ITZY、数ある“ガールクラッシュ”コンセプトの中での特異性 ストレートなメッセージやハウス取り入れたサウンドが軸に
成功するポップスターの作品には、必ずと言っていいほど、アーティストを特徴付けるクオリティの高い楽曲はもちろん、その時代の若者へのポジティブなメッセージのある歌詞やコンセプトが兼ね備えられている。
「2NE1のパワフルさとBTSの『LOVE YOURSELF』のような他者へのメッセージ性」
「歌詞が異性や恋愛の話をしてないのもいい」
これらの言葉は筆者の友人の韓国人女性がそれぞれ話してくれた、5人組ガールグループ、ITZYへの印象だ。ITZYは昨年デビューしたグループの中でも最も大きな成功を手にした。デビュー曲「DALLA DALLA」は韓国の年間シングルチャート11位にランクイン、多くのアワードで新人賞を受賞。ITZYには確かに“何か他とは違う”部分があるのだ。今回は、3月10日に発表されたミニアルバム『IT’z ME』も紹介しながら、ITZYのコンセプトや楽曲面から、何が彼女たちの作品をITZYたらしめるのか、その魅力について紐解いてみたい。
事務所が同じJYPエンターテインメントなだけあって、ITZYには“TWICEの妹分”という謳い文句が度々使われるが、歌詞やMVを見てみればTWICEとは異なる印象を受ける人が多いはずだ。前述の筆者の友人の言葉も一つの例といえる。
彼女たちはデビュー曲「DALLA DALLA」から歌詞が強烈でストレートだった。いくつかラインを引用すると“恋愛なんかに頼らない 世界には面白いものがもっとたくさんある”、“あなたの基準に私を合わせようとしないで 私は今の私が好き 自分は自分だから”……。こんなふうに強い自己肯定を表すフレーズが連発されるのだ。MVを見ても彼女達の表情や振る舞いは「自信満々」という言葉が似合うシーンばかり。連想されるイメージはTWICEのようなキュートさや身近さではないし、楽曲のハードな雰囲気も相まって、確かに2NE1のような「ガールクラッシュ」という言葉がぴったりだ。
この度発表された『IT’z ME』でも“あえて何かになろうとする必要はない 私はそのままの私でいる時が完璧だから”というラインが印象的なリード曲「WANNA BE」を始めITZYの「自己肯定」を掲げるメッセージは強化されている。7曲入りの作品で扱う主題自体は広くなっているものの、「TING TING TING」や「THAT’S A NO NO」など他の曲でも“自分のやり方を邪魔させない”といった強気さを聴かせる。
実際、こうした「自己肯定」のメッセージ自体はとりわけ「ガールクラッシュ」と括られるグループ達の間では珍しくはないし、「自分を愛そう」というメッセージも冒頭の筆者の友人の言葉通り『LOVE YOURSELF』シリーズの時のBTSの歌詞とも共通する。ボディポジティブをテーマにしたリゾを始め、昨今の欧米の音楽シーンでも共通されるテーマなだけに世界的にも共感されやすいだろう。では、ITZYは何が特別なのか? それは彼女達の一貫性とメッセージのストレートさにあろう。