「12 Sweet Stories」第11弾リリース「キミじゃなきゃ -CRY Version-」インタビュー
FUKIが語る、“12 Sweet Stories”を通したデビューから5年の感謝の気持ち「今まで歌ってこられたことに対するお返しをしたい」
恋愛にまつわる記念日を毎月ピックアップし、そこに寄り添ったラブソングを12カ月連続で配信リリースしていくという、女性アーティスト初となるプロジェクト「12 Sweet Stories」を展開中のFUKI。第11弾となる「キミじゃなきゃ -CRY Version-」は、FUKIのデビュー曲「キミじゃなきゃ」のニューバージョン。今回のインタビューでは、3月14日のホワイトデーを機にリリースされる楽曲にデビュー曲を選んだ理由、デビューから5年が経った自身の成長について聞いた。(編集部)
たくさんの人たちにたくさんの愛をもらってきた
ーー12カ月連続配信企画“12 Sweet Stories”の第11弾は、FUKIさんのデビュー曲である「キミじゃなきゃ」のニューバージョンになりました。この曲を今のタイミングで再び届けようと思ったのはどうしてだったんでしょう?
FUKI:いろんな恋愛記念日をテーマにして曲を作ってきたこの企画も後半になってきて、あらためて「記念日ってこういうことなんだな」って私の中で明確になったところがあったんですよね。2月に配信した「アニバーサリー」は楽曲自体、記念日そのものを意識したものだったし、そのミュージックビデオで、こちゃにカップルに出てもらったこともひとつのきっかけになったというか。
ーー人気YouTuberであるこちゃにカップルのこちゃにさんが、彼女であるなつきさんに逆バレンタインサプライズをするというMVでしたよね。
FUKI:そうそう。その2人の姿を見たときに、「あ、記念日っていうのは大切な人への感謝を伝える日であり、相手への愛を再確認する日なんだな」って思ったんです。もちろん頭ではわかっていたつもりだったけど、あらためて腑に落ちたっていうんですかね。それに、こちゃにとなつきちゃんはあのMVに出てくれたことで、毎年2月14日になったら「アニバーサリー」をたぶん聴いてくれるだろうし、もし結婚して子供が生まれたら今年のバレンタインのことを絶対話してくれるはず。そんな思い出のきっかけを与えてくれるものこそが記念日なんだよっていうことを、私はこの企画を通して伝えようとしてきたんだなっていう気づきもあったりして。
ーーなるほど。
FUKI:で、3月14日のホワイトデーとのコラボとなる今回はどんなきっかけを届けるべきかなと考えたときに、今まで歌ってこられたことに対するお返しをみんなにしたいなと思ったんですよ。デビューからの5年間、リスナーの方々はもちろん、周りのスタッフさんたちも含め、私はたくさんの人たちにたくさんの愛をもらってきた。それに対してのお返しをすることで、みんなとの関係をあらためて強くするきっかけになればいいなって。そう思ったときに、歌うべき楽曲は「キミじゃなきゃ」が一番しっくりくる気がしたんですよね。
ーーFUKIさんにとっての始まりの曲だし、たくさんの人たちに愛されている代表曲でもありますからね。
FUKI:私にとってもものすごく大事な曲ですからね。それを、「みんなのおかげでこんなに成長したよ。ありがとう」っていう気持ちを込めて、あらためて歌い直してみたいなって思いました。デビューにあたって抱いていた当時のワクワクドキドキ感をもう一度、みたいな気持ちもあったし。
ーー「キミじゃなきゃ」が生まれたときのことって鮮明に覚えてます?
FUKI:うん。制作しているときにすごく苦しかった覚えがありますね。デビューに向けて何曲か作っていた中で、この曲には特に思いを振り絞って向き合っていたと思うんですよ。別れの曲なので歌詞を書いてるときも、レコーディングしているときも、自分の思いを苦しくなるくらいめちゃくちゃ詰め込まなきゃいけないっていう。だからこそ完成したときの達成感たるや。まだデビュー前にもかかわらず、やり切った感をすごく感じちゃってましたね(笑)。とは言え、数年経ってもなおたくさんの人たちに愛してもらえている曲になるとは私自身、当時はまったく想像もしてなかったんですけど。
ーー5年分、年齢とキャリアを重ねた今のFUKIさんから見ると、当時のソングライティングやボーカルに関して何か感じるものもありますか?
FUKI:歌はやっぱりすごく変わったなって思いますね。この5年、ライブではほぼ毎回歌ってきた楽曲でもあるので、自分自身ではそこまで変わってるとは思ってなかったんですよ。でも、今回あらためて当時の音源を聴いてみたら、「わ、こんなに違うんだ」ってビックリするところもあって。自分的には「もはや違う人じゃん!」って思っちゃうくらい(笑)。
ーーでは、歌詞の書き方に関してはどうですか?
FUKI:歌詞はね、今も全然色褪せてないなって思いました。曲によっては、ちょっと古臭く感じるものもあったりするし、逆にそこが良さになることもあると思うんだけど、この曲に関してはもう、あの日と変わらない気持ちで歌えるというか。今の自分が歌っても、目の前にすぐ歌詞の情景がバッと広がる感じがありましたし。そこに関しては、当時の自分に対して「やるじゃん!」って思った(笑)。
ーー特に気に入っているフレーズってあります?
FUKI:〈ジーンズの裾からこぼれたあの日の砂が…ツライよ〉のところかな。当時も自分の経験から出てきたフレーズを入れたはずなんですが、むしろ最近のほうがよりリアルに感じられるところもあります。ジーンズをはこうとしたら裾から砂がポロポロ落ちてきたりして、「これ『キミじゃなきゃ』まんまじゃん!」って思ったり。当時はショートパンツを履いていることが多かったから、実体験としてはあまりなかったのかもしれない(笑)。
ーー主人公の感情的な部分で、今のFUKIさんとのギャップを感じるところはありませんか?
FUKI:そこに関してはちょっとあるかな。この曲の主人公は別れた相手に対してしがみついている感じがあるんですよ。未練がすごく強いというか。当時の私はきっとそういう感じだったんでしょうけど(笑)、今はそうでもないところもあって。ちゃんと別れを受け入れた上で、前を向けるようになっている気はします。そういった変化は今回、歌の表現としてちゃんと落とし込めたような気はしますね。