メディアミックスプロジェクト戦国時代が到来? DJ、お笑い、戦国武将……多種多様に広がるコンテンツの現在
アニメやゲームに加えて女性声優によるリアルライブを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』(以下、『バンドリ!』)、男性声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(以下、『ヒプマイ』)など、近年は音楽を絡めたメディアミックスコンテンツの人気や注目度がますます上昇。キャラクターソングがヒットチャートの上位につけることは最早珍しいことではないし、アニメ誌のみならず音楽誌や一般誌、TV番組などのメディアで特集が組まれることも多くなった。
もちろん、それ以前から『アイドルマスター』シリーズや『ラブライブ!』シリーズのように広く人気を集めるコンテンツも多くあったが、それらがいわゆる「アイドル」をテーマにしていたのに対し、『バンドリ』ではバンド活動、『ヒプマイ』ではラップバトルを作品の軸に据えることで、既存のコンテンツとの差別化を実現。それが作品自体の個性を強調するとともに、音楽的にも今までにない広がりを生み、キャラクターコンテンツの音楽の在り方にある種の改革をもたらしたことが、より多くの人の心を惹きつけた理由だと思う。
そんな状況のなか、昨年から今年にかけて新しいメディアミックスコンテンツが続々と誕生。『バンドリ』や『ヒプマイ』の躍進に続けとばかりに、従来の枠組みに収まらないユニークな要素を取り入れた作品が増えている。ここでは、そのなかから注目作をいくつか紹介することで、メディアミックスコンテンツ隆盛の現在を切り取ってみたい。
ブシロードが打ち出すDJメディアミックス『D4DJ』
まずは『バンドリ!』を展開するブシロードが昨年に本格始動させたプロジェクト『D4DJ』。本作のテーマはズバリ「DJ」ということで、イベントでは作品の登場キャラクターを演じるキャスト勢によるDJパフォーマンスを交えたライブを実施。演者には、愛美や前島亜美、大塚紗英、RAISE A SUILENのDJとして活躍する紡木吏佐ら『バンドリ!』声優が名を連ねるほか、西尾夕香、高木美佑といった実際にDJ活動を行っている声優、さらには元AKB48の平嶋夏海、元PASSPO☆の根岸愛、コスプレイヤー/DJのつんこなどのタレントも参加しており、声優に限らず様々な分野から役に適した人材を起用している。
もちろん音楽面での力の入れようも相当なもので、作品全体の音楽プロデューサーとして『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』などのヒットアニメを手がけた斎藤滋が参加しているほか、作中に登場する各音楽ユニットごとにも音楽プロデューサーを起用。稀代のヒットメイカーである上松範康(Elements Garden)や、アニメ監督でDJ経験も豊富な水島精二、『ポケットモンスター THE ORIGIN』の音楽プロデューサーとして知られる都田和志などが名を連ねている。
また、各ユニットによって音楽性が異なるのもポイント。ハピコア的なテンション感とノリの良さが特徴のHappy Around!、Elements Garden製のクールなダンスミュージックを聴かせるPeaky P-key、本格派のエレクトロハウスで未来的なサウンドを展開するPhoton Maiden、ハイブリッドトラップとセクシーな歌声がマッチしたMerm4id(マーメイド)、Sho from MY FIRST STORYらが提供した楽曲でロッキンに攻める燐舞曲(ロンド)と、DJというテーマをベースにしつつ、様々なジャンルの音楽を楽しむことができる。2020年秋にはスマホ向けアプリゲーム『D4DJ Groovy Mix』がサービス開始予定、さらにアニメ版の監督は水島精二が務めることも決定しており、今後間違いなくブレイクするコンテンツと言えるだろう。