嵐の魅力はアルバム曲にこそあり 『ARASHI No.1』『ARASHIC』『Are You Happy?』‥‥…サブスク解禁を機に解説
“今の嵐”の中にこれまでの歳月が詰まった『Are You Happy?』
名実ともに日本一のグループに成長した嵐。この頃の彼らは『THE DIGITALIAN』(2014年)、『Japonism』(2015年)と明確なテーマを持った作品をリリースしている。そんななかで、“嵐が思う今の嵐”をコンセプトにしたのが2016年発売の『Are You Happy?』だ。
そうしたテーマでも、Earth, Wind & FireとThe Jackson 5を掛け合わせたような松本潤のソロ曲「Baby blue」、マーク・ロンソン「Uptown Funk」への嵐からのオマージュ的な「Don’t You Get It」など、時代性ともリンクしたヴィンテージサウンドはどことなく初期~中期の嵐を彷彿とさせる。「Tokyo Lovers Tune Night」(『HERE WE GO!』2002年)、「身長差のない恋人」(『How's it going?』2003年)、「JAM」(『いざッ、Now』2004年)あたりの昔の彼らのアルバム曲の世界観を膨らませて現代に蘇らせたようなテイストの一枚だ。
また、情熱的かつコミカルなダンスナンバーの相葉雅紀ソロ曲「Amore」は「Disco Star」(『THE DIGITALIAN』)や「Mr.FUNK」(『Japonism』)から一貫したモチーフで、あるいは「Lucky Man」(『How’s it going?』)などとも近いものがある。レイドバックしたリズムの「DRIVE」や韻シストが制作に参加した「To my homies」からは、“後期・嵐”の余裕や充実ぶりが伝わる。“今の嵐”をテーマに掲げた中にもこれまでの歳月を思い出させつつ、時を経て獲得した落ち着きが同居する一枚だ。
今回の記事で紹介できたのはほんの一部だが、まだまだ聴くべき曲は多い。シングル曲だけでは掴み取れない魅力がアルバム曲にはあるため、これを機にアルバム曲から“まだ知らない彼らの魅力”を掘り当ててみてはいかがだろうか。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)