FUKI、“12 Sweet Stories”を経て再確認した音楽への思い 「もっともっと寄り添って生きていきたい」

FUKI、“12 Sweet Stories”で得た経験

 恋愛にまつわる記念日を毎月ピックアップし、そこに寄り添ったラブソングを12カ月連続で配信リリースしていくという、女性アーティスト初となるプロジェクト「12 Sweet Stories」を展開したFUKI。そのラストとなる第12弾ベスト配信アルバム『CRY』『LOVE』が4月22日にリリースされた。今作は、「12 Sweet Stories」で発表された楽曲だけでなく、デビューからのFUKIの楽曲が2作のテーマでそれぞれ収録されたFUKIのデビュー5周年を飾る作品にもなっている。当企画最終回となるインタビューでは、「12 Sweet Stories」、デビューからの5年を辿りながらFUKIのアーティストとしての成長、変化、歌への思いについて聞いた。(編集部)

より歌詞をかみしめて大事に歌えるようになった 

――昨年5月から展開されてきた12カ月連続配信企画“12 Sweet Stories”のラストを飾るのは、FUKIさんにとって初となるベストアルバム。シチュエーション別に『CRY』と『LOVE』の2タイトルが届けられました。

FUKI:この企画をどんな形で終えるのがいいかなと、いろいろ考えてはいたんですよ。新曲で終わるのも当然、ありだと思っていたし。でも、「最後はアルバムという形にまとめてほしい」っていう声がリスナーさんの間からちらほら上がっていて、「なるほど、それもいいな」と思ったんですよね。ひとつの区切り、集大成として、このタイミングでベストを出しておくのがいいんじゃないかなって。

――しかも、“12 Sweet Stories”の中で生まれた楽曲のみならず、すべてのレパートリーから選曲されているので、デビュー5周年にふさわしいアルバムでもあって。

FUKI:そうですね。デビュー曲から最新曲までをたっぷり詰め込みました。この企画をきっかけにFUKIのことを知ってくれた人もいるはずなので、あらためての自己紹介的な意味合いもここにはあるんですよね。自分で振り返っても、いい曲ばかり作ってきたなと思うので、これまで応援してきてくれた人も含めた、たくさんの方々に聴いてもらいたい。そして、FUKIという存在がまた大きく広がっていったらうれしいです。

――『CRY』にはせつない曲、『LOVE』にはハッピーなラブソングがまとめられています。選曲や曲順を決める作業はいかがでしたか?

FUKI:2枚の構成は楽しかったですね。全曲聴き返してみたことで、「ああ、こんなにたくさんの曲を作ってきたんだな」って感慨深い気持ちにもなったりして。曲順に関しては、どうやったら飽きずに聴いてもらえるかなっていうことを一番に考えましたね。意識したのは、アルバム全体を通してひとつの物語を感じてもらえるような並びにすること。すべて聴き終えたときに、映画を1本観たような気持ちになってもらえたらいいかなって。「最初と最後はこの曲にしよう」っていう軸となる思いはあったので、作業はそこまで悩むことはなかったかな。感覚的にできたところもあったし。

FUKI - Best Album 「CRY」 [全曲視聴]
FUKI - Best Album 「LOVE」 [全曲視聴]

――各アルバムのオープニング曲にはどんな思いがあったんですか?

FUKI:それぞれ1曲目は先行配信した「キミじゃなきゃ -CRY Version-」と「大切なひと -LOVE Version-」になっているんですけど、これはアルバムのテーマを象徴している曲だから最初から確定していて。で、その次に何を置くかっていう部分にこだわったんですよね。『CRY』の「365」と、『LOVE』の「100万回の『I love you』」は、どちらもライブの1曲目に歌うことがすごく多いんです。この2曲が流れ出すと、「あぁ、ライブが始まる! みんな集まって!」っていう気持ちになる。その雰囲気を表したくて、今回は頭に入れることにしたんですよね。

――ではアルバムのラストに込めた思いは? ちなみにオープニング同様、それぞれ「キミじゃなきゃ」と「大切なひと」のオリジナルバージョンがリマスターされて収録されていますから、その前の曲にこだわったってことですかね?

FUKI:そうそう。『LOVE』の方の「ふたりいろ」は、自分の両親の姿を思い描いて作った曲なんですよ。これまでも、そしてこれからも長い間一緒にいる2人のように、自分自身も愛を大事にしていきたいなっていう思いがあるので、このアルバムの最後にふさわしいんじゃないかなと。

――一方、『CRY』は「Christmas Time Again」が配置されていますね。

FUKI:最後がクリスマスの曲なのはどうかなって一瞬、思ったりもしたんですよ(笑)。ただ、『CRY』のアルバムはわりと1日の終わり、寝る前にベッドの中で聴くイメージでまとめていたところもあったので、クリスマスっぽい“シャンシャン感”で終わるのもいいのではないかと。そういう判断でしたね。

FUKI - Christmas Time Again [出演:こちゃにカップル]

――なるほど。せつない曲で構成された『CRY』は、確かに夜聴くとしっとり浸れそうですよね。逆に、『LOVE』のほうは明るい時間帯に似合う曲が多いかもしれない。

FUKI:『LOVE』はハッピーソングばかりですからね。朝一番に聴けば気持ちがグッと上がると思うし、私のようにランニングするときに聴くのもいいかも。もちろん、その人なりの聴き方をしてもらえればいいんですけど、私の中にはなんとなくそんなイメージはありますね、それぞれのアルバムの役割として。

――ちなみに『LOVE』のリード曲として、「大切なひと」を新たなバージョンにしたのはどうしてだったんですか?

FUKI:『LOVE』というアルバムを象徴する1曲だなと思ったのがひとつ。もうひとつは、この曲で描いたことが今の自分的にすごくしっくりくる感じがあったから。なんかね、当時よりも、より歌詞をかみしめて大事に歌えるようになっているんですよね。この曲をリリースしたのは2018年で、そこまで時間が経っているわけじゃないから、バージョン違いを出すのはどうなのかなっていう話もあったんですけど、最終的には私の意見を尊重してもらえた感じでしたね。

――結果、すごくいい仕上がりになりましたよね。アレンジが変わって、曲の世界観がよりハッピーにブラッシュアップされた感じがあります。

FUKI:私もすごく好きです。歌は録り直していないんですけど、アレンジが変わったことで、聴いていると自然とカラダが動く曲になったなって。その上で、オリジナルよりもちょっと大人っぽさも出ましたよね。いつもお世話になっているピアノの縄やん(縄田寿志)とEIGOさんが素敵に仕上げてくれました。

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