ジュンペロ、SUGIZO、sleepyhead 武瑠……ジャンルを問わないアーティストとのコラボ 新たな相互作用の起点に

 このような交流は音源制作に限った話ではない。たとえばBAROQUEの圭(Gt)のソロ作品『4 deus.』(2019年)。彼の微細な表現が活きたギターエレクトロニカの大作である本作は、彼が一人で作りあげたものだ。一方で、ライブでの彼は、BAROQUEの怜(Vo)やBAROQUEのサポートを務めるTHE NOVEMBERSの高松浩史(Ba)を始め、関わりの深い数々のアーティストと共演している。また、BAROQUEのアートワークを手掛け、彼らのライブでもパフォーマンスを披露した、デコレーションフラワーアーティスト・相壁琢人(ahi.代表)の個展『Adam et Eve-Adam-』への出演は、彼の才能が音楽以外のアートフォームにも共鳴した例といえる。

圭 (BAROQUE) - 『4 deus.』 Trailer

 音楽以外のアートフォームがきっかけとなったコラボレーションの例として、sleepyheadの2019年作「endroll」(『endroll』収録)も挙げられる。この曲は、イメージと歌詞を武瑠が、コードとメロディをTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也(Vo/Gt)が、リズムをプロデューサー/DJのIttiが手掛けた共作で(参照:ナタリー)、シューゲイズなギターとダークなドラムンベースが融合した、彼の世界観を新しい側面から表現した曲になっている。山中はsleepyhead以前から武瑠との交流が深く、今回の作品参加を「損得勘定ではない」と発言していたが(引用:ナタリー)、二人の出会いのきっかけは、武瑠が手掛けたあるファッションブランドの映像だったようだ。

sleepyhead「endroll feat. 山中拓也(THE ORAL CIGARETTES) 」 MV

 このように、それぞれのアーティストがソロ活動でシーン内外のアーティストや文化と相互に作用しながら、さまざまな観点で表現を拡張し、磨き上げている。彼らが再度バンドに立ち返ったとき、その経験が混ざり、ぶつかり合って、刺激に満ちた作品が生まれる。そして、その作品が、また新しい相互作用の起点となっていくのだ。

■エド
音楽ブログDecayed Sun Recordsの管理人でバンドマン。ヴィジュアル系とメタルをよく聴く。

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