Creepy Nutsはラジオスターの階段を駆け上がるーー中野サンプラザの大盛況イベントを見て

Creepy Nutsの「よふかし」は終わらない

 なぜ2人がここまで大きなイベントを成功させることができたのか。それを語るうえで、Creepy Nutsとラジオの相性の良さについて記さずにはいられない。それぞれが音楽、お笑いのラジオを愛し、R-指定は『山里亮太の不毛な議論』、DJ松永は『オードリーのオールナイトニッポン』のヘビーリスナーであり、山里亮太と若林正恭によるバラエティ番組『たりないふたり』にインスパイアを受けたEP『たりないふたり』は、2人の知名度を広める大きなきっかけとなった。

 そんな彼らが初めて『オールナイトニッポン』の敷居を跨いだのは、2016年11月13日に放送された『Creepy NutsのオールナイトニッポンR』でのこと。当時からトークの捻くれ具合やノリの良さは深夜ラジオ向けだったものの、松永の“暴走”が止まらず、R-指定もそれを抑えるのに必死で、オードリーからも「松永のブレーキの足りなさ」を指摘されていた。(参考:https://realsound.jp/2017/09/post-112011.html

 しかし、以降も2017年1月15日、9月24日、12月23日と積極的かつ異例のペースで『オールナイトニッポンR』に出演し、2018年4月より冠番組『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(ZERO)』がスタート。徐々にグルーヴしていく2人の掛け合いと、深夜ラジオリスナーの悪ノリがマッチし、松永の“吠えれば叶う”ジンクスとともに、音楽活動の充実とも噛み合いながら徐々にステージを上げていき、番組開始2年でチケット入手困難となったこの日のイベント開催まで漕ぎ着けた。

 彼らは、HIPHOPという敷居の跨ぎにくい文化を、音楽ではロックやポップスのリスナーに、ラジオではリスナーにわかりやすく翻訳して届ける咀嚼力があるうえ、それぞれ見えにくかった「DJって何してるの?」「ラッパーって普段何を考えてるの?」といったミステリアスな部分をここまで曝け出して伝える能力も兼ね備えている。トークも松永の早口なオタク喋りの標準語と、R-指定の関西弁が上手くマッチし、絶妙な聴き心地をもたらしているうえ、2年かけて育ててきたフリートークのスキルやリスナーとの掛け合いが、2019年後半以降でさらに上達していることも大きい。

 個人的には、ここまで大きなイベントを成功させ、キャリアとしてもノリにノッているCreepy Nutsの2人は、イベント発表時に心配されていた改編など、難なく突破できるだろう。まだまだ2人の「よふかし」は終わりそうにない。

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