橘慶太の「composer’s session」:岡崎体育
w-inds. 橘慶太×岡崎体育対談【前編】 DTMとの出会いが叶えた夢、“歌詞が脚本”スタイルの楽曲制作について聞く
岡崎体育として音楽活動をする上での一番のテーマとは
橘:あと、僕がもう一つ気になってたのは「FRIENDS」って曲で。あの曲はどうやって生まれたんですか?
岡崎:インディーズで活動してたとき、ロックバンドと混ざってブッキングライブをすることが多かったんですけど、そこでソロでやっていることをいじられる面白さを知ったというか。普通、批判されたり皮肉を言われると「なんやねん!」ってなるんですけど、それをコミックソングとして消化して「バンドざまあみろ、俺は収入100%自分のもんや」って言うことによって、バンドマンの中にも笑ってくれる人がいるんですよ。そうやって友だちになった人もいて。マジで言ってるって思う人もごく一部いますけど、ネタだってわかって楽しんでくれる人がたくさんいるっていうのがわかったんです。で、メジャーデビューしてからも大きいフェスでやったり、対バンの時は歌詞の途中をそのバンド名に変えたりして。
橘:イベントで一緒になった時、歌詞の途中をw-inds.にして歌ってくれましたもんね。w-inds.を観に来てくれた人もみんな笑ってた。
岡崎:w-inds.ファンの人が多いところでw-inds.のことをいじると怒られるんじゃないかってみんな思いがちなんですけど、やっぱり喜んでくれるんですよね。対バンしてお互いが気持ちよくやっているっていうのをお客さんもわかってくれてるから、単純に円満なライブよりちょっと棘があった方が、もしかしたら面白いと思ってくれるんじゃないかって。一種のプロレスみたいなものですけど。マイナーチェンジをその日のために施すっていうところに対して、お客さんも一緒にステージに立つ人たちも気持ちよく思ってくれることが多かったんです。だから単純にお金のことを言ってる曲のように聞こえますけど、あの曲で仲良くなった人はたくさんいますね。
橘:じゃあ曲のタイトル通りなんですね。「FRIENDS」でフレンズになっていくっていう(笑)。
岡崎:皮肉にも(笑)。
橘:で、メジャーデビューを約束の4年で成し遂げて、さいたまスーパーアリーナで30歳までに単独ライブをやるっていうのもずっと言ってたんですよね。
岡崎:2012年からずっと言ってました。
橘:それも間に合いましたよね。
岡崎:あれはもう本当にギリギリでしたね。僕、誕生日が7月なんですけど、29歳の6月9日にやったんで、本当にギリギリ達成。
橘:僕も観に行って、チケットも即効完売してましたね。
岡崎:本当にありがたかったですね。やっぱりなかなかできない経験なので。みんなが僕の音楽を受け入れてくれたおかげで、あんなに大きいところでできました。
橘:さいたまスーパーアリーナで僕が何に一番感動したかっていうと、だいたい大きいところでやったらみんなスタイルを変えてくるんですよ。たとえばバンドを従えるとか、いろいろ背負ったりとか。だけど岡ちゃんは何一つ変えなかったんですよね。いままでやってきたスタイルを、さいたまスーパーアリーナの規模でやるっていうことに徹していたじゃないですか。
岡崎:そうですね。逆に言うと、そこだけが唯一のこだわりだったんですよ。
橘:僕はそれが気持ちよくて。かっこいいな、すごいなと思って。「いろいろ用意してんだろうな」と思って観に行ったらしっかり貫いてた。それに感動して、多分終わった後にそれを一番先に伝えたと思うんですけど、あれはマジでかっこよかったですね。貫いたかっこよさ。
岡崎:岡崎体育で音楽活動をする一番のテーマが、地方発信なんです。近所のライブハウスでもできる、自分一人とパソコン一台のスタイルで、本当にさいたまスーパーアリーナを満員にしてライブができるのかっていうテーマがあったんですよね。今は上京してますけど、さいたまスーパーアリーナをやった当時は京都の実家で、東京に来る仕事のときはホテル暮らしだったし。今から音楽を始めるような中高生で、東京に住んでない地方の子たちに向けて、DTMがあれば自分の部屋で曲が作れるし、自分の家の近所のライブハウスから始めて、どんどん大きいステージでやっていくこともできるっていう一つのモデルケースになりたかった。だから岡崎体育のさいたまスーパーアリーナまでの活動の流れを、今の中高生たちがもし知ってくれるのならば、地方の子たちには「できるんだぞ」っていうのを伝えたいなと思っていましたね。
橘:いろんな人が夢をみれたステージだと思いますよ。
岡崎:そうなれればいいなって思ってます。
(後編に続く)
連載バックナンバー
・【第4回】NONA REEVES 西寺郷太
・【第3回】Yaffle(小島裕規)
・【第2回】KREVA
・【第1回】m-flo ☆Taku Takahashi
■岡崎体育リリース情報
「ニニニニニ」
配信はこちら
■番組概要
放送局:NHK総合テレビ
番組名:よるドラ『いいね!光源氏くん』
放送日:総合テレビ 2020年4月4日(土)スタート
※毎週土曜 午後11時30分から11時59分(全8回)
<原作>
えすとえむ
<脚本>
あべ美佳
<音楽>
小畑貴裕
<主題歌>
岡崎体育「ニニニニニ」
<出演>
千葉雄大 伊藤沙莉 桐山漣 入山杏奈 神尾楓珠 ほか
<演出>
小中和哉 田中諭
<制作統括>
管原浩(NHK) 竹内敬明(テイク・ファイブ)
■KEITAリリース情報
3rd Album『inK』
2020年3月25日(水)
・KEITA / Making of "Someday" Teaser
・KEITA配信サイト
初回盤(CD+DVD)豪華デジパック+スリーブケース仕様 ¥4,545+tax
<収録楽曲>
01. Don’t Leave Me Alone
02. Be On The Stage
03. Around N Around
04. Lonely Night
05. I Gotta Feeling feat. ISH-ONE, GASHIMA
06. Tokyo Night Fighter feat. 岡崎体育
07. Too Young To Die
08. Live For Yourself
09. Hopeless Place
10. Y.E.S
11. Nothing Lasts Forever
12. Give Me Somemore
13. Angel
14. Someday
<DVD収録内容>
「Someday」メイキング映像
通常盤(CD only)¥2,727+tax
<収録楽曲>
01. Don’t Leave Me Alone
02. Be On The Stage
03. Around N Around
04. Lonely Night
05. I Gotta Feeling feat. ISH-ONE, GASHIMA
06. Tokyo Night Fighter feat. 岡崎体育
07. Too Young To Die
08. Live For Yourself
09. Hopeless Place
10. Y.E.S
11. Nothing Lasts Forever
12. Give Me Somemore
13. Angel
14. Someday