ウォルピスカーターが踏んだ“高音出したい系男子”の大きなステップ 中川翔子、はるまきごはんら参加した『“大”株主総会』レポ
ここからは、ウォルピス社の朝礼の時間と設定されたシアトリカルなステージへと一転。社長室に入室した社員たち(バンドメンバー)を鍛え上げるために、社長(ウォルピスカーター)が呼び込んだ外部のスパルタ指導をするコンサルタントマネージャーが登場。それがこの日の4人目のゲストボーカリスト、中川翔子。社員たちだけではなく、社長、株主たちまでもが、中川翔子先生に「ギザカワユス!」などと声を上げるように指導され、場内は大フィーバー。
自身の3rdアルバム『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』にも、J-POPのカバー曲が収録されているように、ウォルピスカーターは、ボカロ楽曲以外のカバーにも意欲的な歌い手であることは特筆しておきたい。この日も、天まで昇りそうな透き通った歌声で、同作品の収録曲である、DREAMS COME TRUEの「未来予想図Ⅱ」と、PRINCESS PRINCESSの「M」をカバーした。
再び登場した中川翔子とは、昨年12月4日にリリースされた彼女の5年ぶりとなったオリジナルアルバム『RGB~True Color~』に収録されているウォルピスカーターのプロデュース曲「ある日どこかで」、中川翔子の楽曲「空色デイズ」を歌唱した。本編は、今度はゴールドの銅像に扮したけーぽんが急遽参加した、ウォルピス社のCM曲「斜めがけ前線」で、締めくくる。
そして、2020年3月25日にリリースされるニューアルバム『40果実の木』の告知を挟んだアンコールに突入すると、ピアノ、ギターによる演奏で「無花果」、バンドメンバー全員による演奏で「泥中に咲く」を届けて、『2019年度 ウォルピス社“大”株主総会』は幕を閉じた。
4人のゲストボーカリストを迎えることでウォルピスカーターは、より“高音出したい系男子”としての大きなステップを踏んだことだろう。終始、歌の間は賑やかな会話で埋まっていた株主総会だったが、その空間を創り上げているのは、紛れもなくオープンで親しみやすい彼の人柄。理想を現実へと近づけていくその背中は、ただただ逞しいものだった。彼がステージを後にしてからは、9月27日に東京・Zepp Haneda、11月1日に大阪・Zepp Nambaにて、ワンマンライブ『真・株主総会』、『ハイトーン刑務所 ~LIVEでキーを下げただけなのに~』を開催することが告知され、場内には割れんばかりの歓声、拍手が上がった。
■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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<セットリスト>
1. STILL GREEN
2. Los! Los! Los!
3. 廃景に鉄塔、「千鶴」は田園にて待つ。
4. 潜水艦トロイメライ
5. 命のユースティティア(GUEST:けーぽん)
6. 傀儡マイム(GUEST:けーぽん)
7. アイスリープウェル(GUEST:SILVANA)
8. 蜃気楼に求め(GUEST:SILVANA)
9. 1%(GUEST:はるまきごはん)
10. 再会(GUEST:はるまきごはん)
11. 雨子(GUEST:はるまきごはん)
12. 未来予想図Ⅱ
13. M
14. ある日どこかで(GUEST:中川翔子)
15. 空色デイズ(GUEST:中川翔子)
16. ドラマツルギー
17. 斜めがけ前線
<ENCORE>
1. 無花果
2. 泥中に咲く