上手くいっても、そうじゃなくても、そこが大事な記念日になると思うので、自分の気持ちに正直に動いてほしいです。今回の「アニバーサリー」は、そんなみんなの背中を押せる曲になったと思います。

ーー楽曲の方向性を決めるにあたって、今回はプリプロを行ったそうですね。

FUKI:そうなんですよ。当初、私の中にはバンドサウンドの盛り上がる曲にしたいなっていうイメージがあって。バレンタインはハッピーなイベントだし、12月に配信した「ラストシーン」も盛り上がるサウンド感で反応も良かったですしね。ただ、そのイメージでアレンジをいろいろ考えていったところ、「もしかすると盛り上がる系じゃないのかもしれない」「バラードっぽく行ったほうがいいかもしれないね」というムードになり(笑)。みんなで悩み始めたんですよね。

ーーその方向転換は、“アニバーサリー”というテーマやメロディの雰囲気によって生まれたものですか?

FUKI:そうですね。アップテンポな雰囲気で実際に何回か仮歌を録ってみたところ、なんとなく違うかなという判断になって。今回はバラードっぽいアプローチで行くことを決め、具体的なアレンジはいつもお世話になっているSHUちゃんにお願いするということでプリプロを終えました。で、年明けに本チャンの歌録りがあったんですけど、そのときにはもう今のアレンジが完成していたんですよ。歌詞は現場で何回も書き直してけっこう細かく変わったんですけど、アレンジができた状態で歌うのはけっこう久しぶりでしたね。

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