NBA選手 八村塁がキーマンに? CMや応援ソングから探るヒップホップ×スポーツの動向
2019年6月にワシントン・ウィザーズより日本人初となるNBAドラフト1巡目指名を受けて、念願のNBA入りを果たした八村塁。その活躍ぶりは、連日のニュースで届けられている通りだが、最近では国内ヒップホップシーンを賑わせるキーマンとしても注目が集まりつつある。というのも、今年に入ってから、少なくとも3名のラッパーが八村をテーマにした楽曲を発表しているのだ。その全貌を時系列順に追っていこう。
まずは、JP THE WAVYが2月7日にリリースした「Louis 8」。八村の名前を冠した同曲のタイトルは、JP THE WAVYの愛好するハイブランドをオマージュしており、そのリリックもまた、“Rookie of the Year”などのワードを散りばめながら、八村に絡めて自身のボースティングに結びつける内容に。同曲のプロデュースを担当したJIGGは、これまでに「Young Rich」などでJP THE WAVYと関わってきたトラックメイカー。バスケットシューズのこすれる音や、ボールの不規則なドリブル音などをサンプリングした、何から何までバスケ尽くしなトラックが特徴的だ。
JP THE WAVYが得意のダンスを見せるMVからも目が離せない。フックで披露するレッグスルーなど、要所にバスケ要素を盛り込みつつ、全体的にバウンシーな振付で統一しているのがいかにも彼のスタイルらしい。また、出演ダンサーらは今作のシングルジャケットが描かれたユニフォームを着用。NBAチームのロゴをオマージュしたようなプリントをはじめ、真っ白な「AIR FORCE 1」で足元を揃えたり、スニーカーヘッズなら絶対に唸るバッシュ(バスケットシューズ)の山に埋もれたりと、誰もが目を奪われるこだわりが詰め込まれた映像だ。
続いて3月4日に、Daichi Yamamotoとトラックメイカー・KMが、大正製薬『リポビタンD』のCM「でかい夢」編に楽曲提供。同CMには八村本人も出演しており、タイトルにある“ビッグスケール”を体現するように、遥か上空のリングに力強いダンクを決める映像が収められている。そんな八村の背中を押すように、Daichi Yamamotoも力強いバースをキック。自身の努力や積み重ねで、目の前のハードルを超えることを鼓舞してほしいと歌っている。
Daichi Yamamotoといえば、昨年9月に1stアルバム『Andless』をリリースしたばかりの若手注目株だ。同アルバムに収録された、KID FRESINOの客演参加曲「Let It Be」を機に、その多彩なスキルに気がついたリスナーも少なくはないだろう。そんなDaichi Yamamotoの現在の境遇は、NBAプレイヤーとして1年目の八村とも共通しているからこそ、リリックに込められた意味も八村にとって“自分ゴト”として響くのではないだろうか。
さらに3月5日には、八村がイメージキャラクターを務める株式会社マキタが、オリジナルプロモーション映像を公開。八村自身も出演する同映像では、KEN THE 390がリリックを書き下ろし、八村のドリブルプレイがトラックに盛り込まれた「HACHIMURAP」を楽しむことができる。ここでは、そのシンプルで音数の少ないトラックに合わせるため、KEN THE 390もフロウが一辺倒にならないよう、様々なパターンへの切り替えに挑戦したとのこと。ラップとバスケで音楽を創りだすという異色な“セッション”が興じられたわけだ。